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[ぎふ清流国体]U-16世代最強の都道府県は兵庫県!福岡県に4発快勝し、国体少年男子30年ぶりの全国制覇!!

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[10.4 岐阜国体少年男子決勝 兵庫4-1福岡 飛騨古川WB]

 兵庫県が30年ぶりV! 16歳以下の世代の選手によって争われた第67回国民体育大会「ぎふ清流国体」サッカー競技少年男子の部は4日、決勝を行い、1982年大会以来30年ぶりの国体少年男子優勝を狙う兵庫県と県勢史上初めて決勝へ進出した福岡県が激突。CB加古晴也(神戸U-18、1年)の2ゴールなどによって兵庫が4-1で勝った。前回の兵庫の全国制覇は静岡県との同点優勝(当時はU-18大会)。同県にとって、今回が初の単独優勝となった。

 1点差勝利2試合、PK戦勝利も2試合。苦しい戦いを乗り越えてきた兵庫が今大会最高のパフォーマンスで決勝を制した。序盤相手をプッシュしたのは福岡の方だった。正確なボール回しで兵庫に対抗し、スピードあるサイド攻撃から決定機をつくる。前半5分にはMF下園直輝(東海大五高、2年)のスルーパスからFW中井栞吏(東海大五高、2年)が上げた左クロスにMF増山朝陽(東福岡高、1年)が飛び込み、15分には中井、19分も増山がヘディングシュートへ持ち込む。

 だが菊池彰人監督(ヴィッセル神戸U-18)が「福岡さんはアグレッシブでフィジカルも強いですし、1対1では打開できないと思った。(だが)相手の深いところでボールを回しながら、どんどんチャレンジしていくボクらのサッカーがスタートからできた。持ち味をスタートから存分にできたことが4得点につながったと思います」と振り返った兵庫は、チームのテーマである「分厚い攻撃」「コンパクトな守備」「素早い攻守の切り替え」の3つのテーマを貫徹。前日の大阪との準決勝では個の突破力にやや頼ったサッカーになってしまっていたが、この日は運動量と局面、局面での長い距離のスプリントなど献身的なサポートがあり、またボールコントロールなどプレーの精度でも福岡に差をつけていく。

 そして前半22分、兵庫は敵陣でボールを動かしながら福岡守備陣に圧力をかけると、右サイドへ開いたMF中井英人主将(神戸U-18、1年)がわずかにスペースのできたPAニアサイドへループパス。この絶妙なパスをスイッチに、スピードに乗って走りこんだMF藤本裕豪(神戸U-18、1年)がクロスを入れると中央へ詰めたMF米澤令衣(神戸U-18、1年)が「最高に調子が良かったし、身体もキレキレだった。きょうはゴールのことだけを考えていました」とGKの頭上を射抜くヘディングシュートをゴールへ突き刺した。

 鮮やかな先制弾。ただし、東京都や静岡県という優勝候補を延長戦の末にねじ伏せて勝ち上がってきた福岡はすぐに同点に追いつく。25分、ハーフウェーライン付近でボールを持った左SB岩崎尚将(九州国際大付高、2年)がスピードに乗ってディフェンスラインの背後へ飛び出した中井へ完ぺきなスルーパスを通す。抜け出した中井は左足ダイレクトで同点ゴールを流し込んだ。

 リードを一瞬でかき消された兵庫だったが、前日、出身地である大阪府との準決勝で満足いくパフォーマンスができず悔しがっていた米澤が再び大仕事。前半29分、CB棟久佳弘(神戸U-18、1年)が前線へ蹴り出したボールは相手SBが先にポジションを取っていたが、米澤が上手く身体を入れ替えて縦へ抜け出す。PAへ侵入した背番号13を福岡DFはたまらず背後から押し倒し、上田益也主審はPKスポットを指さした。キッカーはチームメートから「ブチ抜いてこい」と送り出されたCB加古。元FWの加古が期待通りに思い切り右足を振りぬくと、次の瞬間、ド迫力の一撃がゴールネットへと突き刺さった。

 再び勝ち越された福岡は前半ロスタイム、4戦連発中のFW中島賢星(東福岡高、1年)がこちらもパワー溢れる弾丸ミドル。ゴールを捉えたが兵庫GK吉丸絢梓(神戸U-18、2年)が何とか抑えて得点を許さない。すると、流れを維持した兵庫は後半開始直後から猛ラッシュ。相手ディフェンスラインの背後を取って4分、5分、7分と決定機を連発する。だが福岡はGK川島大輝(福岡U-18、1年)がFW表原玄太(神戸U-18、2年)の決定的な一撃を右足一本で阻むなど、ゴール前に立ちはだかる。7分に表原が放った決定的な右足シュートも右ポストを叩く幸運。粘った福岡は10分からの10分間でFW木藤舜介(東福岡高、1年)ら3選手を投入し、最後の力を振り絞って反撃した。

 だが、次の1点を奪ったのは兵庫だった。後半21分、左SB山口真司(神戸U-18、1年)の左FKをファーサイドの加古が頭で完ぺきに撃ち抜き、大きな大きな3点目。落胆の色が見える福岡を攻め立てた兵庫はさらに34分、右サイドを抜け出した藤本のラストパスのこぼれ球を、交代出場のFW南島彰人(神戸U-18、1年)がゴールへ押し込んでダメ押した。この後、今大会唯一出場機会のなかったGK吉川健太(神戸U-18、1年)をピッチへ送り出すなど全16選手を起用した兵庫。全員で勝ち取った勝利を全員で喜んだ。

 関西予選から兵庫県の伝統であるチーム歌を試合前に歌い続けてきた。「最後につかみ取れ、栄光を!兵庫!兵庫!兵庫!」と締められる歌を優勝後のピッチのセンターサークルで歌うことがチームの目標でもあった。主将の中井は「決勝へ進んで誰も満足していなかったし、このチームで優勝すると決めていたので優勝することができて良かったです。満足する試合ができていなかったけれど、決勝ではこのチームの3つのコンセプトですべて相手を優っていたと思います。(大会が)始まる前は無理かなと思っていたんですけど、1試合1試合成長することができた。正直、センターサークルで歌えたことはめっちゃ嬉しかったです」。

 神戸U-18の選手中心に1年生と2年生の早生まれ選手も非常にまとまりがあり、指揮官が「スタッフワークは日本一」と感謝したスタッフにも支えられて全員で勝ち取った初の単独日本一だった。インパクト十分のドリブルでチームを引っ張った2年生エース、表原は「勝てて良かった。(今年、そして来年)この優勝が良かった言えるシーズンにしたい」。兵庫の歴史を変えた選手たちは今回勝ち取った日本一の経験を今後、それぞれのチームで、次のステージでの活躍につなげる。

(取材・文 吉田太郎)
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