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ユースの優勝を勝利で祝えず、悔しがる東京V MF中島「自分が勝たせるチャンスがあったのに」

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[10.7 J2第37節 東京V 1-1 町田 味スタ]

 東京ヴェルディのMF中島翔哉にとって、どうしても勝利で飾りたい一戦だった。午前中に行われたプレミアリーグEASTの試合で、東京Vユースが青森山田高に勝利し、3試合を残して優勝を決めていた。自身も出場していた大会での優勝について「自分の年代ですし、すごくうれしいです。でも、僕はトップチームに集中しています。(プレミアリーグ優勝は)頭の隅に入っていますけど、今は昇格のためにやっているので」と、ユースの優勝を喜びつつも、引き分けに終わった試合を悔やんだ。

 中島自身、ユースでプレーしていたときは、「いつも、勝ったか、負けたかは気にしていました」と、トップチームの結果を気にしていたことを明かす。だからこそ、ユースの優勝に勝利で花を添えたかったが、勝利できなかった。「自分が勝たせるチャンスがあったのに、それを逃したのが悔しい」と中島は悔しがる。

 後半5分に先制した東京Vは、その後も攻勢を保っていた。先制直後の後半8分には細かいパスワークから、中島がシュートチャンスを得たが、ボールは枠を越えて行った。その4分後にも中島は、最終ラインの背後を取ってGK修行智仁と1対1の場面を迎えたが、シュートを足でブロックされてしまい、追加点を挙げられなかった。「技術的な部分でズレたところがありました。それは練習します。点を取れなかったことが一番悔しい。点を取れば100だし、点を取れなかったらゼロ。今日はゼロです」と唇を噛んだ。

 若き逸材に期待をかけて起用している高橋真一郎監督は「もっとタフにならないといけない」と、さらなる成長を求めたが、本人にもその自覚は強い。「体力的にもメンタル的にも、もっと強くならないといけない。評価されるのはゴールなので、そこには絶対にこだわりたい」と、言葉に力を込めた。

 同年代の選手の先駆けとしてトップチームに昇格した中島は、ユースとプロではメンタル面が最も違うと言い「1プレー1プレーの重みを感じます。そこが楽しい部分でもありますが、1メートル下がっていないとやられたり、1回タッチが多いと取られたり。それがプロかなと思います」と、語った。この日、東京Vは来季、新たに5選手がトップチームに昇格することを発表した。彼らをJ1の舞台で迎えるためにも、中島は「やっぱり勝つことが一番大事。サポーターも、それを一番、期待していると思いますし、当然ですけど、自分はまだまだだと痛感した」と、勝利を決定づけられる選手になるために、さらなる成長を誓っていた。

(取材・文 河合拓)

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