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[MOM657]東京VユースFW高木大輔(2年)_兄2人にも負けないゴールという武器。“優勝決定戦”で圧巻ハット!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 東京Vユース4-3青森山田高 ヴェルディG]

 世代を代表する注目ストライカーが、優勝を祝う3発の祝砲だ。プレミアリーグでは7月1日の浦和ユース戦を最後にゴールから遠ざかっていたFW高木大輔(2年)。「昔からずっとFWやってきて、たくさん点取ってきて、点取り屋になるということが目標。そこは兄貴2人も負けないところだし、負けられないところ。FWとしてゴールを獲るという執着心は誰にも負けたくないと思います」と話すように、得点することに関しては清水FW俊幸、ユトレヒトMF善朗の2人の兄にも負けない思いを持って成長してきたが、それでも今回は不発の期間が長く、いくら試合でいいプレーをしても、チームが勝っても吹っ切れることができていなかった。

 ただこの日はチームに歓喜をもたらす3ゴール。日本代表MF本田圭佑がW杯アジア予選イラク戦後に「ゴールはケチャップみたいなもの。出ないときは出ないけど、出るときはドバドバ出る」と語っていたが、この日の高木はまるで栓が取れたかのようなゴールショーだった。まずは0-1の前半39分、MF山口陽一朗の右FKでマークするDFの前に出ると頭で同点ゴール。力強いガッツポーズでゴールを喜んだFWはさらに1-2の後半3分、相手のミスを逃さずに右足で同点ゴールを決めると、4分には右サイドでMF鯉沼将希からのスルーパスを引き出し、難しい角度から右足シュートを叩き込んだ。

 ゴールから遠ざかっていた高木について富樫剛一監督は「これまでも彼の献身的な部分だったり、味方を鼓舞する部分で助けられてきた。トレーニングでずっとやり続けたことが結果に出て良かったです。きょうも、試合前に誰が取るの?という話をしていました。取り過ぎくらいですね」とにっこり。対する高木は「一番点取れるポジションにいろと言われましたし、試合前に冨樫さんから『点取るならオマエしかいないから頼むぞ』と言われていた。期待に応えられて良かった」。

 高木は相手からのプレッシャーも力に変えた。試合前に青森山田サイドから冗談っぽく「きょう、点取るの、FWひとりしかいないじゃん」「きょう優勝させないから」と言われていたという。「最近、オレが点取っていないことも知っていたと思う。やってやろうと思いましたし、本当にいいモチベーションを相手がつくってくれましたね」としてやったりの表情だった。

 ハットトリックを達成した後に訪れた得点機で決めきることができなかったことから、本人は「欲言えばもう少しとれたと思う。そこを追求すればもっと楽な試合になったと思う。3点取れたことは良かったけれど、その部分をもっと追求していければいい」と気を緩めてはいない。次節の浦和ユース戦(10月14日)は自身17回目の誕生日。バースデーゴールへのモチベーションはもちろん高く、無敗優勝するという目標もある。

 そして12月の日本一決定戦、チャンピオンシップ優勝が大目標。現在、プレミアリーグWESTで優勝に王手をかけている広島ユースに雪辱したいという気持ちも強く持っている。「春先にやって0-4で負けているんですよ。本当に何もできなくて悔しい思いしかない。自分たちが先に挑戦権を得ることができた。これで広島が出場権獲ってくれたら最高のシチュエーションで試合をすることができる。同じ相手に2度も負けられない」。この日、ハットトリックで完全に吹っ切れた高木。献身的な姿勢、声に加えて、本人が最もこだわるゴールでチームの日本一に貢献する。

[写真]前半39分、東京Vユース高木は同点のヘディングシュート

(取材・文 吉田太郎)

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