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[Fリーグ]名古屋FP渡邉「絶対的なピヴォになる」

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[10.8 F第16節 町田 3-4 名古屋 町田]

 Fリーグで唯一、完全なプロクラブである名古屋オーシャンズで、FP渡邉知晃は10節の北海道戦(5-2)以降、キャプテンマークを巻いている。だが、圧倒的な選手層の厚さを誇る名古屋で、渡邉に与えられているプレー時間は決して長くはない。この日もスターティングファイブから外れ、セカンドセットにも彼の姿はなかった。

 この町田戦はある意味でチャンスだった。「前半は2セットを回した時間でも得点ができませんでした。(名古屋は)10分以内に先制することが多いのですが、今日は(ピッチに立ったとき)0-0の状況だったので、先に点を取りたいなと意識していました」と言う。しかし、渡邉の思いとは裏腹に、この日、名古屋は前半のうちに先制点を許すと、後半にも追加点を与えてしまう。それでも最後は意地を見せ、最終的に4-3で逆転勝利したが、渡邉自身はゴールを挙げることはできなかった。

 試合でアピールしなければいけない、と渡邉は言う。FP森岡薫の帰化申請が8月に認められ、過去に2度リーグのMVPに輝いたピヴォは、外国人枠という制限がなくプレーできるようになった。同じピヴォの渡邉にとって、それは競争の激化を意味した。「うちのチームは試合のメンバーに入ることも、ましてや出場時間を勝ち取るのはFリーグでも一番難しい。日々の競争から厳しいですし、出場時間を勝ち取ることを目指す中で、成長できることもあります。ただ、試合に出ないと意味がない」と言い、「こういう試合だったからこそ、(点を)取りたかった。ここ3試合、取れていないので、自分の出来には満足していません」と、逆転勝利に安堵しつつも、自分のプレーについて不満を口にした。

 試合で結果を残さなければいけない理由は、他にもある。フットサル日本代表にも定期的に選出されていた渡邉は、予備登録された選手の一人だ。メディカルチェック、予防接種を受けたが、愛知合宿、静岡合宿の16名のメンバーには入らなかった。その合宿には、彼と入れ変わる形で森岡、そして横浜FCのFW三浦知良が選出されている。フットサルW杯には、フットサル選手だけで臨むべきという声もある中で、渡邉がどう感じているのか、率直な思いを聞いた。

「カズさんが入っているから僕が外れているということは、ないと思います。同じピヴォで入っている森岡選手、(高橋)健介さん、(星)翔太さんより上の評価だったら入れてたと思うので。『日本でピヴォと言えば渡邉』という存在になれば、誰が入っても、どんな状況でも選ばれるわけですから」

 11月1日から始まるフットサルW杯、日本代表はFIFAの登録締切日である19日に、メンバー発表を行う。「今、合宿に呼ばれていないので、W杯メンバーに入る可能性が高い状況にあるとは言えないと思います」と前置きをした上で、渡邉は自分にできることはやり続ける、と決意を口にしている。

「どういうアクシデントがあるか分からないので、最後まで諦めずにやりたいです。目に見えた結果を残すことで『アイツ、得点を取ってくれる』と思ってもらえるかもしれないし、そこにはこだわってやっていきたい。(W杯の代表入りは)そこまで強くは意識していませんが、しっかり準備とアピールはしていきたい」。中断前、最後の試合は14日の府中戦だ。そこで渡邉は、自身の存在を大きくアピールするはずだ。

(取材・文 河合拓)

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