フランス戦で劇的な決勝ゴールを挙げ、日本に歴史的勝利をもたらしたFW香川真司(マンチェスター・U)が、ブラジル戦での2戦連発に強い意欲を見せた。

「日本には攻撃的な選手が多いし、前へ行くスピードはあると思っている。もちろん精度が大切だけど、メリハリをつけて攻めていきたい。2試合連続ゴール?　もちろん、そこにこだわりを持ってやる」

　得点へのこだわりはフランス戦の前から口にしていたことだ。所属するマンチェスター・ユナイテッドでビッグクラブならではの苦悩を味わっている香川は「ゴールすることできっかけをつかみたい」と話していた。

　その意欲が形となって現れたのがフランス戦の後半43分だった。1トップの一に入り、カウンターのチャンスを見据えて高い位置に張っていたことでゴールが実現した。

　このゴールがまさに“きっかけ”となったのだろう。ブラジル戦を控えたポーランドでの練習初日の表情と口調には力強さがみなぎっていた。

　もちろん、ブラジルの力には大いに警戒を寄せている。この日の練習前に行ったビデオミーティングではブラジルの最近の数試合をまとめた映像が流されたが、セレソンの個の力はさすがのものがあった。

「映像を見る限り、すごいプレーを簡単にしている。(見るよりも)生でやると、さらに難しさを感じると思う。ボールの奪いどころのない選手も多い」

　だが、それでも今の日本に不可能はないと信じているのが、香川だ。「ボールを持ったときに、いかに自信を持ってプレーできるか」。フランス戦で自信を回復した背番号10が、ブラジルの守備陣を切り裂くとき、2試合連続の“サプライズ”が世界に流れる。

(取材・文　矢内由美子)