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[フットサルW杯2012]W杯メンバー落選も胸を張るFP滝田「常に120%でやってきた」

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 その表情は、晴れやかですらあった。日本代表の一員として、AFCフットサル選手権(アジア選手権)を戦い、W杯の出場権獲得に貢献。その後も愛知合宿、静岡合宿にも呼ばれ続けていたFP滝田学(ペスカドーラ町田)だったが、残念ながらW杯を戦うメンバーに残ることができなかった。それでも「常にマックスでやってきましたし、それは今回の合宿でもできています。その上での(監督の)判断だったので」と、信頼する指揮官の決断を尊重し、全力を尽くしてきた自分に胸を張った。

 落ち込んでも仕方がない状態であった。それでも、すべての練習メニューを他の選手と同じように集中してこなし、落選した様子は感じさせなかった。「思うことはいっぱいありますけど、サポートしてくれる先輩はたくさんいました。所属チームの金山友紀選手にも連絡して『頑張れ』と言ってくれたこともありますし、これまでと変わりなく、練習できました。昨日のうちに(気持ちは)吐き出して。といっても、不満とかは別になくて、みんなにも頑張ってもらいたいし、自分も頑張って27日のウクライナ戦までは一緒に戦う気持ちです」。

 滝田がメンバーに残ると思われていた要因の一つに『フィクソの選手だったから』というポジション上の理由があった。フィクソは、サッカーのDFに当たるポジションだ。W杯でブラジルやポルトガルといった攻撃力の高い相手と対戦する際に、日本は必然的に守る時間が長くなる。その際に、守備的な選手であるフィクソは重宝されるはずだった。しかし、ミゲル・ロドリゴ監督は、アジア選手権を制した攻撃的な戦い方で、W杯に臨む考えを明かし、そのためフィクソである滝田を外す決断をした、と明かしている。

「アジア選手権でもフィクソが1枚足りない状況の中で、セットのつくりを適応させました。純粋なフィクソのいない戦い方に変更させて、それが功を奏したので、それに合わせた人選になっています」と、メンバー選考の理由を述べている。この結果、フィクソの選手はFP小宮山友祐(バルドラール浦安)とFP北原亘(名古屋オーシャンズ)が選出され、滝田がメンバー外となった。

 滝田自身もフィクソとして、彼ら2人に及ばないと認める。「正直、自分でも足りないなと感じるところはたくさんありました。アジア選手権でも、世界の選手と戦っても。今、フィクソは北原選手と小宮山選手の2人ですが、その2人と比べても自分に足りないなと感じることが、具体的にもありますし、抽象的な部分でもありますので。そこは頑張っていかないといけないと思っています」。

 フィクソとして、まだまだ成長しなければいけない。その意識があるからこそ、滝田は前を向く。「常に120%でやってきたので、悔いはないです。27日のウクライナ戦まではチームに帯同できるので、そこまでは日本代表選手なので全力でやりたい。気持ちを切らしてしまったら、帯同する意味がないので。そこは日本のために全力でやっていきます」と、言葉に力を込めた。W杯のメンバーからは外れたが、日本代表の一員として、最後まで役割を全うする。その決意あふれるプレーは、W杯メンバーの背中を大きく後押しとなるはずだ。

(取材・文 河合拓)

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