日本サッカー協会は19日、11月1日からタイで開催されるフットサルW杯を戦う日本代表メンバー14名の発表会見を行った。会見に臨んだミゲル・ロドリゴ監督は「監督という仕事をしている上で、一番複雑な心境になる瞬間。ここまで素晴らしい努力をしてくれた選手たちの中から、メンバーを選ばなければなりませんでした」と、苦渋の表情を浮かべてから、自身が選んだ14選手の名前を呼びあげた。

　14人の選手を選んだ選考基準については「各ポジションに拮抗した力を持った選手たちが集まっている状況の中で、最適なバランスを考えた。また、現在のコンディション。さらに、AFCフットサル選手権を含めたここまでの流れで、どのような力を見せてくれたのか。そして、最終的には自分の感覚、感性を信じて、自分のイメージに合う選手を選んだ」と、ミゲル監督は説明した。

　メンバー入りしたFP三浦知良(横浜FC)については、これまではサッカーでいうFWに当たるピヴォで起用することが多かったが、今後はサッカーでいうサイドハーフにあたるアラで起用する意向を語った。

「カズはアラで起用したいと考えています。ピヴォは、星翔太と森岡(薫)が中核になります。どちらかと言えば、そこ(ピヴォ)にパスを出してシュートまで持っていくとか、攻撃の起点としての機能を果たしてほしい。ピヴォは、ポルトガル戦ではマークするフィクソとフィジカル的に非常にタフな競り合いをすることが求められます。ピヴォにはすでにスペシャリストがいるので、彼らに良いパスを出して攻撃を組み立ててシュートも放つ。そういった役割を期待したい」

　現在のトレーニングキャンプに招集している16名から、FP滝田学(ペスカドーラ町田)とFP仁部屋和弘(バサジィ大分)が、最終メンバーから外れている。仁部屋はコンディション調整に苦心していたが、フィクソの枚数が足りない状況での滝田の落選は、意外なものだった。だが、ミゲル監督はアジア選手権を制したチームに合わせた構成とした、と明かす。

「小宮山はもちろん、北原(亘)、村上(哲哉)という選手もフィクソができる。アジア選手権でも、フィクソが1枚足りない状況の中で、セット構成を適応させました。その変更が功を奏しました。組み合わせを(攻撃的に)シフトさせたので、それに合わせた人選になっています」と説明し、「攻撃的な布陣にした時ほど、失点数が少ないもの。理由は2つあります。まず、ボールをより長くポゼッションすることができること。また、攻撃的な選手たちは、『守備をしなければならない』という意識が高くなります。それが功を奏したのが、アジア選手権でした。ブラジルやポルトガルを相手にした時に、自分は守るのではなく、だからこそ攻撃しないといけない。攻撃しないとやられてしまいます」と、世界の舞台でも攻撃的に戦うことを宣言した。

　アジアを制した戦い方を踏襲し、世界最高峰の舞台で戦うと宣言した指揮官は、目標である史上初のグループステージ突破を実現できるだろうか。

(取材・文　河合拓)