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[関東1部]J内定4選手出場の4位・中央大、11位・神奈川大とドロー

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[10.20 関東大学リーグ1部第17節 中央大1-1神奈川大 味スタ西]

 JR東日本カップ2012 第86回関東大学リーグ戦1部リーグ第17節、4位・中央大対11位の神奈川大戦は、中大が川崎フロンターレ加入内定のFW安柄俊(4年=東京朝鮮高)の直接FKで先制したが、神大はMF中武駿介(4年=仙台FC)のPKで追いつき、1-1で引き分けた。

 全日本大学選手権出場権の4位以内につけている中大と2部降格圏内の11位・神大。安、MF六平光成(4年=前橋育英高、清水エスパルス加入内定)、右SB今井智基(4年=大宮ユース、大宮アルディージャ加入内定)、そして前日徳島ヴォルティス入りが発表されたCB木下淑晶(4年=作陽高)と4人のJ内定者を擁する中大だが、GK松田ラン(3年=山梨学院高)が「もちろん上を目指していますけれど、今は残留というところだけを胸に過ごしていく。負けないということが条件」という神大から2点目を奪うことができず、勝ち点を落とした。

 チャンスを活かしきれなかった。ポゼッションで攻撃を組み立てる中大は前半22分、高速ドリブルで抜群の存在感を放っていたFW澤田崇(3年=大津高)が縦に仕掛けてから左足シュート。23分にも澤田が個人で中央突破して、右サイドでフリーのFW田辺圭佑(3年=成立学園高)へラストパスを通す。さらに34分にも澤田のスルーパスに反応したFW奥山慎(4年=帝京高)がDFを強引にブロックしてから右足シュートへ持ち込んだ。だが松田が「前からプレッシャーに行ってラインをコンパクトにすること。相手が蹴るモーションに入ったらバックするということを徹底した。セカンドも拾えたし、対応できたと思う」と振り返った神大から1点を奪うことができない。

 中大はサイドに上手く散らすことはできていたものの、トップ下の六平にいい形でボールが入らず。澤田や右サイドの今井が個で突破していたが、コンビネーションで崩すことができていなかった。逆に風上を活かしたロングボールとカウンターからスピードを活かして攻め上がってくる神大のMF星広太(2年=横浜FMユース)やSB高木利弥(2年=帝京高)に決定機をつくられると、FW伊東純也(2年=逗葉高)にあわやのシュートを放たれてしまう。

 それでも中大は後半13分に安とMF砂川優太郎(2年=広島ユース)を同時投入し、六平をボランチに移行すると、砂川が獲得したFKから先制点が生まれる。16分、左中間から安が放った右足シュートが壁の上を越えてゴール右隅へ突き刺さった。「FKでのゴールは多分2年の時以来です。自分はちょっと前まで怪我していて満足に試合に出られなかった。チーム状態が良くないのは自分にも責任があると思う。きょうは決めて勝ちたいという気持ちが強かった」という安の一撃にGK松田は反応することができなかった。

 ただ19分に澤田のラストパスから安が放った左足シュートがゴール右横へ外れると、神大に幸運が訪れる。22分、中央からのFKがPAへ蹴りこまれると木下が相手の腕を抑えたと判定されPKを献上。これを中武に決められて同点に追いつかれてしまった。木下は「きょうはオレのせいです。きょうはとことん反省して切り替えるしかない」と無念さを滲ませていたが、それ以上に2点目を奪うことができなかったことが響いた。

 六平は「練習では上手くいくんですけど、試合になると上手く回せなかったり。最後のところの崩しがイマイチという感じでした。前半とか全然回せなくて、特にもったいなかった。サイドに入った時とか、フリーでも回せなかったりする。もっとポゼッションしなければいけない」。後半ロスタイムに迎えたピンチはMF廣川一樹(4年=麻布大渕野辺高)のシュートがヒットせずに救われたが、攻め急いだ感のあった中大は安や奥山の決定的なシュートへ持ち込むものの、ボールを失う回数も多く、押し切ることができなかった。安は「自分と(砂川)優太郎が入って勢いが出ていると感じていた。PKを取られてもこの勢いならもう1点取れると思っていた。でも最後、自分も含めてゴール前での力みが出てしまった」。

 中大は後半戦の成績がこれで1勝1分4敗。特にこの3試合合わせて1得点と得点力が課題となっている。個々の能力が高く、両SBが高いポジションを取りボールを動かすポゼッションは魅力があるが、結果に結び付けなければならない。白須真介監督は「2点目を取るサッカーを展開しないといけない。こぼれ球に反応するとか二重、三重にいくところがない。得点は技術だと思いますが、個人としてもチームとしても足りないですね」と指摘。破壊力は間違いなくあるだけに、コンビネーション、ゴール前での迫力を高めていくしかない。技術にこだわるチームはより自分たちのサッカーにこだわってゴール数を増やすだけだ。専修大、早稲田大、日本体育大の3強との対戦も残す残り5試合へ向けて六平は「ここからです。頑張ります」。日本一を十分に狙うことのできる戦力になっている中大。全国切符は絶対に離さない。

[写真]勝利を逃した中央大・木下が天を仰ぐ

(取材・文 吉田太郎)

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