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AFCU-19選手権初戦まであと10日!U-19代表、練習試合で草津に勝利も攻守に課題

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[10.24 練習試合 U-19日本代表3-1草津]

 13年U-20W杯の出場権を懸けたAFC U-19選手権UAE2012(11月3日~17日)へ向けて新潟県内で合宿中のU-19日本代表は24日、J2のザスパ草津と練習試合(45分×3本)を行い、MF田鍋陵太(名古屋)、MF小野瀬康介(横浜FC)、FW榊翔太(札幌)のゴールによって3-1で勝った。

 ともに先発メンバーを全て入れ替えていた3本目に2点を奪って勝利したものの、内容的には満足のいくものではなかった。吉田靖監督は「1本目はコンビネーションのところでスムーズには行かなかった。段々良くなって狙いの攻撃ができるようになったけれど、まだまだ修正するところがある。まだ時間は残されているので、少しでもいい準備をしていきたい。守備のところはもっともっと声を出して連動してできないとまだ穴がある。攻撃もボールの動かしが途中からスムーズじゃなくなって結局どっかで捕まってしまう。もっともっとボールをシンプルに動かしながらスペースを見つけていくこと。(相手のレベルが下がっていたが)3本目のような攻撃を仕掛けていけば、もっともっとチャンスがつくれると思う」。Jリーグのスケジュールや負傷の関係でこのメンバーが全て揃う機会がなかったという理由はある。だが、選手たちも連動性向上の必要性を口にしていた。

 GK北一真ら主力組が出場した草津に対し、U-19代表は4-4-2システムでGK杉本大地(京都)、4バックは右から川口尚紀(新潟ユース)、岩波拓也(神戸)、遠藤航(湘南)、山中亮輔(柏)の構成。中盤はMF熊谷アンドリュー(横浜FM)とMF大島僚太(川崎F)のダブルボランチで右が田鍋、左が野津田岳人(広島ユース)。2トップは日本代表選出歴を持つ久保裕也(京都)と渡大生(北九州)が先発した。

 1本目4分に久保が右足シュートを放ったものの、その後U-19代表はポゼッションする草津に主導権を握られる展開。ともに抜群のキープ力を持つ大島と熊谷を起点にボールを動かそうとするものの、ボランチとトップとの距離が離れてしまい、またサイドで蓋をされてボールロストするなど、なかなかリズムのいい攻撃をすることができない。また連動性を欠いたチームは局面で個人頼みの攻撃となってしまい、PAへ入ることもできていなかった。
 
 そして27分、吉田監督が「マークの受け渡しであったり、声の掛け合いが遅くなったことで右サイドに穴ができて突かれてしまった。もっと早く指示をして、早く前のヤツのポジションを修正すれば収まっていたのではないかと思う。攻撃もそうなんですけど、守備のところももっとスムーズにしていかなければいけない」と指摘したように、マークの受け渡しが遅れて右サイドを崩されると、ニアサイドのFWアレックス・ラファエルに先制ゴールを決められてしまった。それでも相手の背後を狙うU-19代表は38分、右サイドからディフェンスラインの背後へ斜めに飛び出した田鍋へ熊谷がループパスを通すと、田鍋はカバーに入ったDF、GKの位置を冷静に見極めて右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 追いついたU-19代表は42分、右サイドの川口を起点に中央の久保が後方へ落とし、大島のラストパスから野津田が左足シュート。草津が大きくメンバーを入れ替えた後の2本目5分には、敵陣でのインターセプトから久保が左前方へ出したパスに走りこんだ野津田が左足を振りぬいた。守備面でも遠藤が「失点のあとは全体的に声は出なくなった印象があるんですけど、そこまで焦っていなかった。しっかり裏を取って同点に追いつくことができた。失点した後に連続失点しなかったことは良かったと思いますし、次につながる」と手応えを口にしたように冷静に対応。ダブルボランチの献身的な動きやCBの安定したカバーリングなどで2点目を許さない。

 2本目21分にフィールドプレーヤー全員を入れ替えたU-19代表は26分に榊の左足シュートがDFに当たってコースが変わり、クロスバーを叩く。また榊がスピードを活かしてサイドで突破口となるなど、攻撃にも徐々にリズムが出てきたU-19代表は3本目27分、MF矢島慎也(浦和)のスルーパスをPAで受けた小野瀬が右足シュートをねじ込んで勝ち越し。直後にもインターセプトしたMF橋本拳人(F東京)が右サイドをえぐり、逆サイドでフリーの榊が左足で3点目のゴールを沈めた。

 失点にも慌てず、2点目を与えなかったことが勝利につながった。ただ、1本目は攻守の切り替えの速く、相手の守備網にはまって同じような形でボールを失うシーンが目立った。また守備面でもポジショニングが悪く、シュートにまで持ち込まれた場面がある。難敵・イランと対戦する11月3日の初戦まで時間は短いが、この日表現することのできなかったコンビネーションをより構築して初戦に臨みたい。大島が「上手くハマれば、点も取れる。しっかりつないで崩せるチーム」と語り、遠藤が「一人ひとりが献身的に走れますし、技術もある。監督のやりたいサッカーを一人ひとりが理解している。チーム力、組織力というのがこのチームの良さだと思いますし、チーム全体のそういう良さを出しながら個人の良さを出していきたい」と誓うU-19代表。27日の出発まであとわずか。2大会連続で逃している世界切符獲得のために、最高の準備をして決戦の舞台、UAE入りをする。

[写真]1本目38分、U-19代表MF田鍋が同点ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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