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「このままではヤバイ」危機感から変わったU-19日本代表、U-20W杯アジア最終予選へ内容伴う快勝

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[10.26 練習試合 U-19日本代表5-0JAPANサッカーカレッジ]
 
 13年U-20W杯の出場権を懸けたAFC U-19選手権UAE2012へ向けて国内最終合宿中のU-19日本代表は26日、北信越フットボールリーグ1部2位のJAPANサッカーカレッジと練習試合(45分×3本)を行い、FW久保裕也(京都)の先制ゴールなど5-0で快勝した。チームは27日にUAEへ向けて出発。11月3日にイランとAFC U-19選手権UAE2012グループリーグ初戦を戦う。

 2日前に行われたザスパ草津との練習試合では3-1で勝利したものの、主力組同士が戦った45分間は1-1の引き分け。ボールを失う回数が多く、相手にポゼッションされてしまう苦しい内容だった。ただ、中盤の構成を変更したこの日は対戦相手のレベルが下がったという要因もあったものの、ポゼッションによって主導権を握る展開で大会前最後の練習試合を白星で終えた。

 草津戦からメンバー3人を入れ替えたU-19代表。4-4-2システムのGKは杉本大地(京都)で4バックは右から松原健(大分)、奈良竜樹(札幌)、遠藤航(湘南)、山中亮輔(柏)。中盤は熊谷アンドリュー(横浜FM)と松本昌也(JFAアカデミー福島)のダブルボランチで、右MFが大島僚太(川崎F)、左が野津田岳人(広島ユース)。2トップは久保が渡大生(北九州)とコンビを組んだ。熊谷のパートナーを大島から松本へ変更し、右MFは草津主力組から唯一ゴールを決めたMF田鍋陵太(名古屋)ではなく、中央から大島を移した。また最終ラインでは川口尚紀(新潟ユース)に代わる右SBとして松原を、CBでは岩波拓也(神戸)に代えて奈良をピッチへ送り出した。

 吉田靖監督が「前回、ボールがスムーズに回らなかったところがあるので、今回ちょっとメンバーとか役割を変えた。対戦相手が違うので差し引かないといけないが、全体のバランスはだいぶ良くなった」と評価したU-19代表。特にキープ力の高い選手を並べた中盤がボールを失わずにチームに流れを生み出す。キーマンである熊谷が下り目の位置で自在にボールに絡み、松本が中央、左右、そしてFWを追い越して前線へと至る所へ顔を出して攻撃を活性化。また右サイドに入った大島はキープ力の高さで松原のオーバーラップを促進したほか、高い位置で起点をつくり、相手の背後への飛び出しも見せる。13分には遠藤のフィードから仕掛けた松原が右サイドを個人で打開したほか、左の山中も野津田を追い越して上がるシーンが目立った。

 また草津戦ではダブルボランチと2トップとの間が開きすぎてビルドアップに苦戦したU-19代表だが、この日は久保が引き気味のポジショニングでボールを受け、松本、熊谷がボールを中央、サイドへボールを振り分ける。そして18分には熊谷を起点とした攻撃から、右サイドのスペースを突いた渡の折り返しに反応した久保が、右足でファインゴールを突き刺した。

 攻撃から守備への切り替えが遅く、相手のカウンターの前に中盤が置き去りにされるような場面もあった。PA近くまで持ち込まれる回数も少なくなかったが、奈良が「積極的に声を出せたし、ディフェンスの面ではリスク管理だったり、押し込まれた時の味方の配置というのを意識して動かしたんですけど、大きなピンチもなくて、守備面としては良かった」と振り返ったように、決定機をつくらせなかったU-19代表は、31分に熊谷のスルーパスから大島が抜け出し、33分にも熊谷のスルーパスがPAへ侵入した山中へ通る。クロスが中央と合わず、ミスもあってなかなか2点目を奪うことができなかったが44分、右サイドから逆サイドへ展開すると、野津田のスルーパスに反応した松本が角度のない位置から左足シュートを突き刺して2-0とした。

 渡と野津田、杉本に代えてFW榊翔太(札幌)とMF矢島慎也(浦和)、GK池村彰太(神奈川大)を投入した2本目も熊谷中心にボールを動かすU-19代表は6分に遠藤のインターセプトを起点に榊が左足シュートへ持ち込み、14分には右ショートコーナーから奈良が決定的なヘディングシュートを放つ。そして20分、右サイドで相手のミスパスを奪うと松原が左後方へ落とす。これを受けた熊谷が前方のスペースへボールを捌くと、走りこんだ大島がPA外側から豪快な右足シュートをゴールへと叩き込んだ。

 22分に先発していた残りの8名を交代したU-19代表はその後ボールの失い方が悪く、ディフェンスラインも揺さぶられて決定的なピンチをつくられてしまう。40分には相手アタッカーに抜けだされて池村が何とかストップするシーンもあった。課題も残したU-19代表だったが、3本目3分、田鍋のラストパスから小野瀬が決めて4-0とすると、19分には左サイドを突いた榊の折り返しを風間がゴールへと突き刺してサブ組も好結果。5-0で大会前の最終戦を終えた。

 世界切符を懸けた戦いへ向けた緊張感は高まってきている。積極的な声が出てこない部分を厳しく指摘されてきたチームだが、この日は杉本を筆頭に遠藤や奈良がチームを鼓舞。コーチングの声が常にピッチに響くなど集中力を欠かさず、味方の好プレーを讃える声も多かった。良い雰囲気を作り出していた杉本は「チームを盛り上げることがボクのストロングポイント。(チームについては)去年からずっとベンチで見てきた。予選の厳しさも知っているので、何が足りないかはある程度理解していたつもり。(予選突破のためには)ゴール前で体張るとか、絶対に負けないという気持ちとか、最後技術とかそういうのではなくて、絶対ワールドカップに行きたいとかアジアを突破したいという気持ちだと思う。一人ひとりが同じ方向を向けるようなチームにならないといけない」。守備陣を中心に気迫溢れるプレーの目立ったU-19代表は最後まで得点を与えなかった。

 熊谷は「この間の試合(草津戦)はみんな思っていると思うんですけど、みんな良くなかった。このままではヤバイという危機感が生まれてきょうのような試合ができたと思う。選手みんなで意思統一は段々できてきている。UAEに行ってからもう少し時間があるので高めていければいい」。対戦相手を考えると、決して手放しで喜ぶことのできる内容ではなかった。ただチームのバランスや雰囲気について手応えを口にしていた選手たち。決戦へ向けてひとつの方向性と勢いが生まれた試合であったことは間違いない。

[写真]前半43分、MF松本が左足で2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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