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[選手権予選]後半残り1分のミラクル同点弾!流通経済大柏が延長戦で名門対決制す:千葉

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[10.27 全国高校選手権千葉県大会3回戦 流通経済大柏2-1(延長)習志野 東総]

 第91回全国高校サッカー選手権千葉県大会は27日の3回戦で、全国リーグのプレミアリーグEASTに所属する流通経済大柏と全国大会出場15回の習志野との名門対決が実現。試合終了1分前の後半39分に同点にMF武田将平(3年)のゴールで追いついた流経大柏が延長後半1分に交代出場のMF秋山陽介(2年)のゴールで勝ち越し、2-1で逆転勝ちした。流経大柏は11月4日の準々決勝で中央学院と対戦する。

「負けた試合。拾った試合だったね」。07年度の高校選手権優勝など数々のタイトルをもたらしてきた名将・本田裕一郎監督が安堵した表情で振り返っていたが、全国リーグでJユース勢を下すなど経験豊富な流経大柏イレブンが追い詰められた試合だった。序盤から習志野の鋭いプレッシャーにパスワークを封じられた流経大柏は19分にFW小林大地(3年)が放ったヘディングシュートが右ポストを叩くなど前半を0-0で折り返すと後半10分、自陣での中途半端なクリアをPAやや外側でカットされ、習志野CB藤原直哉(3年)の右クロスをFW安芸銀治(3年)にダイビングヘッドでゴールへと突き刺されてしまう。最前線のFW齋藤俊輔(3年)を筆頭に献身的にボールを追い続ける習志野の堅い守りとロングボール攻撃に苦しめられた。

 31分には武田の左アーリークロスをFW矢埜翔平(3年)が頭で合わせるが、クロスバーを直撃。32分には左サイドを崩してSB原隆生(3年)が出した折り返しをゲーム主将のMF桜井将司(3年)が右足で叩いたがわずかにゴール左へと外れた。0-1のまま35分を経過。流経大柏は完全に崖っぷちに立たされていた。だが武田が「(今春の)韓国遠征でもそうだったんですけど、自分たちは先制されても逆転するというドラマティックな試合が多い。そういう強さがあると思っている」というように、旭川実(北海道)との全国総体初戦で後半ロスタイムに追いつくなど苦しい試合を乗り越えてきている名門は土壇場でその底力を見せつける。

 39分、4分前に投入されていたFKキッカー、DF橋本将太朗(3年)が左FKをディフェンスラインとGKの間に入れると、これにフリーで反応した武田が打点の高いヘディングシュート。クロスバーを叩いた跳ね返りを武田が自らダイビングヘッドで合わせると、県屈指のGK佐々木祐紀(3年)が守る習志野ゴールがついに破られた。181cmの長身ボランチの渾身の一撃によって形勢は完全に逆転。矢埜の鋭い突破などで相手を押し込んだ流経大柏は延長後半1分、右サイドからのパスを中央で受けた小林が逆サイドを走る秋山の前方へ絶妙なラストパスを送る。これを秋山は「(小林)大地さんから来たボールが打ちやすかったのでダイレクトで狙った。思い切り振りぬくだけでした」と左足ダイレクトでゴールへ叩き込む鮮やかな勝ち越し弾。「ガンガン狙っていけ」とピッチに送り出されていた2年生MFの一撃が名門対決に決着をつけるゴールとなった。

 習志野は直後から大型CB藤原を前線へ上げ、パワープレーで反撃。だが、流経大柏は橋本直哉と緒方海の両CBやGK坂田大樹(全て3年)中心に跳ね返してリードを守りきった。試合終了の笛とともに、ピッチに崩れ落ちた習志野イレブンの隣で赤いユニフォームが歓喜を爆発させた。
 
 指揮官は「3年生が意地を見せた試合でしたね。(この勝利を)起爆剤にしてほしい」。昨年は県決勝で全国制覇した市立船橋に延長戦の末に0-1で敗れた。今夏は千葉を制して全国総体に出場したものの、準々決勝で大阪桐蔭にPK戦で敗退。この秋、そして冬に忘れ物を取り返さなければならない。FW真栄城兼哉(3年)と原の左サイドの連係など全国総体から向上してきた武器がある。そしてベンチ外にもエース級がゴロゴロいるほど厳しいメンバー争い。この日は全国総体で登録メンバー落ちした10番FW小林や武田の意地がチームを救った。桜井は「県制覇できれば全国制覇できると思っている。ただ昨年(全国に)出ていないので一戦一戦戦っていくという気持ちが強い。一戦一戦大事に日本一を取りに行く」。土壇場から蘇った名門が、改めて実証した勝負強さで白星を積み重ねる。

[写真]延長後半1分、流通経済大柏MF秋山(左)が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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