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[選手権予選]GK奥津好守連発、日本航空が全国総体16強の帝京三撃破!:山梨準決勝

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[11.3 全国高校選手権山梨県大会準決勝 帝京三0-2日本航空 中銀スタ]

 第91回全国高校サッカー選手権山梨県大会は3日、準決勝を行い、今夏の全国高校総体16強の帝京三と日本航空との一戦は日本航空が2-0で勝利。山梨学院と戦う決勝へ進出した。

 ハイレベルのポゼッションサッカーによって全国総体で大津(熊本)、高知(高知)に勝利した帝京三。その第1シード校を日本航空が狙い通りの展開で打ち破った。「悔しい思いを1年間持ち続けてきた。それが最後勝利につながったと思う」。3回戦で負った右ひじ靭帯の負傷によってベンチスタートだったFW望月達也主将(3年)が振り返る。昨年は同じ準決勝で帝京三に1-2で惜敗。その悔しさをピッチでぶつけて白星をもぎ取った。

 拮抗した立ち上がりから先に流れを引き寄せたのは帝京三だった。前半15分にはFW翁長聖(3年)のスルーパスからFW國分郁弥(2年)が決定機を迎え、16分にもMF青木泰知(3年)のスルーパスでMF對馬瑠伽(3年)が相手ディフェンスラインの背後を取り、20分には青木のループパスで翁長がGKと1対1になる。だが、日本航空は仲田和正監督が「奥津がファインセーブ2本でカバーしてくれた。いつも安定していますけれど、いつも以上に力を発揮した」と振り返ったように、GK奥津亮哉(3年)がビッグセーブを連発。守護神の好守によって序盤の危機を乗り越えたことで日本航空に先制のチャンスが訪れる。

 23分、日本航空は左サイドのMF栗山将太(2年)を起点に左中間で前を向いたMF山口和樹(2年)が「ドリブルで行こうかなと思ったけれど、(深澤が)いい飛び出しをしていたので」と右前方へスルーパス。マークを外してPAにへ飛び込んだMF深澤大樹(3年)が冷静に右足で先制ゴールを流し込んだ。

 帝京三は大山力(3年)、中村哲至(2年)の両SBがウイングかのように高い位置を取り大外の位置からPAへ切れ込んでくる。だがその背後を突くようにボールを運ぶ日本航空は、153cmの山口が抜群のポジショニングと機動力で相手をかき回していたほか、キープ力のある深澤やFW市原駿(3年)を起点に相手を押し返す。

 そして39分だ。日本航空は中盤でボールを奪うとワンツーを交えたパス交換から右中間の山口が縦へスルーパス。これで抜け出した市原が右足シュートをねじ込んで2-0とリードを広げた。

「裏が取れて狙い通りの展開。完ぺきに崩せた。1年間掛けてきた攻撃サッカーが出た」。指揮官も目を細めていたが、ポゼッション能力の高い相手の背後を完ぺきに取る2ゴール。そして後半も「サイドに出てクロスが上がったときは自信がある。練習からかなり速い球でコーチに蹴ってもらっていたんですけど、きょうは思ったよりもスピードが緩かったのでクロスに対しては楽でした」とクロスボールに対してパーフェクトな対応を見せる奥津を中心に、相手に追撃を許さない。帝京三は20分に右サイドからのスルーパスで大山がPAへ飛び込むが、奥津がファインセーブ。21分には左クロスを國分が頭で合わせるがシュートはゴール右外へ外れた。

 逆に日本航空は押し込まれる時間の続いていた後半16分から強行出場した10番・望月が、高いキープ力を発揮してチームに勇気を与える。22分に望月のラストパスから山口が放った決定的な右足シュートはゴール右外へ外れたが、184cmの2年生DF豊川直人を前線に配置してパワープレーを仕掛けてきた帝京三の反撃をCB佐藤啓太(3年)中心に跳ね返していく。終盤は足を攣らせる選手が続出した日本航空だったが、全員で2点を守りぬき、決勝進出を決めた。

 日本航空はこの日の試合前、控えの3年生たちが主力へDVDを贈ってメッセージ。奥津は「サプライズで出れない3年生がDVDを作ってくれて。(そのメッセージで)みんな号泣してかなりモチベーションが上がりました。(また)下馬評が帝三、帝三で雑誌の展望も3ページぐらいやっていた。やってやろうぜという感じでした。みんなチームはまとまっていましたね。常に声を出してやっていた。個では勝てないのでチームで勝とうと口々に言っていた。きょうはチーム力で勝ったと思います」。初優勝を懸けた決勝の相手は新人戦3回戦、総体予選3位決定戦で敗れている山梨学院。全国クラスの強豪との対戦が続くが、再び勝って全員で歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)

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