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1年5か月ぶり招集の宇佐美を酷評、ザック「2年前から成長してない」

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 日本サッカー協会は5日、W杯アジア最終予選・オマーン戦(14日、マスカット)に臨む日本代表メンバー23人を発表した。負傷離脱中のFW香川真司(マンチェスター・U)、FW宮市亮(ウィガン)が招集を見送られた一方、FW岡崎慎司(シュツットガルト)とFW宇佐美貴史(ホッフェンハイム)が復帰した(日本代表メンバーはコチラ)。

 ザック流の“愛の鞭”か。アルベルト・ザッケローニ監督は昨年6月のキリン杯以来、約1年5か月ぶりの選出となった宇佐美について厳しい評価を口にした。

「2年前に日本に来て宇佐美を見たとき、その当時の年齢と実力のバランスを見て非常に驚いたのだが、2年がたって大きくは成長していない。システムの変わったチームでやるなど状況が変わったとはいえ、もっと成長してほしい。今、彼がやっているのは、2年前にできていたことを現在もやっているだけの状態だと思う」

 辛辣な言葉も期待の裏返しだ。指揮官のメッセージは宇佐美に対してだけのものではない。今回、故障もあり宮市が招集を見送られているが、2列目のポジションではこれまでもFW原口元気(浦和)を含めて選出と落選を繰り返してきた選手が多い。

「チョイスに幅のあるポジションでもある。そこでは積極的に若いメンバーを呼んできた。高いクオリティーを持った選手たちで、宇佐美もその中の一人。若い選手を呼んでいるが、一番変更の多いポジションでもある」

 そう指摘するザッケローニ監督は「ここのパートになっている若い選手たちは高いクオリティーを持っているが、彼らの若さを有効利用できていないとも思っている」と、その印象を語る。「他の選手たちより成長する時間が長くあり、伸びしろも多いが、そこから飛躍的に成長する第一歩を踏み出している選手は見当たらない。もっと要求していきたいし、もっと成長してもらいたいという強い気持ちを持っている」と、さらなる奮起を促した。

「成長している姿を見せてほしい。成長の証しがあれば、クラブでも出場機会は増えると思っている。宇佐美は試合に多く出ているが、大津や宮市は試合への出場機会が多くない。原口も昨年より今年の方が試合に出ていないのではないかという印象を持っている(原口は今季、第30節終了時点で28試合に出場しているが、先発は19試合で、途中出場が9試合。出場時間は1749分。昨季は30試合に出場し、うち先発は28試合で、途中出場は2試合。出場時間は2475分だった)」

 積極的に若手を代表に招集し、成長を促してきたが、期待どおりの反応がないことに不満がある。「合宿には、彼らが高い能力を持っているんだということを分かってもらうために呼んでいた。クラブで試合に出なければ成長できないと言われるかもしれないが、クラブで試合に出られないのは、各々のクラブの監督も私と同じ思いでいるのではないか」と、まずはクラブで出場機会を得るべくアピールしていくことを求めた。

 そんな中、招集に至った宇佐美については「彼の適正はセカンドトップ。サイドアタッカーというより、センターFWの近くでプレーすることで彼の良さが生きるのではないかと思っている」と指摘。「足元にボールがあるときは高いテクニックを持っているが、それにとどまらず、スペースで受ける、スペースに走っていくところを見せてほしい」と要求していた。

(取材・文 西山紘平)

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