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[選手権]青森山田vs野洲!1回戦からV候補同士のビッグマッチ実現!

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 19日、第91回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会が都内で行われ、全国リーグの高円宮杯プレミアリーグEASTで高校チーム勢最上位の4位につける青森山田(青森)と、名古屋グランパス入り内定のMF望月嶺臣(3年)擁する野洲(滋賀)の優勝候補同士の対決が1回戦から実現した。

 抽選会では真っ先に前回準優勝の四日市中央工(三重)対プリンスリーグ関東1部首位の桐光学園(神奈川)の強豪対決が決まるなど、波乱の展開となっていたが、組み合わせ表の空欄が少なくなった終盤に再びビッグマッチが決まり、会場が一層沸いた。先に抽選を終えていた青森山田の隣の番号を引き当てた野洲のMF松田惠夢主将(3年)は「(チームメートから)『青森山田は引くな』と言われていた」と痛恨の表情。「(抽選箱の前に)行く前から(青森山田の隣が)残っているな、というのはありました。青森山田はいつも全国大会でもいいところまで行っているし、良いチームとは聞いていたんで、1回戦は嫌だなと思っていたんですけど。でも、3年にとっても最後の大会。1回戦でいい敵とできる。油断しなくていい」と最後は前向きに捉えていた。

 一方の青森山田MF椎名政志主将(3年)は「個人的に強いところとやりたいと思っていた。きょう、寮を出てきたんですけど、その時も『野洲引いてくるわ』ということを冗談で言っていた。強いチームとやりたいという気持ちがあって、野洲が自分たちのところを引いてくれたときは、嬉しかった。(抽選会の終わった)今でも凄いワクワクしている。野洲とできる喜びがあります」と対戦を大歓迎。「野洲はセクシーフットボールと言われるように、特長のある、自分たちのサッカーを貫いてくる。そのサッカーをさせないくらい、攻撃的な守備がしたいです」と意気込んだ。

 抽選会直後の表情は明暗がはっきりと分かれていたが、両チームともにチーム力は非常に高い。青森山田はプレミアリーグEASTで前回優勝の札幌U-18と引き分け、鹿島ユースとのホーム戦では4-0快勝を収めるなど、Jクラブユースとも互角の戦いを演じてきた。ディフェンスは隙がなく、また今年優勝を決めている東京Vユースからも高速カウンターで2ゴールをもぎ取るなど、その組織力の高さを最大限に活かした攻守は全国大会出場チームの中でも群を抜く。また高校世代を代表するSB室屋成やDF縣翔平、FW林雄紀(全て3年)ら個でも試合の流れを変えることができる選手がいることも心強い。

 一方の野洲は各選手が非常に短い距離でポジションを取り、ショートパスとドリブルで切り崩す華麗なサッカーを展開。望月のほかにもFW玉置裕大やFW武田侑也(ともに3年)ら攻撃力の高い選手たちを配置するチームは1年時からのレギュラーも多く、MF乾貴士らを擁して日本一となった05年度とも比較される好チームだ。また松田は「いつも自分らの高校は攻撃陣が注目されますし、それもいっぱい注目されていいんですけど、ディフェンス陣も活躍するサッカーをするので注目して欲しいです」。“中盤の掃除人”である松田やCB水野隼人(3年)らディフェンス能力の高い選手も擁し、また人数をかけた攻撃を行う中で、失った瞬間に彼らが2、3人がかりで強烈なプレスを繰り出す“ボール狩り”でも対戦相手を沈めてきた。

 ともにターゲットは頂点だけ。野洲の松田は上位進出を果たせていない近年のチームと比べ、「1回戦とかで終わっているのもある。多分、そのときはチームとしても完成していなかった。今年はチームの完成度も高いと思う。多分、全国制覇しますね」と静かにV宣言した。青森山田の椎名は兄のMF椎名伸志(現流通経済大)が主将を務めていた3年前に決勝進出しているだけに、個人的にも大会への意気込みは強い。「選手権というのは最後の思いというのがそれぞれのチームにあって、強いチームが必ず勝つ訳ではないというのは(前評判の高かったチームの多くが敗れた)県大会を見れば分かる。自分たちは今までの戦績から優勝候補に挙げられると思うんですけど、まずは初戦。目標は優勝ですけど、まずは初戦に勝って波に乗れればと思う。日本一を目指してやってきたので、それが見ている人に伝わるような熱いプレーをしたいです」。スタイルの違う優勝候補同士の戦い。いきなり初戦で訪れた大一番を制して勝ち上がるのは果たしてどちらか?

[写真]抽選会で握手をかわす青森山田MF椎名(左)と野洲MF松田

(取材・文 吉田太郎)
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