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[選手権予選]鹿島内定の大津MF豊川「観客が『アイツ、スゲーな』と思うようなプレーを」

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[11.23 全国高校選手権熊本県大会決勝 ルーテル学院0-1大津 KKウイング]

 優勝を喜ぶイレブンの中で大津の背番号10は悔しさを滲ませていた。「優勝しましたけれど、個人的には納得していないです。悔しいですね」

 大津のエースMF豊川雄太(3年)は来季の鹿島アントラーズ加入が内定している注目のアタッカー。だが、この日は決定的なヘディングシュートなどシュート3本を放ちながらも無得点に終わった。総体予選決勝で決勝ヘッドを放ち、プリンスリーグ九州1部でも得点王争いをするなど、正確無比なFKとドリブル、シュート技術の高さなどでゴールを量産し、チームを勝利へと導いてきたが、今回の予選については「みんなに全国へ連れて行ってもらいました」。

 豊川は9月の天皇杯で鎖骨骨折の重傷。当初、復帰は12月の見込みだった。ただ選手権への思い、チームのために戦いたいという思いを抑えることができずに今大会準決勝から強行出場。「(医師からは)『コンタクトプレーをしなければ出てもいい』と言われていた。でも、そんなこと言ってられないし、自分も出たい気持ちがあった」。

 ピッチに戻ってくることはできた。ただ、急ピッチで復帰を目指してきたため、コンディションはまだまだ。身体のキレがなく、思うようなプレーをすることができない。それでもチャンスは何度かあっただけに、それを決め切ることができなかったことが悔しさを増幅させた。「決めるチャンスはあった。それを決めてこそエースだと思うので、そこを自覚していきたいですね」
 
 全国大会までの1か月強、まずはコンディションをベストに持っていくことからスタートする。そして全国大会ではチームの勝利につながるプレーをして、予選の恩返しをすることが第一目標。加えて鹿島へ進む自分自身を多くの人に印象づけたいという思いも持って全国舞台に立つ。「ボクは代表とか入っていない。(ともに大津から鹿島入りする)植田と違って(サポーターは)自分がどういうプレーをするのか分からないと思う。そこで『こういうプレーするんだ、スゲーな』と思わせられるように。他の人と違うんだぞというインパクトを与えたい。アントラーズという特別なクラブに入る責任もありますし、自覚もあります。選手権までにコンディションを戻して、そんなに意識せずに貪欲にゴールを狙っていきたい。そして観客が『アイツ、スゲーな』と思うようなプレーをしていきたい」。笑顔のイレブンの中で、エースは全国大会での雪辱を誓った。

(取材・文 吉田太郎)

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