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[プレミアリーグEAST]笑顔なき勝利…浦和ユースは3発勝利もプリンスリーグ降格決定

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[12.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 浦和ユース3-0旭川実高 埼玉第2G]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEASTは9日、最終節を行い、9位の浦和レッズユース(埼玉)は10位の旭川実高(北海道)に3-0で勝利。勝ち点を19へ伸ばしたが、8位・三菱養和SCユースの20を上回ることができず、9位とプリンスリーグ降格が決まった。

 後半33分にエースMF中村駿介(3年)が決めた先制ゴールをはじめ、ゴールを奪う度に喜びを爆発させていた浦和イレブンだが、試合後、その表情からは笑顔が消えていた。応援席の控え選手から伝えられた1位・東京Vユース対8位・三菱養和SCユース戦の試合結果は1-1ドロー。東京Vが三菱養和に勝利していればプレミアリーグ残留が決まっていた浦和だったが、この瞬間、下部リーグへと突き落とされた。

 涙の止まらない選手たち。右サイドで圧巻の運動量を見せてチームを引っ張ったSB新井純平主将(3年)は「後輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。今までの積み重ねが甘かった。もっとキャプテンとして仲間を鼓舞できた。自分の責任という思いが強い」と唇を噛んだ。

 試合開始前の時点での三菱養和との勝ち点差は3。「とりあえず自分たちは勝つしかない。勝つことだけしか考えていなかったです」と中村は振り返ったが、目標がはっきりとしていたチームは立ち上がりからボールを支配。9分に左SB佐藤大介(3年)が左足ミドルを放ったほか、中村と新井のコンビで右サイドを切り崩すなど旭川実ゴールへ襲いかかる。だが、旭川実は選手同士が絶妙な距離感を保ち、豊富な運動量も合わせて相手を懐に入り込ませない。

 逆にオープンスペースを突く2トップや中央でボールを収めるMF奈良創平主将(3年)を起点に、機動力のあるMF田中伸明(3年)が中央からサイドハーフを追い越してクロスへ持ち込むなど、旭川実はゴール前までボールを運んでいた。32分にはFW橋本恵太(2年)の右足シュートがクロスバーをかすめ、39分には右SB高橋昌訓(3年)の右FKが逆サイドへ流れたところを奈良が決定的な右足シュート。エースFW山本真司(3年)を欠いていた旭川実だが、プレミアリーグ初勝利へ気合十分の戦いを見せていた。

 0-0で前半を折り返した浦和は後半、前への迫力を強める。10分にはFW広瀬陸斗(2年)のドリブルからFW関根貴大(2年)が右ポスト直撃の右足シュート。またオーバーラップの回数を増やした新井がそのスピードと突破力で何度も右サイドを打開してくる。ただ11分に関根が迎えた決定機は旭川実GK永井建次(3年)の好守に阻まれ、また積極的に放ったシュートの精度を欠くなど、なかなか先制点を奪うことができなかった。

 それでも33分だ。AFC U-16選手権日本代表CB茂木力也(1年)の縦パスから新井が一気に右サイドを切れ込む。そして中央へ出されたピンポイントのラストパスを中村が右足ダイレクトで合わせてついに先制点を奪った。重圧から解き放たれた浦和はさらに37分、左サイドからMF長谷優、ファジアーノ岡山入り内定MF寄特直人(3年)とつなぐと、最後は逆サイドでフリーだったMF繁田秀斗(3年)が右足シュートをゴールへ叩き込んだ。そしてアディショナルタイム突入後の46分にはPAに切れ込んだ長谷のドリブルから、こぼれ球を拾ったFW進昂平(2年)が右足で3点目のゴールを奪った。3-0でこの日自分たちができる最低限の結果を残した浦和。だが、願いは届かなかった。

 MF山田直輝やFW原口元気を擁した08年の全日本ユース(U-18)選手権では決勝で9得点を挙げて日本一。また今年は日本クラブユース選手権(U-18)大会関東大会を制すなど、近年安定して全国上位のチームをつくっていた浦和だが、10節までわずか1勝(6分3敗)に終わり、後半戦は3度の逆転負けを喫するなど勝ちきれなかったことが響いて無念の降格となった。得点ランキング4位タイの10得点を挙げた中村は「入れてはいますけれど、2点、3点決められる選手ではなかった。そこができていれば違う結果にもなったと思う。自分がもっと上手くなって、ひとりでも試合を決定づけられるようになれていれば良かった、と後悔しています。(大学へ進学するが)次元の違う選手になって、大学の途中でも(特別指定選手になって)このチームに帰って来たいと思います」

 新井は後輩へ向けて「いい選手ばかりだと思うので、絶対に上に行けるんだぞ、ということを信じて。ボクたちもしっかり応援するので、絶対にこのプレミアリーグに上がって来て欲しいと思っています。というか、這い上がれると思っています」とメッセージ。そして「この悔しさは絶対に忘れず、いつまでも胸にしまいながら、そして(自分は)トップ昇格できないで大学に行くということになったんですけど、その悔しさも胸にしまって、4年間修行を積みたい。自分の足りないところも見つけているんで、そういうところも磨きながら、絶対に4年後にこの(浦和の)エンブレムをつけて埼スタのピッチに立てるように一日一日を大切にしていきたい」。3年生も、下級生もこの日の悔しさを忘れない。どんな形でも、いつかチームに恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)
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