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[皇后杯]勇退の星川監督に花道を、澤「いい形で送ってあげたい」

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[12.22 皇后杯準決勝 INAC神戸1-0浦和 NACK]

 第34回皇后杯全日本女子サッカー選手権は22日、NACK5スタジアム大宮で準決勝を行い、今季なでしこリーグの覇者・INAC神戸レオネッサが浦和レッズレディースに1-0で競り勝ち、大会3連覇に王手をかけた。

 準決勝前日の21日に今季限りでの退任が発表された星川敬監督。日テレ・ベレーザの監督時代を含めれば“4連覇”での勇退まで、あと1勝となった。

「ベレーザのときもリーグ(のタイトル)を取れなくて、全日本選手権で優勝した。INACに来てからも最初のタイトルが全日本選手権だった。僕自身、一度も負けてない大会」

 09年に日テレの監督に就任した星川監督は同年のなでしこリーグは準優勝に終わったが、全日本女子選手権を制し、監督として初タイトルを獲得した。10年7月、日テレを解任されるが、同年11月にINACの監督に就任。すると、直後の全日本女子選手権でクラブ史上初のタイトルをもたらし、翌11年も連覇。なでしこリーグも、11年から2シーズン無敗で連覇を達成した。

 今季限りで退任することについて「選手たちには先週の段階で伝えていた」という。「動揺はないと思っていたが、必要以上に勝利にこだわっていた。そういう意味では、少し影響があって、プレーが硬くなり、自分たちのサッカーができなかったのかもしれない」。指揮官の花道をつくりたい。その思いが選手たちのプレッシャーになった。

 星川監督自身、采配には“私情”が入っていた。負傷を抱えるMF澤穂希らを先発起用し、右膝痛のFW大野忍も後半38分、最後のカードで投入した。「自分も今日が(INACで指揮を執る)最後かもしれないし、納得できるメンバーを起用したかった。負ければ大野とプレーできなくなる。それで延長になっても納得いく」と説明。「レアル、バルサの次にいいメンバーを預かっている気持ちでいる」という愛弟子たちと悔いを残すことなく戦いたかった。

 前半26分にDF近賀ゆかりが負傷交代し、26日の決勝に出場できるかは微妙だ。「やれない可能性もあると思う。今まで右SBで違う選手を使ったことはあまりない。ただ、皇后杯は最初からベストメンバーを組めない試合が続いていた。選手層の厚さ、真価が問われる試合になると思う」と、総力戦で戦い抜く覚悟だ。

「皇后杯は自分にとって縁のある大会。勝ちたい気持ちはあるけど、今日のようなサッカーで勝ってもうれしくない。勝ち負けより、これまでやってきたサッカーを出してほしい」。そう話す指揮官について澤は「星川さんが監督になってから、まだまだサッカーがうまくなれるんだと感じたし、伸びしろを広げてくれた」と感謝する。34歳の澤と36歳の星川監督。「同世代だし、いい花道というか、最高の形で送ってあげたい」と誓っていた。

(取材・文 西山紘平)

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