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[大学選手権]「一番でなければ何も意味が無い」名門・早稲田大が5発快勝で5年ぶりV王手!

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[12.24 大学選手権準決勝 早稲田大 5-0 鹿屋体育大 味フィ西]

 平成24年度 第61回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は24日、味の素フィールド西が丘で準決勝を行い、第2試合では早稲田大(関東3)が鹿屋体育大(九州2)に5-0で快勝。早大は5年ぶり12回目の優勝を懸けて、13年1月6日の決勝で福岡大(九州1)と対戦する。

 一番になること以外は、考えていない。後半の4得点で鹿屋体大をねじ伏せた試合後、古賀聡監督は「ファイナリストになるとか、国立でやるとか全く意味の無いこと。ボクらは年間通してファーストを獲るということを目標にしてやってきましたので、何が何でも福岡大学さんに勝利を収めて頂点を極めたいと思います」と言い切った。インカレ最多の優勝11度を誇る名門・早稲田。今回は日本一に輝いた07年度以来5年ぶりの全国舞台だが、ワセダのプライドは一番でなければ保つことはできない。

 準々決勝で連覇を狙う専修大をPK戦の末に下してきた鹿屋体大とのセミファイナル。先に決定機をつくったのは鹿屋体大だった。前半10分、左CKのこぼれ球から放り込まれた左クロスをニアサイドのFW坂田良太(3年=大津高)が頭で合わせる。だが相手の好守に阻まれると、15分にはポゼッションから縦パスが2本入り、坂田が右足を振りぬくも枠を捉えることができなかった。

 鹿屋体大は前線の坂田やキープ力のあるMF小谷健悟(2年=神村学園高)、MF福田晃斗(2年=四日市中央工高)をポイントにダイレクトパスを多用して攻めたが、早大は選手間で上手く距離とバランスを保ち、また球際の厳しい守りで、鹿屋体大のアタッキングエリア侵入を許さない。そして相手DFとの駆け引きを繰り返していたFW富山貴光(4年=矢板中央高、大宮アルディージャ内定)とFW榎本大希(3年=横浜FMユース)の2トップが鹿屋体大を苦しめると32分、カウンターから榎本が左サイドを独走。判断良く右サイドでフリーのMF白井豪(4年=三鷹高)へラストパスを通すと、白井は縦に仕掛けてから右足シュートをねじ込んだ。

 背番号26の3試合連続先制ゴールによって1-0。指揮官も「自分たちの戦い方が最初から最後までブレずにできたと思います。前線の選手の動き出しを常に見ながらまた前の選手も積極的に引き出しながら攻撃の速さを出すスイッチを伺いながら攻撃をしていくという形は、回数は少なかったですけれどもできていた。そして数少ないチャンスをものにできたので前半は良かったと思います」と1点リードで終えた45分間に納得していた。

 そして後半、早大が一気に加速する。鹿屋体大は、右MFとして先発した粕川正樹(3年=前橋育英高)を左SBに移行するなど“得意”の多彩なポジションチャンジによって相手のリズムを崩そうとしていたが、早大は動じない。逆に後半5分、ファジアーノ岡山内定MF島田譲(4年=鹿島ユース)が左足で弾丸ミドルを突き刺して2-0。このゴールで完全に試合の流れを傾けると、7分には右サイドを抜けだした富山が相手DF陣を完全に引きつけてから中央へラストパスを通し、フリーの榎本が3点目のゴールを叩き込んだ。

 後半のシュートがCB坂井達弥(4年=東福岡高、サガン鳥栖内定)のヘディングシュート1本に終わった鹿屋体大に対し、早大は28分、投入直後のMF田中太郎(1年=藤枝東高)が右サイドで粘り、中央へラストパス。これをMF近藤洋史(2年=名古屋U18)が技ありの右足シュートで決めて4点差とすると、30分には左サイドの近藤の折り返しを富山がワンタッチで押し込み、“ゴールショー”を締めた。
 
 今年、早大は7冠を掲げてスタート。ただ総理大臣杯全日本大学トーナメントの関東予選を制し、伝統の早慶戦を勝利したものの、総理大臣杯の全国大会と関東1部リーグ戦はいずれも3位に終わっていた。ゲームキャプテンのCB菅井順平(4年=浦和ユース)は「総理大臣杯では決勝を意識してしまって、準決勝で敗れてしまったのもあるし、そういった教訓というか全てがここにつながっている。総理杯もリーグ戦も優勝を目指してきて穫れなかったのでこの大会に懸ける思いは強いですし、教訓とか経験が全て活かせるようにしたい」と語り、体調不良の影響で今大会メンバー外が続いている主将のCB畑尾大翔(4年=東京U-18)は「日頃から、監督からも『早稲田大学ア式蹴球部というのは一番でなければ意味がない』ということを言われていて、自分たちも総理大臣杯の3位で何かいい思い出があるかと言ったら強い思いはないし、一番でなければ何も意味が無い。2位でも3位でもベスト8でも何も変わらなくて、一番じゃなければ意味が無いという思いが今のチームには強い。(きょう)決勝に進むことは決まりましたけれど、まだ何も手に入れていない」と引き締めた。

 オフ・ザ・ピッチでもオン・ザ・ピッチでも常に各部員が目標である「WASEDA THE 1st」を成し遂げるために何が必要か考えながら毎日を過ごし、畑尾が「自分でもびっくりするくらい、チームが変わった」という早稲田。一番になることだけにこだわってきた名門は決勝も勝利あるのみだ。

(取材・文 吉田太郎)

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