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[全日本ユース(U-15)選手権]世界2位のG大阪JYが史上初の3冠王手!

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[12.27 全日本ユース(U-15)選手権 G大阪ジュニアユース3-1横浜FCジュニアユース J-GREEN堺]

 高円宮杯第24回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会は27日、J-GREEN堺メインフィールド(大阪)で準決勝を行い、第2試合ではガンバ大阪ジュニアユース(関西1、大阪)が横浜FCジュニアユース(関東3、神奈川)に3-1で快勝。5年ぶり3回目の優勝に王手を懸けた。G大阪は日本一を懸けて、29日の決勝で大宮アルディージャジュニアユース(関東1、埼玉)と戦う。
 
 史上初の3冠達成に王手を懸けた。G大阪は今年、JFAプレミアカップ2012 supported by NIKE(5月)とadidas CUP 2012 第27回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会(8月)で優勝。もし今大会で優勝すれば、史上初のU-15世代の全国3冠制覇となる。この日、危険を何度も消していたCB吉岡裕貴は「史上初の3冠。みんなでラストなんで優勝、いきたいです」と力を込めていた。

 U-17日本代表のMF市丸瑞希をはじめ、ともにU-16日本代表候補のFW高木彰人とFW小田垣旋の2トップなど実力者たちが攻守で違いをつくり出すG大阪だが、初出場で4強入りを果たしている横浜FCもMF齋藤功佑を中心としたテンポのいいパスワークで対抗。FW前嶋洋太やFW赤城蓮のスピードもアクセントにG大阪守備陣にプレッシャーをかけてきた。9分にはPA手前で攻撃をスピードアップさせて齋藤が右足シュート。10分にはFW梅原郁人が思い切ったミドルシュートを放った。

 一方のG大阪は市丸や10番MF岩本和希中心にボールを動かすと、中学世代では別格と言える高木のスピード、パワーを活かした縦パスも交えて横浜FCゴールへ近づいていった。横浜FCはCB渡辺祥中心に粘り強い守りを見せていたが27分、相手の一瞬の隙を突いたG大阪が個人技で先制ゴールをもぎ取る。

 G大阪はクリアボールを左中間で拾った市丸が前方のスペースを上手く突いてPAまで持ち込むと、そのまま鮮やかな右足シュートをゴール右隅へ流し込んだ。先制したG大阪はその後も高木が迫力十分のドリブル突破からシュートへ持ち込み、左SB初瀬亮が積極的なオーバーラップを繰り返すなど個々の良さを発揮しながら追加点を目指していく。

 G大阪は開始からMF牧野寛太を投入した後半、さらにペースアップすると高木が決定的なシュートを連発。ともにスピードのある高木、小田垣との攻防戦を繰り返した影響か、徐々に運動量の落ちてきた横浜FCを攻め立てると22分だ。市丸を起点に左オープンスペースでボールを受けたFW宮森祐希が中央へパスをつなぐ。そして牧野は正面から右サイドへ流れながら高木とのワンツーを選択。マークを外してリターンを受けると、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 G大阪はさらに32分にも右サイドから岩本、高木とつなぎ、最後は牧野が再び右足シュートでゴール右隅を破って3-0。横浜FCは後半40分に齋藤が自ら獲得したPKを右足で決めて1点を返したが、シュート数18-3で難敵を圧倒したG大阪が決勝進出を決めた。
 
 夏の日本クラブユース選手権は7試合で30ゴール。今大会も1回戦からすべて3得点以上を叩きだすなど王者は違いを見せつけている。ただこの強さは圧倒的な攻撃力だけではない。8月に出場したU-15世代の世界大会、マンチェスター・ユナイテッド プレミアカップ(中国)では優勝候補のサントス(ブラジル)に1-0で勝つなど日本勢初の決勝進出を果たしたが、ここでは押し込まれる展開もある中で泥臭く白星を重ねていった。鴨川幸司監督は「チリの優勝チーム(ウニベルシダ・カトリカ)とかサントスとかパチューカ(メキシコ)とかは、向こうの方が支配している時間が長くて、その中で粘り強く、泥臭いサッカーをしないと勝てないという体験ができた。このチームにはちょうどそれが足らんかったんで。子どもらには『ガンバのサッカーをやろう』と言うんやけど『ガンバのサッカー』というのは『キレイなサッカー』ではなくて『泥臭いサッカー』。みんなが勝ってきているのは泥臭いプレー、地味なプレーを忠実にやれるから勝って来ているんや、と。その上にいいパスワークや個人技とかがあるんやで、と言っている」。

 この日、ゲーム主将を務めた市丸も「(世界相手では)フィジカルが全然違って1対1ではなかなか勝てないシーンがあったんですけど、チームで戦った。周りのイメージやったらガンバはパスつないでキレイなサッカーをするというイメージだと思うんですけど、ガンバは泥臭いサッカーをするチームなので、今までになかった泥臭さが世界大会で身についたと思います」と華麗さではなく、“泥臭いプレー”、“地味なプレー”の成長に胸を張る。この日も攻撃力の高い横浜FCにPAまで持ち込まれる場面はあったが、これまで以上に逞しくなったG大阪は個々がハードワークを徹底し、快勝につなげた。

 巧さと力強さを兼ね備えた最強軍団が史上初の3冠を成し遂げるまであと1勝。決勝へ向けて市丸は「真の日本一を目指して頑張りたいと思います」。これまでの結果はこれまでの結果。チームは目の前の試合に集中している。全体的に飄々としている印象だが「試合ではギアを変えてやってくれる」と指揮官が目を細めるように、貪欲に勝利にこだわる王者が偉大な記録を打ち立てる。

[写真]後半32分、G大阪の牧野がこの日2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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