[中学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 全日本ユース(U-15)選手権決勝 大宮ジュニアユース2-4G大阪ジュニアユース J-GREEN堺]
　
　先発唯一の2年生が大仕事をしてのけた。U-15世代の日本一決定戦で2発。同じくJ-GREEN堺で開催された5月のJFAプレミアカップ2012 supported by NIKE決勝でも1ゴールを決めているMF堂安律はチームの2点目と4点目を叩きだしてチームを3冠へと導いた。

　前半14分にMF田中駿汰とのワンツーを完結させて先制点に絡んだ堂安は25分、左サイドのFW高木彰人からのパスを受けるとコントロールから左足一閃。「(小田垣)旋クンがスルーしてくれてスペース空いていたのでトラップして、あとは思い切り打ちました」と豪快な一撃をゴールへ突き刺すと、さらに3-2と詰め寄られた直後の後半22分には、左FKから高木が頭でそらしたボールを「気持ちで入れました」と左足で押し込んで相手の反撃ムードを断ち切った。

　史上初の3冠を達成したチームの中で唯一、2年生ながら先発を張る。「全国大会はスタメンで出してもらえたんですけど、サブになっている3年生も上手い人ばかりで、練習のときからポジションの取り合いやったんで自分も成長できたと思います」。春のJFAプレミアカップでは決勝でゴールを決めたものの、当時はまだ自信を持って自分を出すことができていなかったという。だが今回は得点に絡むという自分の良さを発揮。「(以前は)前向ける時にビビってバックパスしてしまったり、得意のスルーパスとかシュートとか得点が少なかったんですけど、今回できたことは良かった」と胸を張った。

　3冠達成をこれから全国を戦う兄に報告する。堂安の兄、FW堂安憂(高校2年)は12月30日開幕の全国高校選手権で長野県代表の初出場校、創造学園の一員として出場する。兄はチームの攻撃の切り札的存在で、注目の2年生アタッカーだ。今晩、兄の応援のために、家族とともに車で東京へ向かうという堂安は「頑張ってほしいです。とにかく3冠取ったと自慢したいです」と微笑んだ。全国3冠を達成した弟は高校日本一を目指す兄をスタンドから後押しするつもりだ。

　自身は来年、エース格として全国連覇を目指すことになる。「プレッシャーはあるんですけど、プレミア(JFAプレミアカップ、5月)がまず最初の試合なんで優勝して、世界大会へ行きたいです」。先輩たちが成し遂げた偉業に来年も続くことを誓っていた。

(取材・文　吉田太郎)