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[MOM727]作陽MF平岡翼(2年)_作陽の飛躍に欠かせぬ「翼」がチーム救う一撃

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 富山一1-1(PK2-4)作陽 江戸川陸]

 “翼”と書いて“たすく”と読む彼の名前には「翼というのは鳥を助けていて、鳥は翼がなかったら、生きていけない。人間の翼のような存在、欠かせない存在になって欲しい」という両親の思いが込められているという。そんな思いを表現するように、MF平岡翼(2年)の存在は今年の作陽にとって欠かせない物となっている。

 この日も、「そこで負けたらボク、どこで勝つねんって思う。速さで負ける気はしないです」と話す自慢のスピードを生かし、右サイドを躍動。粘り強く守る相手DFに対し、「それでもぶっちぎってやろうと思っていた」と意気込んだように、果敢に縦へ仕掛けて、ゴール前に持ち込むだけでなく、
縦へ行くそぶりを見せながら、アーリークロスを入れるなど1試合通じて、チャンスを作り続けた。

 それでも1点が奪えず苦しい流れは続き、80分間を終えて0-1と、敗戦が濃厚となっていたが、「自分を信じて、チームでやろうと前日から監督に言われていた」と話したように最後まで勝利を諦めずに走り続けた。そんな思いは結果へと結びつく。アディショナルタイム突入後の後半41分、左コーナー付近でDF米原祐(3年)がルーズボールを拾うと素早くサポート。ボールを受けた瞬間に、「DFが食いついてきていたので、ワンタッチでかわしたらシュートチャンスがあると思っていた。とにかくゴールを決めようと思い切り打った」と素早く放ったミドルシュートはブレながら相手ゴールの右上に決まり同点に追いついた。 

「練習でもよくやるイメージ通りのプレーでした。今までやってきた中で、自身最高のシュート。今日は自分自身でも誉めてあげたいです」と振り返った一撃で九死に一生を得た作陽はPK戦を乗り越え、何とか勝利。3回戦進出を決めた。

 昨年度もメンバー入りこそしたものの、選手権には出場できず。12年夏の高校総体も県予選で敗退するなど悔しい思いが続いていた。それだけに今大会にかける思いは人一倍強い。「自分が基点になるのが今の作陽だと思っているので、自分がスピードを出すことによって相手DFを崩そうと思っていた」。そう話す姿からは下級生ながら、すでに貫禄すら漂う。「初の選手権に出られていることに感謝して、自分が目立つ大会というか、自分の大会にしたい」。言葉通りに今大会、彼が羽ばたくことが出来るか注目だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 森田将義)
【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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