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[選手権]ターンオーバーで出場の三野&永松が全5得点に絡む活躍!作陽が滝川二を下し8強入り

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[1.3 全国高校選手権3回戦 作陽5-2滝川二 フクアリ]

 第91回全国高校サッカー選手権3回戦は、3日、各地で行われた。千葉・フクダ電子アリーナの第1試合は、作陽(岡山)と滝川二(兵庫)が対戦した。一方的な作陽ペースとなった前半、FW三野草太(3年)のゴールで幸先よく先制する。1-0で前半を終えるが、後半は一転して打ち合いに。後半8分にDF河面旺成(3年)が直接FKで追加点を奪うと、DF丸野了平(2年)と三野の2点目でリードを4点に広げる。その後作陽が退場者を出し、MF高畑智也(3年)が1点を返すが、MF永松達郎(2年)がダメ押しの5点目。後半アディショナルタイムにDF佐々木慎太郎(3年)が反撃のゴールを決めるも時すでに遅し。作陽が5-2で準々決勝に駒を進めた。

 作陽は、2回戦の富山一(富山)戦で後半アディショナルタイムに殊勲の同点弾を叩き込んだMF平岡翼(2年)をベンチに置いてスタート。しかし、「誰が出てもできる」と野村雅之監督が語る通り、ワンタッチを駆使したパスワークは変わらず。選手層の厚さを見せつけ、今大会初先発となったワントップの三野とトップ下に入った永松を起点にし、攻撃をしかけていく。

 一方の滝川二は、生命線であるサイド攻撃をしかけたいが、作陽の高い位置からのプレスに苦しみ、ロングボールを蹴り込むだけの展開になり、DF米原祐(3年)と河面にことごとく跳ね返され、ボールをキープできない。セカンドボールを上手く拾う作陽に押し込まれ、ボランチの太田とMF高畑智也(3年)が守勢に回る時間が長くなり、攻撃はサイドで単独でドリブルを仕掛けるのみという、単調なリズムに陥ってしまった。

 前半32分、作陽の攻撃が結実する。滝川二陣内でボールを受けた三野が前を向いてドリブルを始めると、PA外から右足を一閃。ゴール左隅に吸い込まれ、作陽が先制点をあげる。

 後半に入っても1点をリードする作陽ペース。三野の懐の深いポストプレーと、その三野と絶妙な距離感を保つ永松がワンツーとキレのあるスピーディなドリブルを使い分け、前半同様に滝川二守備陣を翻弄していく。後半8分には、三野が前線でボールをキープしているところを、たまらず滝川二DFがファイルを犯す。ゴール正面、約20メートルの位置で得たFK。キッカーはセンターバックの河面。左足で直接狙ったシュートは、ゴールポストに当たってネットを揺らし、貴重な追加点となった。

 2点のリードで重圧から解放された作陽は、さらに攻撃の手を強めていく。後半12分には、敵陣内でボールを奪った右サイドバックの丸野が鋭いカットインを見せ、永松とのワンツーからリターンを受けるとミドルシュートを沈めて3-0。その3分後には、永松のループパスを滝川二DFラインの裏で受けた三野がGKと1対1になり、落ち着いて決めて4-0とする。

 4点のリードを奪った作陽は、守備の要であり主将の米原をベンチに下げるが、アクシデントに襲われる。DFラインの裏へ飛び出され、GKもかわされたところでMF青木大峰(2年)が相手を後ろから倒してしまう。PAのわずかに外だったためPKではなかったが、判定は一発退場。このFKを直接高畑が決め、滝川二がようやく1点を返す。作陽は3点差につめられた上、残りの約20分を10人で戦う苦しい展開になった。

 しかし、次にゴールをあげたのは、フォーメーションを4-4-1に変更してカウンターを狙う作陽だった。後半33分、カウンターから得たCKのこぼれ球に素早く反応した永松が強烈なミドルシュートを突き刺し、作陽が再びリードを「4」に広げる。

 滝川二は両センターバックの佐々木、大住直輝(3年)を前線に上げ、パワープレーに出るも、アディショナルタイムに佐々木が1点を返すのみに留まり、5-2で作陽が勝利を手にした。ターンオーバーをしながらでも5得点をあげた作陽は、「出来過ぎだった」と野村監督。対する滝川二の栫裕保監督は「サイドをある程度やられるのは想定していたが、中を割られたのが敗因」と分析。守備陣が崩壊し2大会ぶりの優勝という目標は断たれてしまった。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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