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[選手権]「想像以上」京都橘が4発8強入り!!

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[1.3 全国高校選手権3回戦 京都橘4-1丸岡 駒場]

 第91回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行った。浦和駒場スタジアムの第1試合では京都橘(京都)がFW小屋松知哉(2年)の2ゴールなどによって丸岡(福井)に4-1で快勝。初の8強進出を決めた。京都橘は5日の準々決勝で帝京長岡(新潟)と対戦する。

「想像していた以上ですね。こんな舞台でやらせてもらえるとは思っていなかったんで、すごい経験ですし。でも、ベスト8をやらせてもらえるからには恥じないプレーをしたいですね」。選手権初勝利の勢いに乗って一気に3勝。京都サンガF.C.FW宮吉拓実を兄に持つMF宮吉悠太(2年)は8強入りを驚きながらも、決意を新たにしていた。

 その宮吉も2試合連続ゴールを決めるなど、この日も京都橘の攻撃陣が爆発した。シュート数は計22本。4バックのうち3人が180cmで残る右SB五十嵐堯主将(3年)も177cmという大型DF陣の丸岡から、京都橘はスピードとセットプレーで決定機を作り出す。前半3分と5分にはCKから決定機を作り出すなど優勢に試合を進めると21分、FW仙頭啓矢(3年)が頭でディフェンスラインの背後へラストパス。スピードでDFを振り切った小屋松が右足で先制ゴールを流し込んだ。

 10番の3戦連続ゴールによって1-0。快足2トップの連係からゴールを奪い、MF中野克哉(1年)の正確な左足キックやMF伊藤大起(3年)の仕掛けなど、主導権を握ったまま前半を折り返した。そしてハーフタイムに米澤一成監督の「丸岡のファイトする姿勢に飲み込まれかけていた」という厳しいゲキで気合を入れなおすと、後半選手たちがギアチェンジ。セットプレーから1年生CB林大樹が連続して決定的なシュートを放つと、同じく1年生の右SB倉本光太郎も闘志むき出しのプレーでエンジのユニフォームに襲いかかる。

 京都サンガF.C.U-15時代に全国2冠を獲得している2人については指揮官も「物おじしないですし、いろいろな経験もしている。(米澤監督が京都府選抜の指揮を執った)今年国体でも使っていたんですけど、その中でもやれていまししたし、大舞台でもやれるんやなというのは見られたりしていた。全国でもそのまま行けたらなという思いはありました」と評していたが、「勝者のメンタリティー」と持つ下級生の力もアクセントに試合を進める京都橘は快速2トップが試合を決める。

 後半12分、京都橘は右サイドからドリブルで仕掛けた仙頭のラストパスを小屋松が左足ワンタッチでゴールへ沈めて2-0。直後に最終ラインで奮闘していたCB坂口亮(2年)が2枚目の警告を受けて退場した丸岡に対し、京都橘は24分にも仙頭の右FKをタイミングよくニアサイドへ走りこんだ宮吉が頭で合わせて3-0と突き放す。そして京都橘は21分にもMF釋康二(3年)とのスイッチから小屋松が左前方へ絶妙なラストパス。これを交代出場のFW赤澤祥平(2年)が冷静に右足でゴール右隅へ流し込んだ。

 丸岡は後半24分にスルーパスからPAで粘ったFW辻川雄太(2年)の折り返しをMF飯田啓祐(3年)が右足ダイレクトでゴールへ流し込んで1点を返す。ただ、MF寺尾亮佑(3年)と飯田の両MFを起点にテンポのいいサイド攻撃でクロスまで持ち込んでいた時間帯で失った2点目と10人での戦いを強いられた展開が響いてしまった。

 京都橘の米澤監督は「チームとしてはPKで1回勝てた時に正智(深谷)さんも強かったので、そこでまとまれたのが凄く大きくて、輪をかけるように(主将の)高林の離脱とかもあって、まとまらざるを得ない状況になった。選手も含めていろいろ考えながら準備できたかなと思います」と語り、宮吉も8強進出の要因について「気持ちですね。メンバーとメンバー外もつながっていると思うし、ホテルにいるキャプテンともつながっている(微笑)。みんなの思いを背負って、気持ちでやっていますね」と言う。

 主将の左SB高林幹(3年)はウィルス性の胃腸炎の影響で初戦が行われた12月31日から体調を崩し、一時ノロウィルス感染の懸念もあったことからホテルの部屋に隔離状態。2回戦に続き、この日も会場に来ることができなかったが、携帯電話で試合前のチームメートをリラックスさせるなど、ピッチの外から念を送リ続けていた。メンバー外の選手、そして主将のためにも戦った京都橘全員で掴んだ8強進出だった。

 小屋松は「全国の舞台でキャプテンなしでは負ける訳にはいかない」と語り、ゲーム主将を務めた仙頭も「キャプテンいない中で負ける訳にはいかない。勝てて良かった」とホッとした表情を見せた。その高林主将も回復の兆候を見せており、準々決勝には復帰する方向。主将のために、という思いも武器に快進撃を続けるイレブンは、国立進出を懸けた準々決勝で頼もしい力も加えて戦う。

[写真]京都橘は小屋松(右)の2発など4発で8強入り

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)

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