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[練習試合]開幕へ準備を進める鹿島 DF岩政「急ピッチで仕上げている」

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 横浜FMと甲府の練習試合の取材を終え、鹿島アントラーズ対宮崎産業経営大の練習試合の会場へ向かった。会場に到着した時には1本目の試合が、すでに始まっていた。そのメンバー構成が興味深かった。この4日間で複数クラブの練習試合を取材したが、どのチームも最初の試合に主力と思われる選手たちが出場していた。この場合、自分たちの試合を終えた選手たちは、若手の試合を見ることはほとんどない。

 だが、鹿島は違った。1本目を若手主体のメンバーで戦っていたのだ。ただでさえ、ピッチ内でトニーニョ・セレーゾ監督が笛を吹き、細かくゲームを止めて指示を出す。加えて、それをベンチからDF岩政大樹、MF小笠原満男、MF本山雅志ら、そうそうたる顔ぶれが見ているのだ。ピッチ内の選手は身が引き締まる思いだろうし、ベンチで見ている選手も若手の特徴をいち早くつかめる。そんな利点があるのではないかと思い、大岩剛コーチに聞いた。だが「(練習試合の順番に)深い意味はないと思いますよ。それが通常になっているだけで、特別なこととは思いませんし、たまたま最初は見る機会があっただけだと思います」と、否定されてしまった。

 それでも、この『通常』は、若手選手に良い刺激になっているようだ。2本目に出場したDF植田直通は「ミスも多かったし、パスの精度を一本一本大事にしたいと思います」と、この日の練習試合でのプレーを反省した。その後の3本目をベンチから見た植田は、入団会見でも手本にしたいと語っていた岩政のプレーを見ていたという。「プレーの流れで、同じような場面が何回かあるので。そのとき、大樹さんがどういう動きをするか。カバーのポジションとか、絞る動きとか、そういうちょっとした動きを学べます。そういう細かいところが一番大事だと思う。練習からもいろいろ教わっているので、早く取り入れてプラスにしていきたいです」。

 ピリッと引き締まった雰囲気の中で、練習試合を行った鹿島。試合のラストプレーでヘディングシュートをゴールに叩き込んだ岩政は「去年、あまり開幕で勝てなかったことをセレーゾも気にしていましたから、開幕までにある程度(チームを)つくっていくことをチームに言っています。過去2年、彼とやった経験がありますが、当時は(セレーゾ体制の)5、6年目で戦術的なこともほとんどやる必要がなく、キャンプはほとんどボールを使わずフィジカルをやっていました。そのときとは全然違うキャンプになっています。厳しさという面でここ数年足りなかった部分を追及していますし、一つのパスも細かく言う監督ですから、雰囲気は変わったと思います。僕の印象ですけど、過去歴代の鹿島の中でも急ピッチで仕上げていると思います」と、語っている。

 鹿島は15日まで宮崎キャンプを行う。分厚い選手層を誇るクラブの中で、誰がポジションをつかむのか。激しい競争の中で結束を高めながら、鹿島は開幕へ向かう。
(取材・文 河合拓)
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