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タレント躍動の日本高校選抜候補、大学生に7発快勝!

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[2.11 練習試合 日本高校選抜候補7-1静岡産業大]

 3月に欧州遠征を行う日本高校選抜候補が静岡合宿最終日の11日、東海大学1部リーグの静岡産業大と練習試合(25分×4本)を行い、7-1で快勝した。高校選抜はこの後、28名から18名まで絞りこまれ(バックアップメンバーを招集する可能性あり)、2月23日に国立競技場で行われる「NEXT GENERATION MATCH」でU-18Jリーグ選抜と対戦する。

 前日10日に専修大と対戦した高校選抜候補はこの日が3日間の選考合宿最終日。最後のアピールにかける選手たちが大学生相手にそれぞれの持ち味を発揮し、快勝で合宿を打ち上げた。対戦した静岡産業大は下級生主体だが、11年全国高校総体準優勝メンバーのFW野田侑成(1年=静岡学園高)ら実力者が参加していた。一方、高校選抜候補は今合宿不参加のアルビレックス新潟MF小塚和季(帝京長岡高3年)とU-17日本代表候補MF平岡翼(作陽高2年)に加えてFW野路貴之(桐光学園高3年)が前日に古傷の右足首痛を再発させて欠場。25名のメンバーで試合に臨んだ。

 サガン鳥栖FW平秀斗(佐賀東高3年)の1トップ、トップ下にサンフレッチェ広島FW浅野拓磨(四日市中央工高3年)を配置する4-2-3-1システムで試合をスタートさせた高校選抜候補は、立ち上がりにいきなり中央から決定機をつくられる大ピンチ。それでもシュートがゴール右横へ外れると、平を筆頭とした鋭いプレスで相手のミスを誘い、連動した攻撃から決定機をつくり出した。16分、右サイドから逆サイドへ流れたMF井田遼平(星稜高3年)が足技でDFのマークを外して中央の浅野へパス。浅野が右前方へラストパスを送ると、走りこんだMF小原裕哉(鵬翔高2年)がクロスバー直撃の右足シュート。そして20分にはタイミング良くオーバーラップしたSB室屋成(青森山田高3年)が、右サイドから斜めにえぐってラストパスを送る。ニアサイドの浅野がスルーし、後方から詰めていたMF植田裕史(星稜高3年)が右足シュートをゴール右隅へ流し込んだ。

 鮮やかなゴールで先制した高校選抜候補は、守備面でもCB甲斐健太郎(立正大淞南高3年)が高さを発揮して空中戦を制し、12年U-18日本代表CB諸石健太(桐光学園高3年)が競り合いで相手2人を吹っ飛ばすような場面もあった。そしてGK浅田卓人(鵬翔高3年)は得点を与えずに1-0で1本目を終えると、メンバー9人を入れ替えた2本目開始直後に追加点を奪う。2分、右中間の小原が右サイドの湘南ベルマーレMF田村翔太(四日市中央工高3年)へ展開すると、田村の鋭い仕掛けからファーサイドのMF安井修平(東海大仰星高2年)が難なく左足シュートをゴールへ沈めて2-0とした。この後はボールの失い方が悪く、カウンターを仕掛けられる場面もあったが、出足の非常に速いCB山田将之(青森山田高3年)や右SB米原祐(作陽高3年)が相手の突破を許さない。また大声でのコーチングが印象的だったGK置田竣也(星稜高3年)が決定的なシュートを阻止するなど、2本目も無失点で終える。

 そして、3本目には開始直後にムードメーカー的存在でもあるというFW田路大樹(立正大淞南高3年)が加点。その後はパスがわずかにずれたり、オフサイドで好機を逸するなどかみ合わない時間帯が続いた。ただFW小屋松知哉(京都橘高2年)と田路の2トップのスピードが相手を苦しめ、MF松井修平(桐光学園高3年)の好パスから長い距離を駆け抜けた左SB高橋壮也(立正大淞南高2年)が中央へ折り返し、小屋松が決定的な形で合わせるなどビッグチャンスもつくった。そして右の磐瀬剛(市立船橋高2年)と左の高橋の両SBがサイドにボールを運んでくる相手の前で蓋をするなどいい形をつくらせない。そしてGK永井建成(京都橘高2年)も危なげなく、無失点で4本目につないだ。

 4本目は開始直後にミスから決定機をつくられると、GK小川司(大津高3年)は好反応で一度は防いだものの、こぼれ球を押しこまれてついに失点してしまう。だが、その後はともに高校選手権得点王の小屋松とFW仙頭啓矢(京都橘高3年)の2トップのスピードと司令塔の松井、MF宮吉悠太(京都橘高2年)の配球を軸に相手を圧倒した。まずは8分、仙頭のスルーパスからDFのギャップを突いた小屋松が4点目のゴールを奪うと、直後には抜けだした仙頭が右足シュートをゴール左隅へ流し込む。12分には敵陣でのインターセプトから仙頭と小屋松が2人で崩しきって小屋松がクロスバー直撃の右足シュート。さらに17分には松井がミドルレンジから出したスルーパスでディフェンスラインの背後を突いた小屋松がGKをかわす。シュートはDFの懸命のクリアに阻まれたものの19分、中央の宮吉が右サイドのMF橋本裕貴(桐光学園高3年)へ展開。橋本はDFとの1対1から半歩左へボールを動かすと、ファーサイドのゴールネットへ左足で沈める鮮やかなコントロールショット。ベンチのチームメートたちもどよめく一撃で6点目を奪うと、終了間際には左SB河面旺成(作陽高3年)の思い切った仕掛けから中央の橋本が左足で豪快に決めてゴールラッシュを締めた。

 15万人の高校サッカー部員の代表となる日本高校選抜の選考合宿を終えた野村雅之監督(作陽高3年)は、選手たちへ向けて「(03年にコーチを務めた時よりも)アベレージが高かったと思います。実力が拮抗していて、自分自身も興味深くできたと思います」と挨拶。そして「何らかの刺激を受けてチームに戻って欲しいし、選ばれたらレベルアップして戻ってきて欲しい」と期待を寄せた。選考を突破した選手は2週間後、U-18Jリーグ選抜との対戦が待っている。高校選抜は過去3回の対戦で未だ未勝利。それだけに“高校代表”は今年こそ、白星をもぎ取りたいところだ。今回から選手権の都道府県予選敗退チームからも高校選抜候補に招集するなど、選考方式を変えてより強くなった高校選抜が、Jクラブユースの代表を打ち破る。

[写真]日本高校選抜は小屋松らのゴールで7発快勝

(取材・文 吉田太郎)

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