beacon

CB水本が果敢な攻撃参加で決勝アシスト、「狙っていた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[2.23 富士ゼロックススーパー杯 広島1-0柏 国立]

 怒涛のオーバーラップから決勝点をアシストした。前半29分のサンフレッチェ広島の先制点。MF青山敏弘の左クロスを頭でそらしたのはCBの水本裕貴だった。最終ラインからゴール前まで駆け上がり、FW佐藤寿人のスーパーボレーを演出した。

「向こう(のDFライン)が3枚だったのは分かっていたので、(3バックの)両脇が空いていると思っていた。狙っていたし、寿人さんならプルアウェーしているだろうと思った。でも、すごいシュートだったので」

 自身のアシストよりゴールを決めたエースを称えた水本だが、3バックの左CBとして守備に奮闘しながら果敢に攻撃参加を見せた。先制直後の前半34分には再びオーバーラップからMF高萩洋次郎の横パスを受け、右足でミドルシュート。これも決定的な形だったが、惜しくもゴール上に外れた。

「2点目を自分自身、取るチャンスがあった。残念だけど、チームが勝ったので、そこは自分の課題として次に取り組みたい」。積極的なオーバーラップには、チーム事情もある。昨季までは右CBを務めていたDF森脇良太が攻撃力を持ち味とし、何度も相手陣内へと駆け上がっていた。しかし、森脇は今オフに浦和へ移籍。最終ラインであろうと、次々と攻撃参加して数的優位をつくっていく広島のスタイルを維持するため、森脇の分まで水本が攻撃に加わるという形になった。

 水本自身は「今まで以上に攻撃を意識したわけじゃない。攻撃参加のときは前に人がいなかったから。僕だけじゃなくて、シオ(右CBの塩谷司)も上がっていた」と否定するが、佐藤は「ミズ(水本)の場合、昨季なら森脇が上がるシーンが多くて、バランスを取ることが多かった。ミズ自身が意識的にチャレンジしてくれていると思う」と指摘する。

「今年は前にスペースが空いていれば、自分で持ち出していくというのをミズ自身、キャンプから取り組んでいた」。そう明かす佐藤は「前への推進力に特長があるし、スピードもある。相手にしたら、つかみにくい選手だと思う」と、水本の攻撃参加がチームの新たな武器になると確信している。

「今日は勝つこと、失点をゼロに抑えることしか考えてなかった。アシストはおまけです。(森脇)良太が抜けて不安視されているかもしれないけど、いるメンバーでやらないといけないし、今日みたいにしぶとく勝っていければ」。あくまで本職は守備。そのスタンスを貫く水本だが、今季はさらにゴールシーンにかかわるプレーが増えそうだ。

(取材・文 西山紘平)

TOP