[3.2 J1第1節 広島1-2浦和 Eスタ]

　スリッピーなグラウンドを利用したグラウンダーのシュートが日本代表GKのミスを誘った。浦和レッズは1-0の後半6分、ハーフウェーライン付近で獲得したFKから素早くリスタート。MF柏木陽介が右サイドのスペースに蹴り込むと、ボールを受けたMF原口元気が一気にゴールに向かって仕掛けた。

　ドリブルから放った右足のシュートは、キャッチしようとしたGK西川周作の手を弾いてゴールマウスへ。相手GKのミスではあったが、試合前からみぞれ混じりの雨が降るなど濡れたピッチを考慮に入れた低いシュートが、さらにゴール直前でワンバウンドし、西川のミスを誘発した。

　FW興梠慎三が不在だった2月26日のACL広州恒大戦(0-3)は原口が1トップを務めた。昨季も任されていたポジションだったが、「シャドーの方がやりやすい」というのはプレースタイル的にも疑う余地はない。昨季はストライカー不足に苦しんだ浦和だが、今季は新戦力の興梠に加え、明治大から新加入のルーキーFW阪野豊史も広州戦に続いて途中出場するなど、戦力が整ってきた。

　1トップに入った興梠はいわゆるポストプレイヤーではなく、「2シャドーが点を取れるように動き出したいと常に言っている。今日、シャドーの2人が点を取ったのはうれしい」と話すとおり、周囲をうまく生かすタイプだ。それぞれの特性とポテンシャルを秘めた3人が流動的に絡み合えば、相手にとっては驚異的な存在だ。

「1試合だけじゃ意味がない。2試合目、3試合目といい試合を続けて、勝っていかないといけない」。開幕戦勝利にも気を引き締める原口だが、1年前の借りを返したことにはチームの成長を感じている。昨季の開幕戦も敵地での広島戦。結果は「0-1だけど、ほぼ完敗だった」。同じ場所、同じ相手とのリベンジマッチ。「悔しくて、1年間やってきて、その結果、内容でも結果でも勝てたことはチームとして大きな一歩だと思う」と力を込めていた。

(取材・文　西山紘平)