beacon

カナダ戦、ヨルダン戦メンバー発表 ザッケローニ監督会見要旨

このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本サッカー協会は14日、国際親善試合・カナダ戦(22日、ドーハ)、W杯アジア最終予選・ヨルダン戦(26日、アンマン)に臨む日本代表メンバー23人を発表した。

以下、ザッケローニ監督の会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「今回の招集メンバーに大きなサプライズはないと思う。これまでも呼んでいるメンバーで、代表チームの戦い方にも慣れている選手たち。ピッチの上での役割をしっかり把握しているメンバーを招集した。予選は3試合残しているが、3試合と言わず、できるだけ早く決めたいと思っている。国民の期待が大きいことは分かっているが、それ以上に私自身のこのチームに対する期待が大きい。大きな期待に応えるためにも、最高のコンディションで臨むことが大切になる。

 ヨルダンはホームでオーストラリアに勝利し、自信を付けている状態ではないかと思っている。他の国と同じように(W杯出場の)可能性を多く残している。彼らが最高のパフォーマンスで来ることを覚悟してやっていきたい。今回招集したメンバー全員を信頼している。この試合にいいコンディションで臨むことが大切で、通常の合宿よりも準備期間が長く取れる。ヨルダンがアグレッシブに来るか、引いて来るか分からないが、どちらにも対応できるように準備したい。

 個人的には常にポジティブ思考だが、チームの中の雰囲気を見てきて、今回もやってくれるのではないかと期待している。海外組はシーズンの4分の3を消化し、国内組はシーズンが始まったばかり。双方のコンディションをいいところで合わせていきたい。こうしたことは今後も日本代表が戦っていかないといけない問題だと思う」

―本田のコンディションは現時点でどう把握しているか?
(原博実技術委員長が回答)「クラブと連絡を取っているが、よくなってきているとは聞いている。しかし、まだベンチに入ったり、試合をやれる状態ではないということで招集を見送った。回復傾向にあるとは聞いているが、ヨルダン戦までに100%の状態に戻るかを考えたとき、それは無理だと判断した」

―トップ下は憲剛か香川だと思うが、現時点のファーストチョイスは?
「2人のタイプが違う。(中村)憲剛はよりMFタイプで、中盤にバランスをもたらす。香川はよりセカンドトップに近い。試合までもう少し時間があるので、もう少し検討したい。カタールでの合宿で見極めたい。トップ下をだれにするかは、左右の2枚をどうするかが大きく影響する。両サイドには、MFというよりFWに近い攻撃的な選手を置いている。バランスのところでサイドの構成を考えながら、2列目の3人を決めたい。総括すると、それぞれのコンディションを見極めながら決めていきたい」

―東日本大震災から2年が経ったが、代表チームが結果を出すことで被災地に勇気を届けられると思うか?
「2年が経ち、長い時間が経ったと感じるが、被災地の方は今でもそのときのことを思い出すと思う。代表の選手たちも常にこのことを気にかけている。今でも試合のあとにはメッセージを掲げながらグラウンドを一周しているが、代表チームとしてもあのことは忘れていない。代表の活躍が勇気になってくれればいいし、被災地の方に何か伝わればいいなと思っている」

―長友の状態については?
(原博実技術委員長が回答)「よくなっている。時間がたって、練習も前よりはできるようになっているが、これだけの期間、試合から離れていることもあり、今週のメンバー入りも難しいと連絡が来ている。それもあって、今回は呼んでいない」

―本田、長友という主力2人を欠くことについてどう思うか?
「2人の選手については私自身も評価しているが、彼らの代わりに入ってくる選手が活躍してくれるだろうという思いが強い。本田も長友も、これまでの予選でいないときもあったが、彼らの代わりに入った選手が見事な活躍をしてくれた」

―本田がいないときの試合は勝率が下がるが?
「本田の特長として他の選手と違うところを挙げるとすれば、技術レベル以外にフィジカルのレベルが挙げられる。本田の代わりに入る選手が、本田と同じ特長を持っているわけではない。代わりに入る選手の能力、特長が最大限に生かせるやり方をしないといけない。そこは監督の役割。本田がいないときの勝率がよくないと言われるが、慣れの問題もある。よりスムーズにできるようにやっていきたい」

―日本では野球のWBCが盛り上がっているが、日本のスポーツ文化をどう思うか?
「2年半前に就任したときから言っているが、スポーツに限らず、日本全体の文化を受け止め、日本の文化を尊重したいと思っている。今あるスポーツ文化を尊重しているし、野球に人気がある、歴史があることは素晴らしいこと。野球の方が歴史が長いし、大衆の興味を引くのは分かる。それは素晴らしいの一言。サッカーが野球に取って代わる存在になるのではなく、野球があり、サッカーがあり、日本のスポーツ文化として一緒に成長していければいいと思う」

―カナダ戦後もヨルダン戦直前までカタールに残って調整する理由は?
「これまでも中東で試合があるときはドーハで合宿をしてきた。環境に慣れているのもあるし、ハード面の環境でもすべてそろっている。慣れているところでやりたいということで選んだ。ヨルダン戦の試合会場で試合前日以外にも練習ができるならヨルダンで合宿をしてもよかったが、それはできないからカタールを選んだ」

―昨年2月にヨルダンで行われた五輪予選を視察しているが、ヨルダンの印象は?
「五輪の試合を視察したときと同じスタジアムだが、ピッチコンディションはお世辞にもいいとは言えない状態だった。あのときよりも良くなっていることを祈る」

―本田、長友がいないことは不安材料になるか?
「これまでも勇気とバランスを重視してきて、結果も出てきている。2人がいないことは痛手にはなるが、チームとしてのバランスを崩さないように、代わりの選手がうまく入れるように、次の試合でも攻守のバランスを大事にして戦っていきたい」

―カナダ戦でテストすることはあるか?
「カナダ戦はヨルダン戦への準備、対策というより、選手のコンディションを高い精度で把握したいと思っている。全員を使えるわけではないが、ここでコンディションを把握して、ヨルダン戦でコンディションのいい選手をピッチに送り出したい。自分たちのいいところが出るときは回転数の高いとき。リズムが落ちたときには、相手がどこであっても苦労している。回転数を上げる、リズムを保つのに必要なことはよいコンディション。カナダ戦をそのために使いたい」

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ブラジルW杯アジア最終予選特集

TOP