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悩めるザック…香川&憲剛をトップ下で起用も本田の穴は埋め切れず

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[3.22 国際親善試合 日本2-1カナダ ドーハ]

 26日のW杯アジア最終予選・ヨルダン戦(アンマン)に向けたテストマッチとなったカナダ戦。フィジカルでまさる相手に苦戦した日本代表は2-1の辛勝をおさめたが、ケガで不在のMF本田圭佑に代わるトップ下の見極めは難航した。前半はFW香川真司、後半はMF中村憲剛がトップ下でプレー。しかし、代表では不慣れなポジションに香川はなかなか持ち味を発揮できず、中村がトップ下に入った後半もカナダを攻めあぐねた。

 前線からのプレスがはまらず、カナダのシンプルなロングボール、フィジカルを押し出した攻撃に押し込まれる時間もあった。攻撃では高い位置で起点をつくれず、中盤のセカンドボールでも後手を踏んだ。本田、DF長友佑都、DF今野泰幸という主力3人が不在だったとはいえ、ヨルダン戦に向けて不安を残す試合内容になった。

 今野はヨルダン戦に間に合う可能性もあるが、W杯出場のかかった試合を本田、長友抜きで戦わなければならない。特に香川と中村の2選手を45分間ずつ試したトップ下のポジションについては、アルベルト・ザッケローニ監督自身、本田不在の影響を認めざるを得なかった。

「本田はこの代表チームにとって大切な選手で、他の選手とは違う特徴を持っている。技術レベルの高さ、パーソナリティーの強さもあるが、何よりもパワー。彼がいることで中盤にパワーをもたらしてくれる。本田がトップ下に入ることで、サイドの選手がより攻撃的にいける。そういうバランスが生まれる」

 チームの大きな武器だった本田のキープ力や推進力。しかし、本田と同じことを香川や中村に求めるわけにはいかない。「憲剛にしても香川にしても、本田のようなストロングポイント、特徴は持っていない。本田の役割を担うわけにはいかないし、選手それぞれの長所を最大限に生かすやり方をしないといけない。そういう意味では、香川と憲剛がいいところを出せるようなやり方をしていきたい」。しかし、特に香川に関しては、彼本来の力を出し切れたとは言い難い。

「ヨルダン戦に向けていいテストになった」と振り返る指揮官は、果たしてヨルダン戦でどちらを選択するのか。「しっかり情報は収集した。ただ、ここで発表するわけにはいかない」と明言は避けたが、香川と中村、両者を起用した場合の違いについて「香川がトップ下に入った場合は、両サイドのアタッカーが少し守備に力を割かないといけない。憲剛の場合は、サイドの守備の負担が多少減る」とも指摘した。

 チーム全体のバランスを考えれば、現時点では憲剛・トップ下、香川・左サイドが第一の選択肢か。「トップ下の選手のコンディションにとどまらず、他の選手のコンディションやバランスを見ながら決めていく。さらに相手がどういう対応をしてくるのか、相手の特徴も加味しながら決めていきたい」。ザッケローニ監督の悩みはギリギリまで続きそうだ。

(取材・文 西山紘平)

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