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ヨルダン選手の挑発に激高、ザック「落胆している」

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[3.26 W杯アジア最終予選 ヨルダン2-1日本 アンマン]

 アンマンのキング・アブドゥラ・インターナショナルスタジアムは騒然とした雰囲気に包まれた。昨年9月にオーストラリアを撃破した“聖地”で日本も破る大金星。FW香川真司が、FW岡崎慎司が、DF今野泰幸がピッチにしゃがみ込む中、ヨルダンの選手とサポーターは熱狂と歓喜に包まれた。

 思わず激高した。試合後、自分の首を親指で切るジェスチャーを見せ、日本を挑発するヨルダンの選手たち。アルベルト・ザッケローニ監督はピッチに入ってヨルダンの選手に詰め寄った。慌ててコーチ陣が割って入ったが、まさかの敗戦と怒りで我を忘れた。「自分は挑発されるのは好きではないので、そういうことに至った」。試合後の記者会見。記者を睨み付けるように答える指揮官の唇は震え、まだ怒りもおさまっていなかった。

 完全アウェーの雰囲気だった。約1万8000人の観衆で膨れ上がったスタジアムの周囲では、フェンスによじ登って試合を見るファンの姿も見られた。前半ロスタイムにCKから先制すると、観衆のボルテージは最高潮に達する。ピッチ上の選手は何度もスタンドに向かって両腕を振り上げ、声援をあおった。

 香川をトップ下に置いた日本の攻撃は22日のカナダ戦よりは改善されていた。「うちが10回チャンスをつくって、相手が3回チャンスをつくる展開なら勝たないといけない。今日のようにアウェーチームが8、9、10回チャンスをつくるのは稀だと思う」。そう試合内容を評価する指揮官は「カナダ戦後も言ったが、最後の精度、決定力を高めないといけない」と決定力不足を嘆いた。

 それだけに前半終了間際の失点が悔やまれた。カナダ戦に続くCKからの失点。「相手にCKすら与えてはいけないのかという思いがある」。ザッケローニ監督は憮然とした表情で言い、「セットプレー、リスタートが唯一の課題だと思っている」と唇をかんだ。

 引き分け以上で5大会連続のW杯出場が決まる一戦で最終予選初黒星。W杯出場決定は、6月4日のオーストラリア戦(埼玉)以降に持ち越しとなった。「W杯への切符を勝ち取りたかった者としては、こういう結果は非常に残念。(W杯出場決定は)後回しになってしまった」。悔しさを隠さない指揮官は「今日、何としてもここで勝ち切りたかった。チーム全体がそうだが、落胆しているし、落ち込んでいる。試合内容の出来を考えると、もう少しうちに運が味方してもよかった」と嘆くだけだった。

(取材・文 西山紘平)

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