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古巣・鹿島と初対戦のDF新井場「セレッソのことだけを考えてプレーした」

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[4.6 J1第5節 鹿島1-0C大阪 カシマ]

 試合前、セレッソ大阪のバスが到着すると、コンコースにいた鹿島アントラーズのサポーターが歓声をあげた。2004年から昨シーズンまで鹿島に在籍し、多くのタイトル獲得に貢献したDF新井場徹への声援だった。バスを降りた新井場は、コンコースのサポーターから見える位置まで歩き、サポーターの前で挨拶して、ロッカールームへと向かって行った。

 試合が始まると、鹿島サポーターは新井場がボールを持つたびに、愛情に満ちたブーイングを浴びせた。そして、試合後には新井場が鹿島サポーターの前に行き、大きな拍手の中で一礼した。

 チームを離れてからも、これほど愛される選手もなかなかいないだろう。「それはもうね、今までサポーターと築いてきた関係だから」と、新井場は笑顔を見せた。

 鹿島時代、常にチームのことを最優先に考えてきたからこそ、今も不動の人気を誇るのだろう。その姿勢は、C大阪の背番号7を付ける今も変わらない。「歓迎してもらって、すごく嬉しかったですけど、試合が始まればセレッソのことだけを考えてプレーしました。結果が出なくて、すごく残念です」と、敗戦を悔しがった。

 古巣・鹿島との初対戦について「あまり他の試合と変わりませんでした。しっかりチームとしてゲームに入れたと思います。やるサッカーは伝統的に昔から変わらないので、ある程度、メンツを見て、どういうサッカーをしてくるかは分かりました。ダヴィとかは一緒にやっていませんが、個人技があることも分かっていたので、しっかり対応ができたと思います」と、振り返る。

 新井場は、前半から何度も攻撃参加を見せ、タイミング良くボールを受けて、次のプレーにつないだ。この日は右サイドで先発したことで、鹿島では自身が務めることの多かった左SBの後継者DF前野貴徳と向かい合う形になった。対面した前野は「山口選手、柿谷選手と(のマッチアップ)が多かったので、直接、マッチアップをする回数は少なかったですが、(新井場は)いつの間にか高い位置にいてやりにくかった」と、前任者のプレーに刺激を受けた様子だった。

 思い入れのあるスタジアムでの試合を終えた新井場は、すぐに次の試合を見据えた。「もちろん今日は勝ちたかったです。でも、それは相手が鹿島だからというわけではなく、すべてのチームに勝ちたいですし、タイトルを目指すには勝たないといけません。今日も結果的に負けましたが、やろうとしていることは、そんなに間違っていない。今日のようにいろんな経験をして、継続してやっていけば、チームとして成長できると思います。ナビスコ杯もすぐにあるので、切り替えてやっていきます」。常勝軍団・鹿島で培った勝者のメンタリティを、新井場はC大阪にも植え付けていく。それができれば、C大阪でも鹿島と同じように愛される選手になることは、間違いないだろう。

(取材・文 河合拓)

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