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決勝点アシストのFWダヴィ「監督に100勝目をプレゼントでき嬉しい」

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[4.6 J1第5節 鹿島1-0C大阪 カシマ]

 ブラジル人にとっては、特別な存在だ。鹿島アントラーズを指揮するトニーニョ・セレーゾ監督のことである。現役時代はブラジル代表として、1978年、1982年と2度のW杯にも出場。手厳しい自国メディア、ファンが、W杯に優勝できなかったにもかかわらず称賛するのは、彼を含めた『黄金のカルテット』のいたセレソンくらいだろう。

 この試合のキックオフ直前にも、C大阪のMFシンプリシオ、MFブランコ、FWエジノがそろって挨拶をしに、鹿島ベンチ前へ行った。もちろん、鹿島で指導を受けているブラジル人選手たちも、リスペクトしている。今季から鹿島に加入したFWダヴィが、前線から献身的な守備を見せている要因の一つに、母国のレジェンドから指導を受けていることもあるだろう。

 そのチェイシングが、この日の決勝点を呼んだ。後半13分、MF山口螢がGKキム・ジンヒョンにバックパスを出すと、ダヴィはすかさずプレッシングを掛けた。キム・ジンヒョンはダヴィをかわそうとしてキックフェイントをしたが、ダヴィは引っかからなかった。キム・ジンヒョンと競り合いながら、浮き球を中央に入れると、これをMF遠藤康が受けて、左足で強烈なシュート。これが決まり、鹿島が1-0で勝利した。

 ダヴィは「自分のプレーを最後まで信じてやったことが、遠藤へのラストパスにつながったと思います。途中であきらめてはいけません。DF、GKは必ずミスをすると、信じてプレーしたことが、あのゴールにつながったと思います」と、自身のアシストを振り返った。

 この日はC大阪の守備陣も、ダヴィを警戒し続けた。DF茂庭照幸やDF藤本康太と激しい肉弾戦を繰り広げる場面もあったが「それは起こり得ることですし、自分も準備しないといけない」と、冷静だ。そして「試合を重ねることで、相手も分析をしてきます。試合の中で、どこが攻撃の起点になっているかが分かれば、そこに厳しく来るわけですからね」と、攻撃をけん引しているという自負を口にした。

 今季リーグ戦2度目の勝利で、8年ぶりに鹿島に戻った指揮官はJ1通算100勝に到達した。決勝点をアシストしたダヴィは、特別な1勝をもたらせたことについて「100勝目をプレゼントできて、とてもうれしく思っています。私だけではなく、チーム全員がそういう気持ちです。彼はブラジルでも、日本でもスターですし、日本でも監督として多くの功績を残しているので、記念となるプレゼントができて、すごく嬉しいです」と、恩返しができたことを喜んだ。

(取材・文 河合拓)

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