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3シーズンぶりフル出場の横浜FC 黒津「感触は良かった」

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[4.7 J2第7節 横浜FC 0-0 熊本 ニッパ球]

 前節の山形戦に1-5と大敗を喫し、横浜FCは順位を20位まで落とした。その中で数少ないポジティブな要素を挙げるとすれば、川崎Fから新加入のFW黒津勝がゴールしたことだろう。その黒津が、この試合では加入後、初めてスタメンに名を連ねた。

 立ち上がり5分に後方からのロングボールに反応し、最終ラインの裏を取った黒津は、チーム最初のシュートを打っている。ボールはゴール右に外れて行ったが、山口素弘監督も「黒津のダッシュを見たら、相手があたふたしているのも分かる」と振り返ったように、序盤は熊本にとっての脅威となった。

 前半の横浜FCには固さがあったと黒津は振り返る。「結果が伴っていない中で、(チームに)プレッシャーがあった。いろいろ挙げたらきりがないけれど、僕を含めて力が入り過ぎて、急ぎ過ぎてしまった。チャンスもあったが、もう少しパスをつなげられたと思う。後半の方がよりパスをつなげたし、チャンスも増えたと思います」。

 過去2シーズンに渡ってケガに苦しみ、ほとんどプレーできなかった快速ストライカーがフル出場したのは、実に2010年10月16日の川崎F対山形戦以来だ。

 長時間、プレーできたことについて、黒津自身も「感触は良かった。あとは結果につなげること。アシストなり、ゴールなりができれば、もっと周りにも認めてもらえると思う」と語った。この日は試合終了間際にも、DF野上結貴のクロスを熊本ゴール前で折り返し、MF中里崇宏の決定機をつくるなど、最後まで存在感を示した。

 その一方で、ゴール前でボールを持ったときに、ややノッキングを起こしているように見えた。パスを受けるまでは良いのだが、そこからシュートに行くまでに時間がかかり、DFに寄せられる場面が見受けられたのだ。黒津にも違和感があったようで「グラウンドが多少、ねちっこいこともあって、技術的にミスってしまいました。すべては自分の技術不足。言い訳になってしまうのですが、もう少し試合を積めればと思っています」と、2年間のブランクによる影響を口にしながらも、改善に自信を見せた。

 ボールを保持するサッカーを標榜する横浜FCにとって、スピード溢れる黒津の存在は、攻撃に変化をつけるには、うってつけの存在だ。「後半はチャンスもつくれたので、(この引き分けを)悪いふうには捉えていない。連敗も止まりました。ただ、勝たないと何も得られないと思います。前節の大敗もあるので、切り替えるというよりは、忘れないようにしていきたい」と、語った。

 勝利から遠ざかっている横浜FCにも明るい材料は、ある。黒津の長時間出場もその一つだろう。昨シーズンは9節の京都戦で初勝利を挙げてから、怒涛の巻き返しを見せた横浜FC。今季も次節の京都戦を、再び浮上のきっかけにできるか。

(取材・文 河合拓)

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