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4年ぶりの日立台で精彩を欠くも、鄭大世「試合に出ることが幸せ」

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[4.9 ACL第4節 柏0-0水原三星 柏]

 川崎フロンターレに所属していた、09年12月5日J1最終節以来となる日立柏サッカー場。その試合ではゴールを決めてチームを勝利に導いたFW鄭大世だが、柏レイソル相手に1敗1分と未勝利。前節、PKを2度外した汚名も返上できず、後半12分にはピッチを去った。

「チームのことを考えたら、あのタイミングの交代はベストだったと思います。自分はもっといけると思っていたんですけど」

 両チームともに中2日で迎えた一戦は、序盤こそショートパスを繋ぎ、中盤でつぶし合いをする展開だったが、選手の疲労の色が濃く、ゴール前でのプレーの精度を欠いた。ツートップの一角として先発した鄭大世は、パスが回っていた序盤こそ得意のポストプレーで水原三星の攻撃のリズムを作っていたが、試合展開がロングボールの応酬になると、ゲームから消えていった。

「あっと言わせるプレーを見せたかったんですけど、残念でした。しんど過ぎて(観客の)みんなの前に立つのが申し訳なかった」

 Kリーグでは首位を行く水原だが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では苦戦。勝ち点3でグループHの最下位に沈んでいる。日本と韓国、両国でプレーした経験から、その理由を冷静に分析した。

「KリーグとACLでうちのチームは全然パフォーマンスが違う。Kリーグだとパスサッカーですから。ACLでハイプレッシャーがかかると技術の差が出てくる。特に柏とやるとそう。いつもだったら繋ぐところで蹴っていたし。フィジカルでやればうちらだけど、技術で優勢に立たれると勝てない。日本のパスサッカーのほうが1枚も2枚も上」

 10年の南アフリカW杯後にドイツへと活躍の場を求めた鄭大世だが、今シーズンから再びアジアでプレーすることになった。「(PK失敗は)試合に出るからこそミスがあるわけで、ヨーロッパでもアジアでも、試合に出ることが選手としての幸せ。今日は(観客の)みんなに申し訳なかったけど。メンバー表に自分の名前がないショックは2度と味わいたくない」。苦しんだケルン時代を経て、「打たれ弱さは克服できた」と自身の成長を口にした。

「出る大会は全部優勝したい。(個人としては?)チームが勝てればいい。そういうエゴはドイツで捨てました」。ACLグループリーグの残り2試合、不屈のストライカーはひたすらに勝利を目指す。

(取材・文 奥山典幸)
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