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決勝ゴールの端戸「学と一緒にマリノスを引っ張りたい」

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[4.13 J1第6節 横浜FM2-1川崎F 日産ス]

 試合終了が刻々と近づいている後半44分、偶然にも巡ってきたチャンスだった。横浜F・マリノスが得た右CKのチャンス。本来ならゴール前に入っているはずのFW端戸仁は、MF中町公祐に「ポジションを替わろう」と声を掛けられ、こぼれ球を狙う位置へと下がった。

 そこへ、来た。MF中村俊輔のCKは相手GKに弾かれたが、「目の前に転がってきたので何も考えずに蹴った。無我夢中だった」。利き足と逆の右足で蹴り込んだシュートは、人垣の間をすり抜けてネットを揺らした。チームに6連勝をもたらす決勝ゴール。だが、喜びは控えめだ。

「運もある。左足(で蹴る位置)だったら狙っちゃっていたかもしれない」と謙虚な言葉で振り返った。

 ジュニアユース時代から横浜FMの下部組織で育ち、年代別代表では世界大会も経験してきた。06年U-16、07年U-17日本代表時代は一学年上の柿谷曜一朗(C大阪)、同学年の山田直輝(浦和)らとともにチームの中心選手として活躍し、06年にはアジアチャンピオンにもなった。

 順調にトップチームへと昇格したが、11年は出場機会ゼロ。昨年、北九州へ期限付き移籍してJ2で14得点を挙げ、今季から横浜FMに復帰した。

 開幕から3試合連続で先発したものの無得点で、第4節以降はサブに回っていたが、「こういうビッグクラブで試合に出るのが難しいということは分かって、北九州から帰ってきた」と落ち込むことなく日々の練習に汗を流してつかんだチャンス。後半35分に下部組織時代からの同期であるMF齋藤学との交代でピッチに立ち、「点を取れればヒーローになれると思って試合に入った。でも今日だけでガラッと評価が変わるわけではない。点を取ったここからが大事。今日は学と交代だったけど、2人でマリノスを引っ張っていきたい」とさらに先を見据える。

 横浜FMのこの日のベンチ入り18人には、下部組織出身選手が7人名を連ねた。首位を走るチームにまた一人、生え抜き選手が台頭してきた。

(取材・文 矢内由美子)

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