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[練習試合]ユニバ金目指す全日本大学選抜が天野&寺岡ゴールで町田下す

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[4.24 練習試合 全日本大学選抜2-1町田 三ツ沢陸上競技場]

 今年7月にロシア・カザンで開催されるユニバーシアードで金メダル獲得を目指す全日本大学選抜が24日、JFLのFC町田ゼルビアと練習試合(45分2本)を行い、MF天野純(順天堂大4年=横浜FMユース)とDF寺岡真弘(関西大4年=神戸U-18)のゴールによって2-1で勝った。

 合宿に参加した全20人を前後半に分けて最低でも45分間出場させた全日本大学選抜。試合では本大会に出場する20名の選考ととともに、3月のドイツ遠征、大学日韓定期戦で課題となった奪ってからスピード感ある攻撃をすることの意識付けと守備連動をテーマに取り組んだ。4-4-2システムでスタートした前半のメンバーはGK圍謙太朗(桃山学院大4年=大津高)、右から北爪健吾(専修大3年=前橋育英高)、菊地俊介(日本体育大4年=伊奈学園総合高)、寺岡、二見宏志(阪南大4年=奈良育英高)の4バック。中盤は下田北斗(専修大4年=大清水高)とジュビロ磐田内定の上村岬(筑波大4年=磐田ユース)のダブルボランチで、右MF天野、左MF長澤和輝(専修大4年=八千代高、横浜F・マリノス特別指定選手)、2トップは鹿島アントラーズ内定の赤崎秀平(筑波大4年=佐賀東高)と松本大輝(法政大4年=大津高)がコンビを組んだ。

 取り組んできたテーマに対する意識の高さは感じられた。ただ課題も残る試合となった。チームリーダーの長澤は「もうユニバまであと2か月しかないですし、焦る訳ではないですけれど、何をすればいいかしっかりと考えて本大会の時にしっかりと自信を持って臨めるようにしたいです。(攻撃面について)監督たちが言っていたのは、相手のボールを奪った時にみんなの意識が(まず)ポゼッションみたいになりつつあるので、もちろん相手が整っている時に無理して速いスピードで攻撃して上手く行かないのは意味が無いですけど、ボールを奪った直後は相手がちょっと崩れている。そういう時にできるだけ速くシンプルに攻めれば得点つながる可能性が高くなると思うので、それを(試合の)中で見極めながら、意識しながらできればいい」と引き締めていた。

 全日本大学選抜は前半7分に右サイドを突いた北爪が折り返し、混戦から天野が左足シュート。16分には敵陣でインターセプトした長澤からのパスを受けた赤崎がスライディングタックルに来たDFをかわして右足を振りぬく。さらに直後には右CKのこぼれ球から強引に仕掛けた下田の左足ミドルがクロスバーを叩いた。前線と中盤、中盤と最終ラインとの間で挟み込む守備と相手がサイドへ逃げた際に押し出す守りがハマっていた全日本大学選抜は20分、先制点を奪う。左サイドで長澤がスペースをボールを出すと、オーバーラップした二見がニアサイドの松本へボールをつける。松本が一度PAへ潜り込んでから二見へ戻すと、そのクロスボールにタイミング良く走り込んだ天野が左足ダイレクトで先制ゴールを押し込んだ。

 互いに声を掛けながら、高い位置からの積極的な守備を見せる全日本大学選抜に対して町田は27分、CBをかわしたMF木島徹也が右足シュート。29分にはMF大竹隆人からPAの木島へパスが入るなどゴールへ近づいていく。だが全日本大学選抜は33分にセットプレーから追加点を奪った。左中間で天野が獲得したFKから上村がディフェンスラインの背後へボールを落とすと、松本が頭で逸らしたボールをファーサイドの寺岡が頭でプッシュ。これが決まり、2-0とリードを広げた。

 全日本大学選抜は37分にも好守から北爪の右クロスを松本が頭で合わせるなど攻め立てる。ただ、テーマとしているディフェンスの虚を突かれて追撃を許してしまった。38分、サイドへのディフェンスが甘くなり、大竹に左クロスを上げられると逆サイドのMF向慎一に頭でゴールへ流し込まれて1点を返された。寺岡は「昨日ハードな練習をして、みんな疲れもあった中で2-1で折り返せたことは評価できることだと思うし、相手のツボを突いて点を取る、相手が『何でこんな簡単に点取られるんやろう』、と思うような相手のツボを捉えてやろうと言っている。その点で2点取れたことは評価していいと思う」と語ったが、「個人的には(失点した)あの1点はいらなかった」と首を振っていた。

 9人を入れ替えた後半はGKが藤嶋栄介(福岡大4年=大津高、サガン鳥栖特別指定選手)。右から北爪、松下純土(慶應義塾大4年=國學院久我山高)、山越康平(明治大2年=矢板中央高)、ジュビロ磐田内定の小川大貴(明治大4年=磐田ユース)の4バックで、中盤の底の位置で谷口彰悟(筑波大4年=大津高)と窪田良(阪南大4年=東京Vユース)がコンビを組んだ。両ワイドは右が仲川輝人(専修大3年=川崎F U-18)、左が泉澤仁(阪南大4年=新潟ユース)。そして前線中央で山崎凌吾(福岡大3年=玉野光南高)と長澤がコンビを組む形となった。

 その後半は縦に速い攻撃を見せるものの、精度を欠く展開。右サイドの北爪が再三長い距離を駆け上がるが、スリッピーなピッチも影響してかパスが合わない。攻撃回数が多い割には前線との呼吸が合わずにボールを失い、中央でのパス交換では球際で伸びてくる町田DFの足に何度もゴールをカットされてしまう。3分に右サイドの仲川から、10分には左サイドの泉澤からグラウンダーの決定的なラストパスが入る場面もあったが、追加点を奪うことができない。

 守備面では20分にカウンターから町田FW岸田和人に右足シュートを放たれ、セットプレーを与えてしまう場面もあったが、中盤で谷口と窪田が切り替え速く相手にプレッシャーをかけるなどGK藤嶋が脅かされるような場面はほぼなかった。ただ、攻撃面では22分に左サイドを切れ込んだ小川の折り返しから長澤が放った決定的な右足シュートをDFの好守に阻まれるなどチャンスを活かすこともできない。30分に北爪と長澤を菊地、下田に代えた後も30分にカウンターから山崎が放った左足シュートや、45分に泉澤が個人技から放った右足シュートなどあわやの場面はつくったが、追加点を奪えないまま90分間を終えた。

 攻守ともにテーマに積極的にチャレンジした上でのミスも多くあった。連覇を懸けたユニバーシアードまでの2か月強の期間でやらなければならないことはまだある。二見は「実際あまり時間がないので、きょう言われたことをチームに帰った時にどう整理して、次会った時どう詰めていくかやっていかないといけない。(現時点では)危ないという感じが自分の中であります。結構長い間集まっているし、(徐々に)勝ちにこだわることもやっていかないといけない」。5月にも予定されているショートキャンプまでにそれぞれが整理し、修正して、本番までに少しでもチーム力を高める。

(取材・文 吉田太郎)

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