beacon

3試合で後半計15発!「相手の足が止まったところを爆発して、運動量を上げる」流通経済大柏が青森山田に大勝

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.28 高円宮杯プレミアリーグEAST第4節 流通経済大柏高6-0青森山田高 流通経済大柏高G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグプレミアリーグEASTは28日、第4節を行い、開幕3連勝で首位の流通経済大柏高(千葉)と2位の青森山田高(青森)が激突。前半終了間際に左SB石田和希主将(3年)が決めた先制ゴールなどによって流経大柏が6-0で快勝し、首位を守った。

 開幕3試合無失点の青森山田に流経大柏攻撃陣が襲いかかった。前半はボールを支配していたものの、全体的にシュート意識が希薄な課題があった。12分にはMF青木亮太(3年)のキープからMF小泉慶(3年)の放った右足シュートがゴールを襲い、13分には現在リーグ得点王のFW森永卓(3年)が強引にPAへ潜り込み、そのこぼれ球をFWジャーメイン良(3年)と青木がシュートへ立て続けに押し込もうとする場面もあったが、全体的にゴール前で堅い青森山田守備陣をパス、ドリブルで無理矢理こじ開けようとしてインターセプトされてしまっていた。

 青森山田は八戸雄太と川口大翔(ともに3年)の両CBが最前線のジャーメインへ入ってくるくさびのボールをしっかりとケアし、局面でスピードアップしようとする流経大柏のパス、ドリブルを足に引っ掛けて最後のところで仕事をさせない。そして前への推進力のあるFW李相赫(3年)がドリブルで持ち上がり、FW辛島昌幸(3年)のミドルシュートなどで反撃した。相手の厳しい守備の前になかなか決定機まで持ち込むことができなかったが、それでも43分には左サイドからのパスワークで完全に崩してスルーパス。左中間を抜けだしたMF村山想(3年)が左足を振りぬいたが、ボールはゴール前を通り抜けて外れていった。

 逆に流経大柏は41分、44分と右サイドからドリブルで仕掛けたMF秋山陽介(3年)の左足シュートが鋭くゴールを襲う。そして前半終了間際、相手の隙を見逃さずに先制点を奪い取る。アディショナルタイム突入後の47分、「点を決めたい気持ちがめちゃあったので、出て行くしかないと思った。終わり際は向こうも集中力が切れるかなと思っていて、そこを突こうと」という左SB石田が対面の選手をかわして、中央突破を図る。対応の遅れてしまった青森山田に対し、一気に敵陣中央までボールを運んだ石田は右前方へラストパス。秋山が放った決定的な右足シュートは青森山田GK田中雄大(3年)の好守に阻まれたが、こぼれ球に反応した石田が左足で撃ち抜き、先制点を決めた。

 崩れた均衡。そしてハーフタイムを挟んで迎えた後半、試合の流れは完全に流経大柏へ傾いた。まずは2分、左サイドの秋山のラストパスからジャーメインがクロスバー直撃の左足シュート。そして3分には青木のパスから右オープンスペースを突いたジャーメインが対峙したDFをかわしてラストパスを送ると、中央にフリーで飛び込んだ秋山が2点目のゴールを押し込んだ。さらに5分には左サイドからジャーメインがダイナミックなドリブルで仕掛けると、こぼれ球を拾った秋山が左足を振りぬき3-0。そして9分には秋山の左アーリークロスをファーサイドの青木が難なく合わせて4点差とした。

 流経大柏はJFAアカデミー福島との第2節では1-2で迎えた後半に4得点。前節の清水ユース戦も後半に6得点をたたき出している。石田は「決めるべき所で決めているのがいいところ。後半の立ち上がりから中盤にかけて、相手より多く走れるところがこの得点につながっている。相手の足が止まったところを爆発して、運動量上げて、そこを突くということが全試合共通して言える」と分析していたが、この日の後半はジャーメインや青木のドリブルのギアが上がり、青森山田DFも寄せきれずに相手のチャンスを広げてしまっていた。加えて流経大柏はそれぞれの選手のシュートが的確にゴールを捉えてくる。どん欲にゴールを狙う流経大柏は16分にも、左ショートコーナーから青木が出したラストパスをCB三嶋廉士(3年)がゴールへ押し込んで5-0と勝敗の行方を決定づけた。

 気持ちを切らさずにまず1点を返そうとする青森山田もチャンスをつくった。19分にはMF山田武典主将(3年)とのパス交換からPAへ侵入したFW橋本峻弥(3年)の右足シュートがポストをかすめ、30分には中央で10番MF石井光(3年)からのパスを受けた橋本が左への動きでDFを外して左足を振りぬいた。だがこれはGK中尾祐太(3年)がストップ。運動量が落ち、正確にスペースを突いてくる青森山田に決定機をつくられた流経大柏だったが、崩されかけてもラストパスやシュートに三嶋やMF西槙翼(3年)が必死に足を伸ばして1点を許さない。
 
 逆に流経大柏は41分、カウンターからMF上田将寛、FW柴田秀樹(ともに3年)とつなぎ、最後はゴール前へ飛び込んだジャーメインが6点目のゴール。後半畳み掛けた流経大柏が東北の雄に大勝した。特に最近3試合は後半だけで計15得点。森永は「悪かったゲームで言えばコンサドーレ戦は前半1点取ってからの後半、受け身のサッカーというか、あれが自分たちの中で本当にダメとなっていて、エスパ戦もアカデミー戦も受け身にならないでどんどん行こうと言っていた。きょうもそうですね」。札幌U-18との開幕戦では1-0で勝利したものの、後半は受け身となって相手に押し込まれた。現在、相手の運動量の落ちたところで運動量を一気に増やして上回っている選手たちは、反省点も活かして後半の大量得点につなげている。
 
 そして快進撃を続ける選手たちについて、本田裕一郎監督は「(過去の選手たちと比較して)この子たちは(人の話を)よく聞くんですよ。目が違いますね。後半に(入るときに)私がしゃべった時の目が違う。今までのヤツももちろん食い入るように見ていたけれど、この子たちは目がキュっとなっている」。近年で最もタレント揃う攻撃陣と磨き上げてきたポゼッションがある。そして攻めるために鍛えてきた伝統の堅守、運動量。加えて名将を唸らせるほど、高い意識がある。それぞれエゴも非常に強い印象だが、石田中心に上手くまとまり、圧倒的な強さを発揮しているチームは次節、王者・東京Vユースを破ってその強さを示す。

[写真]前半アディショナルタイム、石田の先制ゴールを喜ぶ流通経済大柏イレブン

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
2013プレミアリーグEAST

TOP