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上位対決はロスタイムの劇的弾で横浜FMが鹿島に追い付き、ドロー決着

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[5.3 J1第9節 横浜FM1-1鹿島 日産ス]

 J1は3日に第9節を行い、2位の横浜F・マリノスは4位の鹿島アントラーズと日産スタジアムで対戦した。固い試合運びを見せる両チームの試合は、後半28分にMF野沢拓也がセットプレーから流れてきたボールを右足で豪快に叩き込み、鹿島が先制する。この1点を守り抜くかと思われたが、後半ロスタイム5分に途中出場のDFファビオがミドルシュートを叩き込み、土壇場で試合を振り出しに戻した。このまま1-1で試合は終了し、上位他決は勝ち点1を分け合う結果となった。

 横浜FMは第8節の甲府戦(1-1)と同じメンバーと4-2-3-1の布陣で試合に臨んだ。対する鹿島は8節の新潟戦(3-2)で出場停止だったDF岩政大樹がスタメンに復帰。左サイドバックには中田浩二を起用している。
[スタメン&布陣はコチラ]

 互いに序盤から慎重な試合運びを見せる。その中で、横浜FMが最初に決定機をつくる。MF中町公祐がDF青木剛からボールを奪い、FWマルキーニョスにパス。そこから中央のMF中村俊輔、左サイドをオーバーラップしたDFドゥトラにボールがつながる。ドゥトラのクロスをファーサイドに走り込んだ中町がヘッドで合わせたが、ボールは右ポストを叩いた。

 ボールの保持率では上回る鹿島も、前半13分に右サイドからMF小笠原満男が左足で入れたクロスをFWダヴィが合わせようとするが、DF栗原勇蔵に阻まれる。このクリアーボールを右サイド深い位置で拾ったMFジュニーニョが再びゴール前にボールを入れたが、これはGK榎本哲也にキャッチされた。

 前半21分にはMF柴崎岳が倒されて、鹿島が右サイドでFKを獲得。これをMF野沢拓也がゴール前に入れると、こぼれ球を拾ったダヴィが反転してシュートを打ったが、GK榎本の正面を突いた。その1分後には横浜FMも中盤でルーズボールを拾った中村が、右足でゴールを狙ったが、ボールは左へ逸れて行った。

 互角の展開の中で、徐々に鹿島が優勢になっていく。前半24分には横浜FMの横パスを小笠原がスライディングでカット。これをFW大迫勇也が拾ってダヴィにスルーパスを出したが、栗原と中澤佑二の両CBに挟撃され、突破できなかった。同37分には柴崎の縦パスを大迫がヘッドで落とし、野沢が飛び込んだが、シュートはDFにブロックされる。これで得たCKの流れからも鹿島は、好機をつくる。小笠原が右サイドから入れたクロスを野沢が折り返し、ゴール前でダヴィが合わせたがボールはクロスバーを叩く。このこぼれ球を岩政がゴールに流し込もうとしたが、ヘディングシュートは左へ外れて行った。

 横浜FMも何度か高い位置までボールを運んだが、ゴール前でのプレーに精度を欠き、決定機はつくれなかった。このまま前半はスコアレスで折り返す。

 後半に良い試合の入りを見せたのは、横浜FMだった。マルキーニョスのミドルシュートやMF端戸仁の飛び出しなどで、鹿島ゴールに迫って行く。鹿島も後半11分にはDFに倒されながら野澤が出したパスを受けたダヴィがミドルシュートを放ったが、これはゴールを捉えることができなかった。同17分に横浜FMは端戸を下げて、FW藤田祥史を起用する。直後のCKで中村のボールをニアサイドで中町が合わせたが、これはGK曽ヶ端準に防がれている。

 後半21分には鹿島もGK曽ヶ端からのロングボールを受けた大迫が、DFを背負ったまま巧みにダヴィにパスを出す。これをダヴィがシュートまで持って行ったが、ボールは左に逸れて行った。同28分には左サイドでセットプレーを得ると、小笠原がゴール前に入れたボールを野沢がシュート。これがゴールに突き刺さり、鹿島が先制した。

 後半31分には横浜FMも中村が直接FKでゴールを狙うが、壁に当たってしまう。同33分には右サイドからDF小林祐三が入れたクロスを中町が合わせたが、GK曽ヶ端が鋭い反応を見せて、ゴール上へはじき出した。このCK前に鹿島はジュニーニョを下げて、MF本山雅志を投入する。さらに同37分には野沢に代えて、MF遠藤康をピッチに送り出した。

 1点を追う横浜FMも、後半39分に中町がドゥトラからのパスを受け、PA外から右足でコースを狙ったシュートを放ったが、GK曽ヶ端にキャッチされた。同40分には横浜FMがMF富澤清太郎を下げて、MF佐藤優平を起用する。鹿島も同41分に大迫を下げて、DF山村和也を入れて4-2-3-1の布陣に変更した。

 前への圧力を強める横浜FMに対して、鹿島もしっかりと守っていた。しかし、後半ロスタイムにドラマが待っていた。鹿島のDF陣がハイボールの処理に手間取ると、ロスタイムに投入されていたDFファビオがルーズボールを叩き込み、試合を振り出しに戻した。この1点で勢いを取り戻した横浜FMだったが、逆転ゴールは挙げられずに1-1で引き分けた。
(取材・文 河合拓)

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