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ロスタイム弾の横浜FM DFファビオ「試合が終わっていないことを忘れた」

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[5.3 J1第9節 横浜FM1-1鹿島 日産ス]

 難しい状況だった。後半17分にFW藤田祥史を投入し、2トップに変更していた横浜F・マリノスだったが、同28分にMF野沢拓也に先制ゴールを決められてしまう。1点を追う展開となった中、後半ロスタイム2分には、足に不安を抱えていたFWマルキーニョスも、ベンチに下げなければならなくなった。それでも、そのマルキーニョスと交代したDFファビオが見事に同点ゴールを決め、横浜FMは勝ち点1をつかんだ。

 昨シーズンまで2つカテゴリーが下のJFLでプレーしていたブラジル人DFは「ドゥトラから良いボールが入ってきて、最初のボールに僕を触ることができました。それでPA内でお互いのチームがボールを浮かすことになり、最後は自分のところにボールが来ました。思いっきり打ったシュートは、誰かに当たったと思いますが、うまくゴールに入ってくれた」と、J1初ゴールを喜んだ。

 マルキーニョスをベンチに下げた後、横浜FMはDF栗原勇蔵を前線に上げていた。ファビオは最終ラインで起用されていたが、このときはDF中澤佑二に確認して、ゴール前に攻め上がったという。「セットプレーを得たときに、ボンバー(中澤)が自分と同じDFラインにいたので、彼を見たら『行け』と合図を出してくれました。周りも『行っていいよ』と言ってくれて、自分の力を信頼してくれたので、ゴール前に行きました」。

 この判断についてMF中村俊輔も「良い判断だった」と語る。「正面から来るボールに対しては(栗原)勇蔵も強いけど、横から入ってくるボールはファビオの方が強いかもしれない。決勝点のときも、最初にファビオがヘッドしていたけど、それができたのも大きかった」と、目を細めた。

 7節の新潟戦(0-1)でJ1デビューを飾ったファビオは、この日が3試合目の出場となった。通算出場時間7分目で初ゴールを挙げた24歳は、一気にゴール裏のサポーターの前へ駆けて行った。「初めてのゴールで嬉しくなり過ぎて、試合が終わっていないことを忘れてゴール裏まで行ってしまいました」と言い、すぐにプレーを再開して、逆転ゴールを狙いに行かなかったことを反省した。

 今季からプロでプレーしているだけに、まだ経験は浅い。前節の甲府戦(1-1)では、自身が出場した直後の後半ロスタイムに同点ゴールを決められ、この日は同点ゴールを決めて、チームの勝ち点1に貢献。CBで出場するためには、中澤、栗原という、あまりに大きな壁を越えなければいけないが、少しずつ経験を重ねながら出場機会をうかがっていく。

(取材・文 河合拓)

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