[5.4 JFAプレミアカップ準決勝 福岡U-15 0-3 京都U-15 J-GREEN堺S1]

　中学年代の日本一を決めるJFA プレミアカップ2013 supported by NIKEは4日午後、準決勝を行い、3度目の優勝を狙う京都サンガF.C.U-15(関西2、京都)がFW吉岡翼のハットトリックの活躍によってアビスパ福岡U-15(九州、福岡)に3-0で快勝。京都U-15は5日にJ-GREEN堺S1ピッチで開催される決勝で大宮アルディージャジュニアユース(関東、埼玉)と戦い、勝者は8月にマンチェスター(イギリス)で行われるU-15の世界大会「マンチェスター・ユナイテッド・プレミアカップ・ワールド・ファイナルズ2013」に出場する。

　過去3大会のうち2度優勝し、残る1度も4強入りしている“名門”が3度目の頂点に王手をかけた。ともに1次ラウンドを2勝1分のグループ首位で勝ち上がってきた両チームの対戦は序盤、抜群の推進力を持つ三郎丸瑞基と宮内真輝の強力2トップへボールを集める福岡がチャンスをつくっていく。1次ラウンド最終節で前回王者のG大阪ジュニアユースを2-1で沈めている福岡は、前半10分に正面からPAへ潜り込んだ三郎丸が右足シュート。14分には右クロスに決定的な形で宮内が飛び込んだ。

　ただ、京都はボールを奪うと、キャプテンマークを巻いたMF日根野達海とMF田中康介を軸に敵陣まで押し返すと、守備面でも相手のパワーとスピードのある攻撃を上手くサイドヘと押し出して決定機をつくらせない。一方、攻撃面で決定打を撃てず、拮抗した展開のまま試合は進んでいったが、前半終了間際に突如試合を動かした。28分、京都は左サイドから逆サイドへ展開すると、右サイドを縦に突いたFW松川尚生がコーナー付近からクロスボール。やや滞空時間の長いクロスで、中央にはDF、GKもいた。得点をするには難易度の高いボールのように映ったが、DFとの駆け引きで上手く前に入った吉岡が頭で合わせると、GKの頭上を越えたボールはそのままゴールへと吸い込まれ、先制点となった。

　先制点をアシストした松川が「失点はしないと言っていた」と語っていたが、荒川友康監督から「気持ちの弱い者は帰れ」と引き締められていた京都の守備の集中力が高かった。MF冨安健洋主将を中心に迫力ある攻撃を見せていた福岡だが失点後にミスが目立つようになり、また攻守の切り替えの速い京都に遅れを取って後手後手となってしまっていた。逆に京都は4分、左サイドからFW俣野亜以己がPAへボールを持ち込むと、一度はボールを失いながらも、切り替えの速い守備で相手のクリアをチャージ。これが右前方にポジションを取っていた吉岡の下へと飛び、頭で合わせた背番号23のこの日2点目のゴールによって2-0となった。

　福岡は9分に宮内が決定機を迎えたが、京都GK若原智哉の好守の前に追撃することができず。判断の遅れも重なり、1次ラウンドののような強さを発揮することができない。それでも福岡は後半15分から今大会4ゴールの10番MF稗田圭吾を投入。24分には左サイドの角度のない位置から宮内の放った左足シュートが左ポストを叩く場面もあったが、最後まで1点を奪うことができなかった。

　一方の京都は、後半アディショナルタイムに右サイドから切れ込んだ交代出場FW中田諒の折り返しを吉岡が右足ダイレクトで合わせて3-0。今大会ここまで無得点だった2年生FWのハットトリックの活躍によって世界進出へ王手をかけた。

　前町田ゼルビアコーチの荒川新監督に迎えて戦う今季、日野根は「(これまでよりも)自分たちになるべくやらせるようにしてもらっている」と変化を口にする。その中で迎えた今大会の1次ラウンドは本人たちにとっても決して満足の行くものではなく、日野根も「球際の強さは通用するけれど、ビルドアップが上手くいっていない。これは課題です」と口にする。それでも2年前にタイトルを獲得した先輩たち以上のサッカーができると信じている。CB明石峻は「(2年前優勝した先輩たちよりも)ボクたちの方が上。(世界大会に)とても行きたい。ボクらは優勝します」と宣言。決勝で大宮に勝って、2年前の先輩たちと肩を並べる。

(取材・文　吉田太郎)