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[JFA プレミアカップ2013]2発の劇弾で初の日本一!延長戦制した大宮ジュニアユースが世界切符獲得!!

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[5.5 JFAプレミアカップ決勝 大宮ジュニアユース2-1京都U-15 J-GREEN堺S1]

 U-15の世界大会「マンチェスター・ユナイテッド・プレミアカップ・ワールド・ファイナルズ2013」(8月、イギリス・マンチェスター)の出場権を懸けたJFAプレミアカップ2013 supported by NIKEは5日、J-GREEN堺S1ピッチで決勝を行い、大宮アルディージャジュニアユース(関東、埼玉)が延長後半終了間際にFW梁賢柱が決めた決勝ゴールによって京都サンガF.C.U-15(関西2、京都)に2-1で勝った。大宮は3回目の出場でクラブ史上初となる全国制覇。世界への挑戦権も手に入れた。

 J1で快進撃を続けるトップチームに負けじと、大宮の弟分がクラブのアカデミー史上初となる日本一を勝ち取った。0-1の後半アディショナルタイムに同点ゴールを奪い、試合を決めた決勝点は延長後半終了1分前のゴール。文字通り劇的な2ゴールで上り詰めた頂点だった。

 後半15分に先制された大宮は主導権こそ握っているものの、京都の堅守の前に攻め切ることができないまま試合終盤へ。3分間が提示されたアディショナルタイムも1分が過ぎ、前でしっかりと相手の攻撃を弾く京都が世界切符を手中に収めようとしていた。だが大宮は32分、敵陣左中間でボールを上手く収めたMF山田陸が前方のDF間に顔を出したMF三橋智哉へパス。これを三橋が流れを止めずに前方へ送ると、MF長谷川元希がDFの厳しいプレッシャーを受けながら左足を振りぬく。「緊張したけれど、あそこで決めないと延長に行けない。気持ちで決めました」。仲間の願いも込められた一撃は、ゴール前を横切って右ポストを叩き、ゴールラインの内側へ転がった。

 土壇場で“奇跡”を起こした大宮イレブンがハーフウェーラインを越えて自軍ベンチまで駆け寄り、喜びを爆発させたのに対し、頭を抱えて落胆する京都イレブン。京都は気持ちを切り替えようとするが、前後半各10分間の延長戦は勢いに乗る大宮ペースとなった。大宮の伊藤彰監督が「蹴っても相手のパワーに勝てない。(ボールをつないで)主導権を握って攻めたのが勝因だったと思う」と振り返っていたが、追い込まれても自分たちのスタイルを変えずに攻めて追いついた大宮は、延長戦でも各選手がDF間で上手くボールを受けながら、正確にボールを動かしていく。そして局面では梁や10番FW小柏剛、MF北西真之のドリブルで京都守備陣へ圧力をかけた。

 延長前半4分に左サイドから仕掛けた梁が右足シュート。6分には右サイドを抜けだした北西が決定的な左足シュートを放つ。後半には京都GK若原智哉の好守に阻まれたものの、長谷川の直接FKがゴールを捉えるなどゴールへ迫り続けていた。そして延長後半9分、熱戦に決着をつけるゴールが生まれる。敵陣中央でDFと入れ替わるようにパスを受けた梁が、CBのマークを右側からかわしながらPAへ潜り込み、そのまま右足シュート。「打った瞬間入ったと思った」という一撃がゴール左隅へ吸い込まれ、劇的な決勝ゴールとなった。

 初Vはアクシデントも乗り越えて掴んだタイトルだった。大宮は試合開始直後、右オープンスペースへ飛び出した右SB谷村大和が右足シュートを放った直後に右足を捻るアクシデント。1次ラウンドで好調だったDFが、わずか4分間で負傷退場してしまう。ただ、左SBから右SBへポジションを変えたDF荒巻洸介が12分にスルーパスで抜けだした京都FW俣野亜以己のシュートをストップ。また中盤で数的優位をつくって攻めると、16分にはMF野本幸太のスルーパスから小柏剛が右足を振りぬくなど、アクシデントを感じさせない戦いを見せる。

 京都は試合を通してボールを保持されている時間が長かったものの、インターセプトから攻撃参加したCB日根野達海や相手の動きの逆をついてボールを進めるMF田中康介が中盤で1枚を剥がして一気にチャンスへと結びつける。25分には左サイドのMF湊翔龍からパスを受けた田中がターンしながら右足シュート。後半開始から2人を入れ替えた京都に対し、大宮は9分に左サイドからDFのギャップに入り込んだ小柏がクロスバー直撃の右足シュートを放つ。だが、京都は15分に左サイドでのインターセプトから中央へ切れ込んだFW橋本尽がスルーパス。DFが処理を誤り、こぼれたボールを拾ったFW中田諒が右足シュートをねじ込んでリードを奪った。
  
 福岡U-15との準決勝でも先制した後に相手の良さをほぼ消していた京都は、この日も反撃する大宮に思い通りのサッカーを展開させない。相手の攻撃をしっかりと前で潰すと相手の逆や背後を取って決定機をつくり出す。25分に左サイドから仕掛けた田中が右足シュートを放ち、27分には左サイドのスペースを突いた橋本が決定的な右足シュート。そし直後には左クロスのこぼれ球に反応した日根野が左足を振りぬく。だが、2点目を決めきることができなかった。京都は後半、田中が相手を振り回すなど存在感を高め、相手の反撃に対しては日根野や岸本大地、明石峻が確実に弾き返していた。終盤に突入しても決して集中力を切らしていなかったが、大宮の執念に屈する形となった。

 大宮は昨年、決勝でG大阪ジュニアユースに敗戦。2年後しの夢を叶えたクラブは8月、イギリスで世界に挑戦する。指揮官は「挑戦者なので、1つの経験としてクラブの発展に繋げられれば。世界でも大宮という名前を売れればと思いますし、プラスアルファ良いサッカーをして評価されればいい」。選手たちの思いも世界へ。土田は「今、自分たちが世界でどのくらいのレベルにいるのか知るために、しっかりとチャレンジしてきたい」。チームは今大会の1次ラウンド3試合で、結果を意識しすぎて自分たちのサッカーを失っていた。それが決勝トーナメント2試合ではポゼッション、細かい崩し、積極性も含めて大宮らしさを取り戻して結果を手に入れた。昨年、プレミアカップを制したG大阪ジュニアユースが世界大会で準優勝。結果を目指すのはもちろんだが、まずは大宮らしいサッカーを世界で展開することにこだわる。

(取材・文 吉田太郎)

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