[5.5 JFAプレミアカップ決勝 大宮ジュニアユース2-1京都U-15 J-GREEN堺S1]

　MVPこそ決勝ゴールのFW梁賢柱に譲ったが、準決勝と決勝で見せたインパクトは十分だった。準決勝で決勝FKを含む2得点を挙げた大宮ジュニアユースFW長谷川元希は決勝でも大仕事をしてのける。

　0-1の後半アディショナルタイム、左中間でMF三橋智哉からのパスを受けた背番号8はダイレクトで左足を振りぬく。「パスを受けた時にシュートのイメージができていた」という一撃は右ポストに当たり、ゴールへ。DFとの接触によってボールの方向が見えていなかったという長谷川だが、仲間の歓声で同点ゴールとなったことを知ると、一直線にベンチへ駆け寄り、喜びを爆発させていた。

　前日「人生で一番うれしい」と振り返った決勝FKに比べると、ゴールの喜びは小さかったというが、それでもチームを救う大きな、大きな一撃。試合の流れも一気に引き寄せる一撃を決めたMFは試合を通して好パスを連発していた。本人はMVPも期待していたようだが、それは今後の大会へ持ち越しに。「世界ではもっとMVPとか狙ってチームに貢献して、世界一になって監督たちと喜びを分かちあいたい」と誓っていた。

　準決勝、決勝の活躍は自身の意地でもあった。1次ラウンド初戦の名古屋U15戦では2-2から無人のゴールへ押しこむだけというシュートをミス。引き分けて苦しいスタートとなったチームは1勝2分で何とかグループリーグを突破した。「準決勝と決勝はゼロからスタートして絶対に結果を残してやろうと思っていた」というMFはその言葉どおりの活躍。準決勝と決勝で見事に1次ラウンドの借りを返した。

「中盤でボールを持った時は3タッチくらいを意識している」というように正確なタッチで攻撃を組み立てながらも、ドリブル、そしてシュートで存在感を示した長谷川。まだまだ課題はあるが、この数試合で大きく成長を遂げたMFは優勝をステップにさらに大きな存在となる。

(取材・文　吉田太郎)