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鹿島戦での得点にこだわったFW興梠「ヒーローインタビューで感謝を伝えたかった」

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[5.11 J1第11節 浦和3-1鹿島 埼玉]

 ミックズゾーンで、ストライカーは両クラブの選手たちにイジられていた。浦和レッズのMF山田暢久らに「あれはオフサイド」と、逆転ゴールについて触れられると、鹿島アントラーズのDF中田浩二にも「試合中、削り過ぎだよ」と言われ、思わず苦笑した。

 一緒にプレーした選手たちから愛される興梠は、古巣との一戦を前に、いつになくゴールに燃えていた。実際に得点を挙げた興梠は、試合後のヒーローインタビューで、オフサイドポジションで挙げたゴールを「ちょっとラッキーな部分はありました」と認めると、すぐに鹿島サポーターへ感謝の言葉を口にした。

 試合後のミックスゾーンで興梠は、ゴールにこだわった理由を明かしている。「僕は8年も鹿島にいたのに、直接、サポーターにお礼の言葉も言わずに出て来ていたので、今日はどうしてもゴールを決めて、試合後のヒーローインタビューで感謝の気持ちを鹿島サポーターに伝えたかった。8年間、自分がダメなときも、どんなときもサポーターが支えてくれたので。どう捉えられたかは分かりませんが、それが叶ったことは良かったです」

 鹿島サポーターへの感謝を込めたゴールは、『浦和の興梠』を強烈に印象付けるものでもあった。得点直後、背番号30は左胸のチームエンブレムにキスをした。「鹿島でもやったことはありませんでした。レッズの一員として認められたい気持ちが強いし、『僕もいるんだぞ』というのを示したかった。やろうと思っていませんでしたが、とっさに出ました。それくらい追い込まれているのかな」と、冗談を交えて振り返った。

 後半44分には、DF青木剛と競り合いながらもボールをキープし、MF原口元気にボールをつなげた。原口がシュートに持ち込むと、GK曽ヶ端準が弾いたボールをMF梅崎司がゴールに押し込んだ。この3点目の場面も、浦和の最前線に興梠が不可欠であることを示すものだった。「後半は結構、ボールもキープできたと思いますし、起点もつくれました。(原口)元気と(柏木)陽介が、なかなかボールに触れていなかったので、どうにかして2人にボールに触らせたかった。その中でああいうゴールが生まれたことは良かったです」と、笑顔を見せた。

 新天地でも欠かせない存在となった興梠は「鹿島で試合に出られなかった中で、僕を獲得してくれた浦和レッズというクラブで、一つでも多くのタイトルに貢献したい」と言い、3戦ぶりの勝利を、自身のゴール以上に喜んだ。

(取材・文 河合拓)

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