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広島入り内定のMF茶島決勝アシスト!東京学芸大が劇的ゴールで拓殖大下す:関東2部

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[5.11 関東大学リーグ2部第7節 東京学芸大2-1拓殖大 味スタ西]

 JR東日本カップ2013第87回関東大学サッカーリーグ戦2部は11日、第7節1日目の2試合を行い、味の素スタジアム西競技場(東京)で開催された東京学芸大対拓殖大戦は、後半アディショナルタイムに来季のサンフレッチェ広島入り内定が発表された全日本大学選抜MF茶島雄介主将(4年=広島ユース)のアシストからMF佐々木陽次(3年=F東京U-18)が決勝ゴールを決め、2-1で東学大が競り勝った。

 昨季1部の東学大と10年に1部を経験している拓大との雨中の熱戦は、後半終了間際に決勝点が生まれた。東学大は敵陣中央、左サイドでFKを獲得すると、キッカーの茶島が右足でディフェンスとGKとの間にボールを入れる。「(前半)1本目のCKでGKが出てこないのが分かった。続けていけばチャンスになると思っていた」とGKの前方へ狙ったボールに走りこんだのは佐々木。「チャジくん(茶島)はいつも練習であそこに蹴ってくる。狙いどおりだった」とニアサイドで頭で合わせたボールが、ゴールへ吸い込まれて劇的な決勝点となった。

 東学大は広島入りを決めた茶島をはじめ、09年U-17W杯日本代表の全日本大学選抜SB廣木雄磨(3年=F東京U-18)、元U-19日本代表のMF山崎直之(4年=F東京U-18)やそのほかにも関東選抜クラスや高校時代に全国舞台で活躍した選手の名がズラリと並ぶ。1部チームにも見劣りしない陣容。実際、ピッチ上で表現しているサッカーのレベルは高いが、勝つことは簡単ではない。開幕戦では昇格組の東京国際大に1-2で敗れ、第4節では青山学院大に0-1で競り負けた。

 この日も前半と後半とでは試合展開が大きく変わった。主導権の握り合いの続いた序盤から徐々にボールを支配して流れを引き寄せた東学大は、20分に茶島の右CKからCB脇本晃成(2年=広島ユース)がヘディングシュート。25分には廣木の左クロスに決定的な形で飛び込んだ佐々木のヘディングシュートがゴールを襲う。そして27分にはドリブルでDFをかわした茶島のスルーパスに右サイドで反応した山崎が中央へ折り返す。コントロールタワーの茶島と1年生MF平田惇(広島ユース)のゲームメイクからキープ力とスペースへの飛び出しも見せる山崎、佐々木、MF佐藤聖(3年=三菱養和SCユース)がゴールへ迫っていた。

 そして33分、東学大は自陣の右SB吉田一彦(1年=F東京U-18)が縦にくさびを入れると佐々木がダイレクトで中央へ落とし、茶島が右前方のスペースへスルーパス。これで抜け出したFW遠藤真(4年=千葉U-18)が中央へラストパスを送ると、ニアで潰れた山崎の後方から走りこんだ佐藤が左足で先制ゴールを決めた。4本のパスで相手を崩す鮮やかなゴールで先制した東学大は、36分にも左サイドで佐藤とスイッチして一気にオーバーラップしてきた廣木の左クロスから佐々木が決定的な左足シュートを放つなど、主導権を握って攻め続けた。

 だが茶島が「ボクも前半1点取って終わって、このままの状態で行けば、余裕を持って試合運びができるかなと思っていたんですけど、後半相手の勢いに飲まれてしまう時間帯がある。その時に自分としても何かひとつのプレーで流れをこっちに持ってきたり、声でチームを引っ張っていかなければいけないと思っています」と反省していたが、後半は拓大の圧力の前に完全に飲み込まれてしまっていた。

 前半、左サイドの崩しからPAのへ飛び込んだSB小針優貴(3年=静岡学園高)が右足を振りぬくなど、こちらもチャンスをつくっていた拓大は正確な左足キックを見せるMF片槙吾(2年=浦和ユース)とMF川崎圭亮(2年=三菱養和SCユース)をポイントにパワフルな突破を繰り返していたFW内野裕太(4年=朝霞高)のドリブルが効果を発揮。やや左サイドからの攻撃に偏っていた東学大を人数をかけた守備で封鎖し、スピード感のある攻撃を繰り返した。18分には交代出場のFW加藤千博(4年=横浜FCユース)の右足シュートがゴールを襲い、24分には右サイドからドリブルで持ち込んだ内野が右足を振りぬく。そして27分だ。加藤が豪快なドリブルで左サイドに穴を開けると、その折り返しがこぼれたところを交代出場のMF唐澤翔(4年=麻布大淵野辺高)が右足でゴールへ流し込み同点に追いついた。

 勢いに乗った拓大は28分にもMF吉田雅彦(4年=前橋商高)の左アーリークロスに大外から飛び込んだ右SB西本龍平(4年=国見高)のヘディングシュートがクロスバーを叩く。一方の東学大も山崎や茶島がシュートへ持ち込むなど反撃。33分には茶島の右CKから中央の平田がクロスバー直撃のヘディングシュートを放った。ややオープンな撃ち合いとなった終盤、東学大は44分にも茶島のラストパスから佐々木が放った左足シュートがゴールマウスに弾かれるなど好機を逸していたが、アディショナルタイムの決勝ゴールで勝ち点3をもぎ取った。

 殊勲の佐々木は「1部に上がらないといけないという気持ちがありますし、プレッシャーですけれど、勝っていく。(東学大は)みんな練習でも上手いし、個々のレベルは高い。でも(他のとの)差はない。チームが勝つことももちろん大事ですけど、(2部のプレッシャーの中で)自分がどこまでできるか突き詰めたい」。目標は1部昇格と、今年唯一全国のチャンスがある総理大臣杯全日本大学トーナメント出場だ。茶島は「チームとしては最終学年なので1部に上げたいですし、全国大会につながるのがもう総理大臣杯しかないということなので、学芸は教育実習があって4年生はなかなか出るのが難しいんですけど、ボクは少しずれて出ることができる。そこに全力を注ぎたいですね」。この日リズムを崩しながらも最後に立て直して勝ち切った東学大。タレント揃う関東2部の実力派が全国でそのサッカーを披露する。

(取材・文 吉田太郎)

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