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[MOM775]市立船橋FW石田雅俊(3年)_ポテンシャル十分の“スーパーエース”、圧巻の3発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.12 プリンスリーグ関東1部第6節 市立船橋高5-0F東京U-18 グラスポ]

 市立船橋の“スーパーエース”FW石田雅俊(3年)が強豪対決で3得点。チームに勝ち点3をもたらした。この日、左サイドハーフとして先発した石田は前半11分、左中間のMF室伏航が縦に入れたパスを左サイドからの動きでタイミング良く受けると、絶妙なファーストタッチから中央へ切り込んで右足一閃。貴重な先制点を決めると、2-0の43分には左サイドでスルーパスを引き出し、今後は縦へ切れ込みながら左足シュートをゴール右隅へ流し込む。

 そして後半13分には攻撃の組み立てから敵陣中央でボールを捌き、突如ギアチェンジすると、スピードに乗った状態でMF成田悠冴からのパスを受けて中央突破。そのまま右足シュートをゴールへ叩き込んだ。室伏ら技術の高いサポート役の存在も確かに大きかったが、狭いスペースでも完ぺきなタッチでボールをコントロールし、フィニッシュまで持ち込んでいた石田の個の能力によってもたらされた圧巻の3発だった。

 試合後、ベンチでコーチングスタッフ陣の話題になっていたのは石田のコントロール技術の高さ。「パスがズレていても石田の方が出し手に対して『ゴメン』と謝っている」「(見ている側からすると)悪いのはパスの方で『オマエ、それ止めるつもりだったの?』というボールなんですけど」。多少意図するところにボールがこなかったとしても、止めて次のプレーにつなげるだけの自信がある。石田本人は「いつも自分が出せ、出せと呼んじゃって、みんなも使ってくれるので止められ(コントロールでき)なかったら悪いかなと。(ただ)トラップには自信があります」と微笑んでいたが、動きながらでも正確にボールをコントロールしてシュートにまで持ち込む能力、そして決定力の高さは間違いなく脅威だ。

 朝岡隆蔵監督は昨年から石田を一本立ちさせるために、どんなにプレーの内容が悪くてもフル出場させてゲーム体力と、ハードワーク、そしてストライカーとしての自覚の向上を求めてきた。指揮官は「ハードワークできるようになってきた。もう少し変わると思います。あとは自己的になる部分が変われば間違いない」と“スーパーエース”と呼ぶ石田に大きな期待を寄せている。対して、昨年大事な試合で決めることができずに全国切符をもたらすことができなかった石田は「インターハイだったら(全国出場のかかる)準決勝、選手権だったら決勝で特に活躍しなければいけない。そこで活躍するイメージで練習している。そこは意識を変えました。自分はチームを救う点を取る。苦しい時に点を取る。それだけです」と力を込めた。

 まだ上手くいかないときに意地になってしまってプレーが単調になり、チームのリズムを崩してしまう場面がある。本人も「まだまだ。去年は何も残していない。特にインターハイと選手権はしっかりと結果を残したい」と成長、そして結果を残すことを誓う。その成長を加速させるために、今後上のカテゴリーへの練習参加をするプランもある模様。高校から大学を経由せずにプロを目指す逸材は自分自身を磨いて、よりチームを救うことのできるストライカーになる。

(取材・文 吉田太郎)

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