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課題残したスペースの共有、U-17代表候補がC大阪U-18とドロー

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[5.21 練習試合 U-17日本代表候補2-2C大阪U-18 J-GREEN堺]

 10月開幕のU-17W杯UAE2013へ向けて大阪府内で強化合宿中のU-17日本代表候補は21日、セレッソ大阪U-18と30本×3本の練習試合を行い、2-2で引き分けた。

「今回のキャンプのテーマであるフィジカル的に強い相手との戦い。世界大会で強いや速いといった相手と対戦しなければならないので、(C大阪U-18には)それを見越して前からプレッシャーをかけて頂いて、すごくいいシュミレーションになったと思っています。そのプレッシャーをかいくぐれなかった理由として、相手がコンパクトになっているところで相手を見れなかったというか、スペースが背後にあるということをみんなで共有できなかったというところが課題として残ったと思います」

 2大会連続で世界大会の指揮を執る吉武博文監督はこの日の試合で見えた課題についてそう指摘した。“世界で舞う””世界でファイナリストになる”という目標を掲げて階段を登り続けているチームにとっては、その目標へ到達するために乗り越えないとならない課題。ショートパスをつなぎながら相手陣内へ入っていくことをコンセプトに準備を重ねているU-17代表候補は1本目からボールを保持して攻撃を展開するが、中盤のサポートも少なく、相手を見て、相手がどこを守っているのか見るという判断、意識は全体的に希薄だった。

 1本目は初招集のゼロトップのトップ下の位置に入ったMF土居柊太(浜松開誠館高)がドリブルで強引に運ぼうとし、キャプテンマークを巻いたMF瓜生昂勢(筑陽学園高)のスペースへのパスに左SB浦田樹(千葉U-18)が連動して駆け上がってくるようなシーンもあった。15分には浦田の折り返しをFW小川紘生(浦和ユース)が左足シュート。ただ、コンパクトな陣形で鋭いプレッシャーをかけてくる相手の後方には大きなスペースがあったが、ほとんど活用することができない。狭いスペースでのパス交換を引っ掛けられてボールを失い、また大型FW大津耀誠やU-17代表候補と同じ96年世代のMF丸岡満らC大阪U-18にボールを保持される時間も長く、攻めきる場面も少なかった。

 2本目は左サイドから仕掛けたSB野口航(大津高)が右足シュートで終え、速攻から左サイドへ展開して中央の瓜生、MF杉本太郎(帝京大可児高)へいい形でつなぐ場面もあった。だが、守備に費やす時間も少なくなく、11分にはMF前川大河のシュートのこぼれ球を大津に詰められてC大阪U-18に先制されてしまった。その後もシュートまで持ち込まれる回数が多く、GK永石拓海(高川学園高)の好守によって追加点を阻んでいたものの、相手のプレッシャーを跳ね返して主導権を握るまでは至らなかった。

 そしてC大阪が主力組を下げた3本目の11分にも10番MF平田翔に豪快な右足シュートを叩きこまれて0-2。ここからようやく攻撃に迫力が加わり、15分にはMF杉山雄太(札幌U-18)のスルーパスからFW中村文哉(G大阪ユース)が追撃ゴール。そして19分には前方に開いたスペースを見逃さなかった左SB山口真司(神戸U-18)がドリブル突破からMF会津雄生(柏U-18)とのワンツーを通すと、そのまま同点ゴールをねじ込んだ。勝ち越すことはできなかったが、最後は代表の意地を見せて引き分けで90分間を終えた。

 吉武監督は「目指すところはショートパスをつなぎながら相手陣内に入って行きたいというのが基本なんですけど、サッカーってそれだけでは上手くいかない。ショートパスをつなごうと思ったらロングパスなくしてショートパスはつながらないし、パスをつなごうと思ったら、ドリブルするとか自分で運ぶことなくしてパスはつながらないということを半年くらいずっと選手と一緒にやっているんですけど、相手を見て、相手がどこを守っているのかと判断するところは課題として残った」。U-17W杯の組み合わせは8月26日に決定。6月には国内でのトレーニングキャンプ、7月には国際ユースサッカーin新潟に出場する。今回共有した課題を修正してチームは目標への階段を一歩登る。
 
(取材・文 吉田太郎)

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