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決勝点を喜ぶ憲剛「ジュニーニョに出した感じを思い出した」

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[5.25 J1第13節 川崎F2-1新潟 等々力]

 会心の一本だった。1-1で迎えた後半35分、ハーフウェーライン付近でボールを持った川崎フロンターレのMF中村憲剛は、体を寄せて来るDFを力強く振り切る。そして、そこから絶妙な、柔らかいスルーパスを前線に送った。これに反応したFW大久保嘉人が、そのままゴールへと突き進み、ゴールネットを揺らす。得点が決まった瞬間、大きなガッツポーズを見せた司令塔は、試合後も興奮が収まらなかった。

「(大久保)嘉人が良い動きをしてくれたので、(パスを通す)道が見えた。そこに流せば嘉人がやってくれると思ったら、そのとおりの動きを(パスを受けたあとに)嘉人がやってくれたので、すごく嬉しいです。ここまで一本のパスを相手も警戒していて、なかなか前に出てこなかったけど、ここにきて完璧な一本が出て、個人的にも嬉しい」と振り返り、「久々にジュニーニョに出した感覚を思い出した」と、かつての名パートナーの名前を出して目を細めた。

 この1点で川崎Fは、5月3日の名古屋戦から始まった公式戦無敗記録を7に伸ばし、5月を無敗で終えた。前半は新潟に押し込まれる時間帯もあり、苦しい試合になるかと思われたが、勝ちパターンができてきたと中村は強調する。「最近は、まず相手の裏を突くところからスタートして、疲れさせて後半で勝つということもできてきている。パスが通らなくてもいいから、まずは相手が嫌がることをしようと。裏一本で通れば、それはそれで良い。別に(裏へのパスを)出しちゃいけないなんて、一言も言われていないからね」。

 開幕6試合勝利がなく、序盤は苦しんだ川崎F。だが、この日の勝利で5勝4分4敗と勝ち越している。「中断期間に入るのが、本当にもったいない」。背番号14の言葉は、川崎Fに関わるすべての人の思いだろう。

(取材・文 河合拓)

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