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[総体]10人の静岡学園が1年生の劇的同点ゴールと本藤延長V弾で静岡4連覇!!

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[6.2 全国高校総体静岡県予選決勝 静岡学園3-2藤枝東 エコパ]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技静岡県予選決勝が2日、エコパスタジアムで開催され、後半アディショナルタイムに追いついた静岡学園が、延長前半9分にFW本藤風太(2年)の決勝ゴールによって3-2で藤枝東に勝ち、4年連続4回目の全国大会出場を決めた。

 崖っぷちまで追い込まれた静学が劇的な逆転勝利で王国の王座を守った。1-2とリードされた試合は4分間が表示された後半アディショナルタイムに突入。必死に反撃を試みるものの、35分に退場者を出していた静岡学園は好守を連発していたGK長沢祐弥(2年)やCB安藤寛和(3年)を中心とした藤枝東の堅い守りに阻まれ、敗戦の時を迎えようとしていた。

 だが主将の右SB手塚朋克(3年)が「少しあきらめかけた部分もあった。でもみんな福岡に行きたい気持ちがあったし、(長島)來雅が退場して、米田とか原田鉄平とか怪我して出れていない。そいつらの分まで戦ってやりたかった。あと、部員全員来てくれたし、藤枝東は全校応援だったんですけど、そいつらに負けないくらいの大きな声を出してくれていた。絶対に勝たなきゃという思いがあった」と振り返る王者はこの苦境を乗り越える。左中間でクリアボールを拾ったMF望月勇哉(3年)が正面のDFを外しながらスルーパス。これをコントロールした1年生FW加納澪が切り返しでDFをかわしてすかさず右足を振りぬく。ブロックしようとしたDFの股間を抜けたボールは、ゴール右隅へと吸い込まれ、同点弾となった。

 スタンドへ向けて走りだした背番号20に緑のユニフォームが次々と抱きつく。全国切符獲得目前で追いつかれた藤枝東の落胆の色は濃く、2-2で突入した延長戦では出足が一気に鈍くなった。一方の静岡学園はセカンドボールをMF須藤駿介(3年)と望月のダブルボランチがことごとく収め、特に須藤は技術と馬力のあるドリブルでふじ色の壁を破って攻撃の起点となった。10人の静岡学園が主導権を握る展開。藤枝東は延長前半4分、右サイドからのフィードをFW松田優也(2年)が落とし、抜けだしたFW田口史也(3年)が右足シュートを放ったが、ゴール左へ外れて勝ち越すことができない。逆に静岡学園は延長前半9分、交代出場の本藤が左サイドへ展開すると、同じく交代出場のSB吉田和史(3年)がカットインから強引にDFを突破して中央の本藤へとつなぐ。ゴールを背にしてボールを受けた本藤だったが、シュートフェイントでDF2人を振り切り、右サイドへ流れながら右足シュート。これがゴールヘと突き刺さり、決勝ゴールとなった。「準決勝で大事な場面で外していた。決めたかった」という2年生のファインゴール。藤枝東は長めのボールを多用してPAまでボールを運んだが、静岡学園の吉田健(3年)や石渡旭(2年)に跳ね返されると、巧みに時間を使われて追いつくことができなかった。

 静岡学園はMF米田隼也とMF原田鉄平(ともに3年)、藤枝東はFW片井巧(3年)がともに負傷欠場。互いにエースを欠いた試合は前半から静岡学園がボールを支配するも、ミスが多く、ゴール前のアイディアもわずかでドリブルで局面を打開することもできなかった。逆に前半39分、MF藤原賢吏(2年)が自ら獲得したPKを右足で決めて先制して藤枝東が先制する。対人の対応で隙を見せない3バックとGKの好守が目立つ藤枝東は攻撃面でも快足FW櫻井敬基(3年)がDFをかわして前進するなど相手の脅威となっていた。後半24分に望月の左クロスからDFの背後を取ったFW藤村皓(3年)に同点ゴールを決められたが、藤枝東は30分にポッカリと空いた静岡学園のCB間のスペースへ抜けだした田口が切り返しから豪快な左足シュートをゴール右隅へ突き刺して再び勝ち越した。勝利へ近づいた藤枝東だったが、静岡学園の脅威的な粘りに屈することとなった。

 絶体絶命の危機を乗り越えて優勝した静岡学園は1人少ない10人での戦いだったが、須藤は「11人対11人で戦っているという感覚だった。1人少ないからどうとかという焦りはなくて、冷静にプレーできた」。そして1人少ない状態で同点、決勝ゴールをもぎ取った。川口修監督も「1人少なくても個で打開できるという学園の良さ。ウチはああいうサッカーがやりたい。決勝点は学園の良さが出た」と讃える技で数的不利を克服して全国進出を決めた。

 手塚は全国大会へ向けて「自分たちのテクニックで勝負する。静岡代表として出るので、内容が悪くても評価されない。静岡代表として静学らしいサッカーをやりたい。正直プレッシャーも感じていましたし、みんな優勝に向かって硬くなっていた部分もあった。でも自分が去年経験したのに比べてもいいサッカーができた。まだミスが多いので改善して、1試合通していいサッカーをして、相手を圧倒して勝ちたい」。全国総体は一昨年が準優勝で昨年は8強。この日、主力不在の中で勝負強さを発揮した静岡学園が優勝候補の一角として夏の全国へ挑む。

[写真]延長前半9分、静岡学園の本藤が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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