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W杯出場決定会見後の選手コメント

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 日本サッカー協会は5日、埼玉県内のホテルで日本代表のW杯出場決定記者会見を行い、大仁邦彌会長、原博実技術委員長とともに、アルベルト・ザッケローニ監督と選手26人が出席した。

以下、会見後の選手コメント

●FW香川真司(マンチェスター・U)
―チームに個性の強い選手が必要ということだが、具体的には?
「プレイヤーとしてもそうだけど、人としての個性。今はどうしても日本代表は一人ひとりチームワークを大事にして『チームのために』とか、格好いい言い方ですよね。そういう考えを持った選手が多いのは確かだし、日本代表の特徴でもあるけど、そういう中で『自分が』とか『オレが』という強い気持ちを持った選手が増えていく必要があると思う。実際、それが(本田)圭佑くんなのかなと感じる。彼がいなくなったときに勝てていないのが現状だから。そういうところでの個性であったり、強さはもっともっと持っていかなければいけないと思う」
―新しい選手が必要?
「インパクトがある選手。新しい選手もそうだし、そういう刺激が代表にも必要。コンフェデはこのメンバーで行くと思うし、現状でどこまで行けるか楽しみだけど、W杯までには、そういう力が必要になってくる」
―本田依存ということも考えないといけない?
「どこかにそういう気持ちは持っていると思うし、もっとみんなが一人ひとり自立しないといけないのかなと。それはみんな感じているところだと思うので。やっぱり自分のためにW杯があると思う。僕自身もそう思っている。そのためにも勝ちたいし、活躍をしたい。自分のためにW杯に出るというのもあるので、そのためにも後悔はしたくないし、やらなければいけない立場にあると思っている。それをピッチの中とかで表現できればと思います」
―それでもブルガリア戦より、昨日は自由にできたのでは?
「もちろん、そういう感覚もあるけど、相手がオーストラリアだったし、コンフェデでどれだけできるか。チャレンジできることを楽しみにしていますし、コンフェデは今の自分の立場、現状を計る素晴らしい機会だと思う。自分のプレーを出して、どこまでできるかを楽しみにしています」
―チームの経験値が足りない?
「そうですね。実際にアウェーで勝てていないので。アウェーで戦う経験値は少ないので、コンフェデとか数少ないゲームでいかにこだわってやれるか。本当に強い気持ちを持って、W杯を決めたのでそこに集中してやっていきたい」
―個性が芽生えるためには海外での経験が必要?
「そんなこともないですけどね。一人ひとりがもっと出していくべきだと思うし、気を遣ってプレーしたりというのがあると思うので。もっと自分がこうだという表現、そういう強い気持ちが必要になってくると思う」

●FW岡崎慎司(シュツットガルト)
「個人的には自分も単純にゴールを取れる選手。昨日もそう思ったし、左でいいコンビネーションで崩しても最後に中で決める選手がいなければ、そのコンビネーションも意味がない。(香川)真司とか(本田)圭佑とか(長友)佑都が絡んでシュートまで行けているわけではない。クロスでいいポジションにいれば、最後、フィニッシャーとしての能力を発揮できると思う。そういう頼りになるFW、ストライカーという部分を自分はこの1年で磨かなければいけない。献身性とか周りに言われていたとしても、それを越えるぐらいのストライカーとしてのイメージを植え付けられればなと思う。活躍だったり、自分が自信を身につければ、もっと違う貢献ができる。自分がこの代表の中でどこで地位を確立するかというところではまだまだ。FWだったら責任を持つべきかなと思っているし、そういう成長ができればいい」

●FW清武弘嗣(ニュルンベルク)
「みんなが言っていたようにもっとレベルアップしていかないといけない」
―個人的にレベルアップしなければいけないと感じていることは?
「(課題は)圭佑くんが言っていたように一人ひとり違うと思うし、決定力とか高いレベルでもできるようにならないといけない」
―昨日の試合は頭から行きたかった?
「僕が決めることではない。いつでも行けるように良い準備をしていきたい」
―次の試合もすぐあるが?
「監督はさっきのミーティングで『絶対に勝ちに行く』と言っていたし、1試合も気を抜ける試合はない。次もしっかり準備していきたい」
―これから長い代表での時間が続くが、技術以外で吸収したいものは?
「代表は常にいい刺激をもらえるし、そういう毎日を経験できることは成長につながると思う。吸収できることは吸収していきたい。自分で肌で感じながらやっていければいい」
―代表でのプレーについては?
「日本の国旗を背負って戦う責任感もある。これからももっともっと意識しながらやれればいい」
―チームのレベルアップのためにはロンドン世代の突き上げも必要だが?
「(ロンドン世代は)増えてきたと思うけど、自分たちがもっともっと突き上げていかないといけない。まだレベルアップしていかないといけない」

●MF本田圭佑(CSKAモスクワ)
―最後に活躍もできたが、W杯予選全体を終えての感想は?
「満足はしていないですけどね。合流したとき、試合に出たときは、最低限の結果が出せたような、ホッとしたような気持ちではいます」
―中2日という厳しい状況だったが?
「コンディション自体は良くなかったけど、その中でやれることはやったと思っています」
―意識していたことは?
「コンディションが悪かった分、守備とかでは貢献できなかったので、攻撃になったとき、オンザボールのときには唯一、周りとの違いを出せるんじゃないかなと思ってプレーしていました」
―リズムはつくれたが、相手の守備も堅かった?
「そうですね。向こうも良かったですね。GKのセーブも良かったし、最後のところでも前半、何本か体を張って止められるところがあったので。でも、こんなもんですよね。意外と固めて来るオーストラリア、なかなか手強かったですよ。逆にブラジルとやったときの方が、面白い攻撃ができるんじゃないかと思うくらい。相性とかもあると思う。もちろん、ブラジルとやるときは3失点、4失点する覚悟も持っておかないとダメなので。逆に3点くらい取るつもりでやらないと」
―会見では、個別に宿題を出していたが?
「与えるつもりはなかったけど、振られたので」
―本田選手自身の宿題は?
「たくさんありますね。やれることは限られているので、自分の強みを再確認しながら、そういう部分にフォーカスしていくということと、1日24時間しかない中で、その時間の割き方が、当然ながら世界で一番すごいチームにならないと。下馬評で言えば、僕らがジャイアントキリングを起こすことはない。その情熱、想いが実際の行動に表れないと、そのクオリティはピッチの上では証明できないんじゃないかなと思う」
―決定力の問題について、監督は昨日の会見でも掲げていたが?
「決定力というのは、どこも抱えている問題で、別に今、始まったことでもなければ、どこのチームもずっと抱えている問題なので。入るときは入るし、入らないときは入らない。大事なのは、そこに向かっていく姿勢、それを続けること。それが大事なところで出たりするので。そこは何も心配していないというか。逆に(昨日の試合で)心配なのは、点を取ろうとする気持ちが逆に強すぎるあまり、カウンターを食らい過ぎたこと。これは良い傾向でありながら、コンフェデ杯に関しては不安要素として残りましたね。ああいう形でカウンターをブラジル相手にやられると、先が思いやられるなと思いました。もちろん、ブラジルとやるときは戦い方が変わると思うので」
―コンフェデで強豪国と戦うが、テストしたいことは?
「テストじゃないんでね。しっかり勝ちに行くんで。それは揺るがないです。超強気でいきます」

●MF長谷部誠(ボルフスブルク)
―一夜明けた心境は?
「正直、ホッとしています。夜の試合でイラクが負けていたし、もし日本も負けていたら、寂しい形での決定になっていた。結果論だけど、最低限の結果を残せてよかった」
―昨日の夜はお祝いをした?
「シャンパンで乾杯しました。僕は1杯だけ。あまり好きじゃないので」
―会見は台本があった?
「いや、シナリオなしで、適当に選手を当ててくれと言われていた。おもしろいですね。それぞれの人間性が出るので。長友や(本田)圭佑みたいに熱い選手もいて、そういう選手に感化されることもあるし、今ちゃん(今野)のように周りを立てる選手もチームには必要。そういう意味でも本当にチームとしてのバランスが取れていると思う」
―麻也のギャグも?
「麻也は論外。記者の方たちだけですよ、笑っていたのは」
―会見も祝福ムードというより引き締まる感じだったが?
「大喜びする感じではないですね。自分たちは世界で勝つという大きな目標があるので。ただ、日本人っぽいなとは思いますね。喜び切れないのは。向こう(ドイツ)にいると、とにかく勝てば喜ぶので。日本人はそういうところで思慮深いというか、もっと喜んでいいんじゃないのかなとは思いますけど」
―長友みたいな選手は?
「ああいう選手も大事だけど、喜ぶときは喜ぶ柔軟性も大事かなと(苦笑)」
――前回のW杯でも出場権は最速で勝ち取ったが、その後の1年間で結果が出ずに本大会では守備的になった。今回、そうならないためには?
「世界で勝つために、今まで自分たちが積み上げてきたものを継続してやっていくことが大事だと思いますね。2010年のときもそれをやり続けてきて、最後のところでは変えましたけど、そういう柔軟性は今回も持っていればいいこと。そういう意味では今やっていることを継続させることが大事だと思います」

●MF遠藤保仁(G大阪)
「これから整理して、自分が足りないと感じる部分もあるし、外から見ている人が感じる部分もあると思うので、それを代表スタッフ、チームの中でやっていければいいのかなと思う」
―コンフェデ杯で見えてくるものもある?
「そうですね。イタリア、メキシコはザックさんになって初めて対戦するチームだし、違った戦い方をしてくるチームと対戦して、いろいろと感じることがあると思う。予選を突破できれば、さらに2試合できるので。まずは予選で良い結果を出しながらやっていければと思います」
―若手が出てきた方が刺激はある?
「うーん。まあ、ザックさん次第なので。自分自身は自信を持ってプレーするだけだし、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもあるけど、どの選手にも負けないように、常日頃やっているので。僕は僕自身の仕事に集中したいと思います」
―ボランチに後継者がいないと言われることについては?
「別に僕は何も(笑)。でも、良い選手はたくさんいると思う。使われていないだけで、どのタイミングで、どの選手が使われるか分からないけど、自分自身は常にピッチに立ちたいと思います」
―長友選手、本田選手はW杯優勝を前提で話していた。遠藤選手の目標は?
「基本的には全部の試合で勝ちたいと思っているので。長友の言っていることは、非常に共感を持てるし、そんな簡単なことでもないので。基本的には目の前のことに全力で取り組みたいと思っているし、W杯で必ず良い結果を出せると信じてやっていきたい」
―南アフリカから2年半は長かった?
「いや、普通ですね。特別、早かったとも思わないし、どちらかというとドイツから南アの方が早かった。ここから残り1年はあっという間だという気はするので、そこで自分自身がどれだけ鍛えられるか。早かろうが、ゆっくりだろうが、充実した日を過ごしたいですね」
―戦う舞台がJ2になっているが、代表のパフォーマンスに影響は感じたか?
「うーん、僕はあまりないような気がします。昨日とブルガリア戦と、2月の試合しか代表でしていないので、よく分からないというのが正直なところ。高い意識を本当に持ってやっていれば、問題ないと思うし、週1の試合がほとんどなので、自分の時間がつくれるというのは今までになかったこと。そういうところもいろいろと工夫してやっている」

●DF今野泰幸(G大阪)
「うれしさと、昨日勝てなかったという悔しさと、もっとおのチームはできるという気持ちで会見に出ました」
――「あこがれ」と言ったことについて本田選手がそれではいけないと言っていたが?
「でも素直にやっぱり嬉しいし、そういうビッグクラブでプレーしているのは僕らの誇りでもあるし、学ぶことも多い。僕は素直な気持ちです。そういう選手がたくさん出てきて欲しいし、海外サッカーも大好きなので、応援しがいもあるし」
――昨日のパフォーマンスは素晴らしかった。
「ケーヒルは相当警戒していました。映像を見て、今回、怖い選手については映像も相当見ましたし。自分はケーヒルさえ抑えればチームは勝てるというくらいの気持ちで試合に入りました。流れの中でのマークは決まっていなくて臨機応変ですが、セットプレーのケーヒルのマークは僕だったので。怖さ、恐怖心は正直ありました」
――今回の分析は特に詳細にやったのか?
「普段から相手のことを研究して、相手の弱点を突くことや、相手の特徴を把握することはやっていますが、今回は時間もあったし、けっこう細かくやりました。セットプレーのマークはスタッフが決めます。明らかにおかしいなと思うときは選手の方から言うこともありますが、そんなに変わったことはないです。基本的にスタッフが決めています」
――4年前も今回と同様に最速でW杯を決めたが、1年後のW杯では守備的に戦わざるを得なくなった。今の攻撃的な、バランスの良いチームスタイルのままでW杯に臨むには、何が必要?
「うーん、結果を出し続けるしかないですよね。負けが続いたりすると自分たちの自信が揺らいでしまう。だから、何とか悪いながらも結果を出し続けることが大切ですよね。ぶれないことが大事。でも今はぶれない選手が多くなったというか、前線の選手の個性は強いし、その人たちの要求はDFラインに対してもすごく高い。それがある限りぶれることはないと思うし、ずっとこのサッカーを上げるためにやっていくと思う。監督もその考えだし」
――確かに4年前に比べても前線の個々の主張はすごい。その中で感化されたことはある?
「感化というか…要求はめっちゃ高いですよ。僕はCBやっているけど、パスの要求とかはすごい高い。自分がいいと思っているパスでもすごい言われたりもしますから。パスに正解はないけど、前線の選手がやりやすいようなパスをどんどん出していきたいし、もっとチャンスにつなげられるようなパスを出していきたいと思っています」
――今回、3-4-3をブルガリア戦のあのタイミングでやったのを見て、監督はすごいチャレンジャーだと感じた?
「でも多分、オーストラリア対策でもあったと思いますよ。オーストラリアは高さもあるので、ケーヒルとケネディが2トップにしてきたときに、最後の何分かを3バックにするという考えもあったと思う。高さが必要だから。昨日も栗原勇蔵が入ったけど、どうしても俺と麻也だと、どうしても俺の高さに心配があったと思う。だから、その前にブルガリア戦で試したんじゃないかと思う。僕の予測では。僕はそう感じ取りました。
3バックというのを聞いたときはショックでしたけどね。僕はやっぱり高さを不安視されているんだなと思って」
――だから余計頑張った?
「まあ、いつも頑張っていますけどね。ハハハ」
――3-4-3は攻撃面だけではなく、守備対策でもある?
「世界で勝つためにはいろいろな手段を考えないといけないというか、奇襲というのも考えないといけないと思いますよ。日本の良さを出していくために、システムを変えたりする。その対応力も日本は他の国に比べて高いと思う。だからいろいろなスタイルを出して、試合の中で顔を変えて戦っていくというのは絶対にオプションになると思うから、だからこれからもやっていくと思う」
――昨日は、高さを心配された感じ? それともユーティリティーを評価されて左右とも任されたととらえる?
「うーん、うれしいですね。やっぱり、高さを心配されたら僕のところを代えられると思うし、本職でないSBに最後まで置いてくれたのはうれしかったです。交代されるよりは信頼されているのかなと」
――以前より不安を口にすることが減ったのでは?
「以前より間違いなく強くなっていると思うけど、でも代表として戦うのはものすごいプレッシャーを感じる。不安とのせめぎあいですよ。プレッシャーに押しつぶされないように、ぎりぎりのところで戦っていますよ。勝ったときの喜びや、自分が活躍したときのイメージをして頑張っていますけど」
――チームの中で精神的に助け合うこともある?
「そうですね。日本代表の良さはチームワークだと思う。一人かわされても、もう一人がカバーする。それに今の攻撃陣は強烈なので、1失点したとしても絶対に1点以上取ってくれるという期待感がある。最近は取ってくれないけど(笑)。でもいい攻撃をしてくれるという期待感は自分の心の支えになっています」
――本田が入ることでメリットは?
「安定しますよね。ボールをキープできますし。攻撃のバリエーションがかなり増えるし、攻撃の時間が長くなる。それはDFにとって助かりますね」
――でも今野選手が本田にしてあげていることもありますよね?
「いや、ほぼないっす。もっといいパスを出せればもっといい攻撃ができると思います」
――そこは強く要求される?
「されますね。意識してやすしかないですね。ショートパスをミドルにするとか、グラウンダーのパスでも距離を伸ばしたパスを出せるようになるとか」
―ー本田選手に「あこがれはだめだ」と言われたことについては?
「自分でもそう思っていますよ。それにあこがれているだけじゃなく、必死に追いついて、食らいついていく。その人達の要求に応じられるようにというのは感じているので、素直に受け止めています」

●DF吉田麻也(サウサンプトン)
「あのままじゃ世界のチームと戦えるとは思えない。レベルアップしていきたい」
―個のレベルアップが必要?
「僕自身も思っているし、みんなもそう思っていると思う。組織はもちろん大事だけど、代表の時間は少ないので、各々がチームで個をどれだけ上げられるかが重要なポイントになってくる。他の国の選手たちもレベルアップしている中で、それよりも速いペースでレベルアップしていかなければいけない。そこは一人ひとりが成長してやっていくしかない」
―W杯予選を経験して、勝ち抜いたことについては?
「個人的には初めての状況だったので、はじめは手探りの状況だった。そんなに感じなかったけど、終盤は厳しい戦いが続いたし、楽には勝てないなと実感しました。これからはさらにハードルが高くなってくると思う。本大会に出ることが義務みたいなものになって、グループリーグを突破することが義務になってくる中で日本のサッカーが成長していくと思う。選手らが一歩一歩やっていくしかない」
―ロンドン、コンフェデ、W杯と駆け上がっていくが?
「プレミアもそうだし、オリンピックもそうだけど、レベルが高くなればなるほど、ワンプレーワンプレーが重要になってくる。上に行けば行くほど何をやらなけばいけないかは頭の中では分かっているけど、そこをピッチでどれだけ表現できるかは僕次第だし、チーム次第なので。そういうチャンスがコンフェデ、W杯と続くので、今まで形にできなかったことを表現したいと思います」
―ロンドンから積み上げてきた実感は?
「何かしらあると思うけど、今までずっとプレーし続けてきたので、振り返ることができていない。コンフェデはそういう意味ではテストというか、そこでできたことが1年で培ったものだと思うし、できなかったことは課題として残ると思うので、すごく楽しみにしています」
―本田選手から要求されることは?
「プレーをどうこうしてほしいというのはよく言われる。どうやってビルドアップしてほしいとか。僕と本田さんはそこで関わりが深い。僕が良いボールを出せればチャンスにつながる。そこは意識しています」

●DF内田篤人(シャルケ)
―コンフェデ杯の目標は?
「やっぱり勝つことが大事だからね」
―本当はオフだけど、メンタルが難しい?
「いやいやいや。難しいなんて言えないでしょ(笑)。記者さんがこんなにいるのに。26人から23人に絞られるのに、行きたくても行けない人がいるのに、オフとか言えないでしょ。ダメですよ」
―コンフェデではどんなプレーを?
「ある程度がっつりやって、勝てないような相手には、変な話、ごまかしも必要だと思う。きれいごとじゃないから。勝つためには。変な話、試合が壊れても良いから、勝ちに持っていく的なね。表現と考えがはっきりしていないから、口でははっきり言えないけど」
―現実的な戦い方をするということ?
「まあ、そういうことですよね。自分たちのサッカーができない時間もあるし、削り合いになっても、0-0で終われば、0-1で負けるよりいい」
―ポーランドでやったブラジル戦は、自分たちの時間もあったが、0-4だった。
「あの試合はチャレンジという意識が強かったと思うし、今回もそう。ただ、口では簡単に言えるけどね」

●GK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
――前回とは立場が違う中でのW杯出場。
「自分の中で、もちろん決まったことはうれしいですし、4年前、スタジアムで見ていた光景というのは上からだった。今回は日本だし、自分でできた。でも、あのときから代表に対する気持ちや、日本のためにプレーしたいという気持ちは変わらない。4年前のスタジアムからあの光景を目にしたとき、もちろん悔しさがあったし、自分があそこに立ちたいという気持ちがあった。ただ、今回、予選を通して自分自身が試合に出ている中で、一筋縄ではいかないと感じたし、より、厳しさを肌で感じた。でも、その先に何があるかを描ける喜びは大きかった。今回、日本で決められたことで、今まで自分で感じてきた誇りや代表でプレーする幌こび。W杯に向かっていくとき、日本全体の人と新しい夢を描ける位置に、自分や自分たちがいられるのが幸せ。より責任も感じますし、これからも自分たちが引っ張っていくという気持ちでやりたいと思います」
――前回に比べて海外でプレーする選手が増えている。当時と比べて違う点は?
「厳しい試合の中での経験という意味では違うと思います。アウェイでオマーンとやったときも、昨日の試合もそうですし、予選の中でぎりぎりで勝ってきた。選手一人一人が厳しい状況でやっていることで、そういう厳しい試合でも何かできるという自信がつねにあったと思う。それを乗り越えてきているというのが今のチームの強さ。そういう経験がピッチの上で生きているのかなと思う」
――日本でやっているのとは違うものをつかめた?
「海外でやっているというよりは、つねに、言葉もそうだし、批判されることもあるし、日本と違って自分がやりやすい環境でやっているわけでない。そういう環境で自分自身が高い意識でやらないといけないし、耐えないといけない。ただ、そういうところでいぇっていても、ハングリーさがないと意味はない。皆がそういう経験を通して成長していると思う」
――前回は本大会で川島選手がレギュラーを取って、それが活性化にもなった。しかし今回はアジア杯以来、選手の入れ替わりが少ないが?
「でも、新しい選手が呼ばれていないわけでないですから。試合に出ていないわけでもないですし。監督は新しい選手を呼んだときも、ちゃんと使い方を考えて使っていると思います。キヨが最初に呼ばれて出たときも、マスコミには持ち上げられたけど、次も途中出場で使いましたし。そういうところはチームの中でのバランスを監督は考えていると思います。
それと、自分自身も思っていますが、このこのチームがW杯で上にいくには、誰が出ても同じクオリティーを発揮できることが一番大事だと思う。何試合もやればけが人は出るだろうし、アクシデントも起きるだろうし、そういうとき、今日の会見で本田や佑都がああ言っていたけど、試合に出ている人はもちろん高い意識を持ってやっているし、出ていない人も意識を持ってやっていると思う。それはピッチの上でもトレーニングを見ていても分かる。高い意識は僕も持っているし、それを表に出すか内に秘めているかだと思う」
――GK内での競争は?
「常に競争はあります。現に、10年のW杯を見ても自分がそうでしたから。そこに競争があるのは常に事実。でも自分は、海外でやっているという意味でも、もっともっと日本のGKを引っ張っていきたい。まだまだゴールマウスの前に立っていたい。
日本チームを引っ張る気持ち、日本のGKを引っ張っていくという気持ちはこれからも変わらない」
――GK人生の中でのW杯の位置づけは?
「僕の中でもブラジルW杯は通過点でしかない。シュウォーツァーは40歳であのパフォーマンスだし、ナラさん(楢崎正剛)やヨシカツさん(川口能活さん)もJで活躍しているのを見ている。そういうモデルを見ることも自分自身の刺激になっているし、30歳になっても自分自身が成長したいという気持ちは変わらないし、もっともっとうまくなりたいという気持ちも変わらない。常に日本のチームに還元もしたい。日本人GKが欧州でも世界でもやれるんだということを、多く証明したいと思っている」
――コンフェデに向けて楽しみなところは?
「W杯出場を出場を決められた分、しっかりフォーカスできると思う。厳しい試合が増えれば増えるほど、危ないシーンで自分が止められるかどうかで結果が変わってくる。1センチの差で変わる。昨日の失点もアンラッキーな形だとは思うけど、あのようにどういうシーンが出てきても1センチで自分がその世界を変えることができれば結果も変えることができる。この1年で、自分自身がこだわっていかないといけないことは、ちょっとの差を大きなものに変えること」
――トップレベルのGKと渡り合える大会でもある。
「トップレベルのGKとやれることはキーパーとしてもやりがいがある。CL決勝でもいいキーパーがいると試合自体が締まる。対戦する機会があれば、相手GKだけではなく、自分も試合を締められるようになりたい」
――先ほど、佑都や圭佑が高い意識を持っていると言っていたが、川島選手も同じ?あるいは影響を受けた部分もある?
「気持ちはまったく変わらないですよ。目指しているものは変わらない。でも、今のこのチームの強みでもあると思いますが、ああやって一人一人が高い意識を持っていることはこのチームの強みですし、それをしっかり口にするということが、お互いにとっていいエキスになる。刺激になる。人間、一人でいろいろなものを抱えて、一人で解決するのは大変。日本代表はお互いが刺激し合えているいい関係だと思う」
――会見で本田が厳しいことを言っていたが、どう思う?
「全然いいと思いますよ。彼が言っていることも皆がそれぞれ感じていることだと思う。ただ、それぞれがキャラクターがある。人それぞれ。言わなくても胸に秘めているヤツもいると思うし、ああやって言うやつがチームにいることが、内に秘めているものに響いて、それが大きくなるということもある。言葉が響くことで思いが大きくなったりする」
――10年W杯後に欧州に行って良かったは?{キーパーというのは他のポジションと全然違う。10年W杯だけで認めてもらえるものではない。どれだけ欧州で活躍できるか。今回、ELの出場権を、予選からですが手にすることができて、欧州の中でどれだけ出来るかは時間のかかることだと思う。どれだけ1年1年、チャンスをつかめるか。時間がかかる分、他のポジションの選手とは違ったチャレンジはあると思うが、そこにチャレンジしていくことで自分のキャパシティの中でやれることを増やすことが大事。欧州の中でGKの立ち位置は本当に重要なもの」
――10年の岡田ジャパンは本大会で守備的になった。今のザックジャパンはバランスの良さの中で前線が強力。これは川島選手の中でも変えていきたくないことなのか?
「僕はこういう攻撃的なチームの中でも、守備の意識を持たせるのは自分だと思っている。守備の部分でチームとしてまとまってやれるのが良さだと思っているけど、やっぱり攻撃がストロングポイントのチームであることは変わらないし、それを生かしていかないといけない。その中で自分自身も攻撃に参加するところはしたい。ただ、最終的にゴールを守るのは自分の仕事。自分の役割を常に果たしたいと思っています」

(取材・文 西山紘平、吉田太郎、河合拓、矢内由美子)

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