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[MOM790]正智深谷FWオナイウ阿道(3年)_注目FWが勝ち越し弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.15 全国高校総体埼玉県予選3回戦 浦和北2-4正智深谷 埼工大G]

 注目ストライカーが総体予選初戦で1ゴールを決めた。正智深谷の10番FWオナイウ阿道(3年)はこの日、相手の急所を突くパスとしなやかな身のこなしのドリブルを披露。そして1-1の前半35分には勝ち越しゴールを奪った。MF齋藤雄士がPAへ出したボールを左中間で受けると「ボールを受ける前にキックフェイントを入れて前を向けたので、あそこで打たないでパス出すよりも、自分がシュートを打ったほうがいいと思った」と右足を振りぬく。わずかに空いたニアサイドを狙った一撃がゴールネットを揺らし、勝ち越し点となった。

 スピードや強さの部分に期待が集まりそうだが、「(スピードは)そんなに足も速くないし、平均て言えば平均くらいです。パワーは自分よりも上の人がいっぱいいると思うんですけど、競り合いだったり、球際の強さだったり、足下もそんなに硬い方ではないと思う」と自己分析。相手の厳しいマークの中、強引なドリブルで勝負することはなく、やや引いた位置やサイドへ開いてボールを受けてそのキープ力でチーム全体を引き上げ、決定的なパスを通すプレーが印象的だった。「確かに前を向けたときは前の人がいい動きしてくれるので一番いいところへ出して、一番ゴールに直結すればいい。もうちょっと判断を良くして無理矢理出すとかを少なくしていきたいです」。

 ナイジェリア人の父と日本人の母を持つオナイウは昨年の高校選手権で全国デビュー。一部の大会特集号で表紙で扱われたこともあり、一躍注目度を高めた。ただチームは初戦敗退。「自分がそういう風に(注目される存在に)なると思っていなかった。全然(自分が注目選手だという)そんな気持ちでやったわけではなくて、自分のできる限りのプレーをやろうと思ったんですけど、もう少し積極的にやれたら良かった」と振り返る。あれから半年。現在はチームの中心選手として、「(代表は)まだ早い。自分が良くなっていくこと」と一歩一歩成長することを目指している。

 この日はJクラブのスカウトも熱視線を注ぐ中、随所で違いを示した。ただ一発を狙ったパスをカットされたり、ポストプレーでボールを失う場面もあった。それだけに小島時和監督は「味方が信頼してつないでくれたボールを(より)奪われないこと」と期待する。オナイウは「後ろ向きで背負った時に強く押されてすぐ失ってしまうと、後ろが上がってくるときにキツイ。しっかりとキープして絶対奪われないようにするとか、決定力も上げていきたいです。自分に入ったら、点取ったり、崩していけたり、相手が多くても自分だけでも行けるというプレーもしてみたいです」。目標のプロへ、まだまだ成長することが必要。ボールキープ、ドリブル、パス、そしてゴールでもより注目される選手になって夢をかなえる。

(取材・文 吉田太郎) 
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